顧客は事業者を選べるか

 

保険流通の業界誌「インスウォッチ」2月13日号で
「顧客本位の業務運営に関する原則(案)」について
書きました。

金融事業者自身が主体的に創意工夫を発揮して、
顧客本位の良質な金融商品・サービスの提供を競い、
より良い取組みを行う事業者が顧客から選ばれる。

金融庁は、こうしたメカニズムを実現するため、
「顧客本位の業務運営に関する原則」を策定し、
事業者に受け入れを呼びかけ、より良い金融商品
・サービスの提供を競い合うよう促そうとしています。

インスウォッチでは、この原則が保険業界にも
関係があるということを示しました。

もっとも、先のメカニズムがうまく機能するためには、
事業者が顧客本位の業務運営に努めるだけでなく、
顧客がより良い取組みを行う事業者を選べるような
環境作りが不可欠です。

この点に関し、12月公表の金融審WG報告書では、

 (1)金融事業者の取組みの「見える化」
 (2)顧客の主体的な行動
 (3)顧客にアドバイス等を行う担い手の多様化

をあわせて実行していくことが適当としています。
(1)は原則そのものですので、あとは(2)(3)を
どう実現するかです。

金融審WGでは(2)のなかで、

「有識者等で構成される第三者的な機関が、金融
 事業者全般あるいは各金融事業者の取組方針や
 取組状況を顧客の立場から評価し、評価結果を
 公表するといったメカニズムが存在すれば、顧客が
 金融事業者を選別するうえで参考になるのではないか」

という論点が挙げられ、注目していました。

ところが、報告書を見ると、「第三者的な機関」が
「第三者的な主体」に修正されるとともに、続けて、

「例えば民間における自発的な取組みとして形成され」

という文言が加わっていました。

議論の結果、当局主導で第三者的な機関を作るのを
断念したのか、あるいは初めからそのような考えは
なかったのかもしれませんが、残念に思います。

金融事業者には顧客本位の取組みを強力に促し、
あとはマーケットに委ねるということになりますが、
果たしてそれでこのメカニズムが確立・定着するのか。
かつての「(保険の)比較討論会」を思い出します。
「保険の比較情報」はどうなったのか?

※鹿児島の市電です。軌道の緑化を進めているとか。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。