最近発表された3メガ損保の決算資料やIR資料を眺めていると、損保グループでもコロナ関連の給付金支払いがかなりの金額で発生していることがわかります。
まず国内生保事業では、あんしん生命が約90億円、MSA生命が113億円、ひまわり生命が218億円の給付金支払いがありました。大半がみなし入院に伴う支払いだと考えられます。
これに加え、国内損保事業でも給付金支払いが発生しています。東京海上日動が220億円、三井住友海上が206億円、あいおいニッセイ同和が86億円、損保ジャパンが131億円です
(4社合計で643億円)。
種目別には「傷害保険」となっていますが、主に医療保険ではないかと。
(12/2加筆)
損保で医療保険を扱っている場合にはそうですが、傷害保険でも感染症特約などがあり、「主に医療保険」というのはあまり正確な表現ではなさそうです。
さらに目を引くのは、台湾での損失計上です。東京海上グループは通期で960億円の関連損失、MS&ADグループは同200億円の支払いを見込むと発表しています。
台湾では2021年以降、損保業界によるコロナ保険の販売が広がっていたようです。ところが台湾政府は今年4月、それまでのゼロコロナ政策からウィズコロナ政策に転換し、感染者数が急増したため、台湾の損保業界全体が多額の支払いを迫られることになりました。東京海上グループが49%分を出資していた新安東京海上も増資が必要な状況となり、9月末に株式を追加取得して子会社にしました。
なお、自動車保険の損害率が顕著に上昇している(特にEIベース)のは、コロナの影響(交通量の回復)のほか、ひょう災など自然災害による支払いが多かったためです。とはいえ、自然災害を除くベースでみても、MS&ADの2社の損害率はコロナ前の水準を上回るところまで戻っており、今後の動向に注目です。
※写真は朝の岡山城です。