数日前にネットで次のようなニュースを見つけました。
いかにも見出しが独り歩きしそうな記事です。ロイターなので元は英語で、もし東京オリンピックが中止となれば、保険会社の支払額は30億ドルと見込まれ、イベント中止の補償としては過去最大規模という内容でした。英語の loss を「損失」と訳してしまったため、「五輪中止で保険会社が大赤字」といった見出しになってしまったのですね。
業界人であれば、損害率のことを「ロスレシオ」と言ったりするので、こうした失敗はしないと思いますが、一般的にはそうではないのでしょう。
ちなみに30億ドルは決して小さな額ではないとはいえ、2005年に米国を襲ったハリケーン・カトリーナによる保険金支払額は約800億ドル、2012年のハリケーン・サンディは約300億ドルでした。この分野に特化した保険会社であればともかく、保険会社の担保力が損なわれ、料率が急騰するようなことはなさそうです。
気になるメディア用語
今回のロイターは翻訳の問題ですが、NHKや日経をみていて気になる用語の使い方がいくつかあります。
例えばNHKの経済報道では、「前年」や「昨年」を「去年」と表現することが多いようです。NHKが「前年」という言葉を全く使わないのではなさそうですが、経済指標や決算発表のニュースで「去年比で・・・」とやられると、どうもしっくりきません。
日経は一般的な会計用語でも送り仮名を使うのが気になります。その代表例が「繰り延べ税金資産」です。「繰延税金資産」に送り仮名を使うと、なんだか別の話をしているように感じてしまいます。
※写真は福岡・姪浜です。振り返ると全く別の景色が広がっていました(下の写真)。