先日ある会合で日本保険学会の理事長にお会いした際、
「保険学会に初めて女性の理事が誕生したんですよ!」
(明治大学の中林真理子先生です)というお話を伺っていたところ、
保険毎日新聞にその中林先生のインタビュー記事が載っていました。
このインタビューのなかに次のような話がありました。
「保険会社は学生たちの就職先人気ランキングの
上位に入っているにもかかわらず、積極的に
保険学を勉強したいと考える学生は少ない」
大手保険会社は昔から就職ランキング上位の常連ですね。
就職ランキングとは、そこで働いたことのない人たちによる
人気投票なので、あまり深い意味はないかもしれません。
まあ、「知名度が高い」「イメージがいい」くらいはありそうですが、
「知名度が高い」「イメージがいい」のはあくまで保険会社であって、
保険学ではない、という状況をどう考えればいいのでしょうか。
インタビューには、
「保険学は、金融・経済はもちろん、マーケティングや文化、
法律など、多くの分野にまたがっており、その気になれば
多くのことを学ぶことができる」
とあります。確かにそうです。
しかし、「保険経済学」「保険法学」「保険経営学」を示された学生は、
それだったら「経済学」「法学」「経営学」を勉強したほうがいいと
考えてしまうのかもしれません。
インタビューにもあるように、「保険学の位置付けが難しいものに
なってきている」ということなのでしょう。
1年ほど前にブログで取り上げた、一橋大学・米山高生先生の整理が
私には参考になるように感じます。
「伝統的な保険論」は供給者の視点に立っており、
収支相等の原則からはじまる保険論。
予定調和的な世界を前提にしており、
価格は保険数理による決定論的な世界で決まる。
これに対し、「リスクマネジメント&保険」は需要側から
マーケット(=自由競争)を前提に考えるもの。
予定調和ではなく不確実な世界であり、
価格は確率論的な世界で決まる。
今後の保険教育は伝統的な保険論(保険数理を含む)に加え
リスクマネジメント&保険、金融工学、コーポレートファイナンス
の4領域が主軸になる。
いずれにしても、新しい理事には大いに期待したいです。
※遅ればせながら先日の大雪の写真です。
ちょうど生協の配達日だったので、大変そうでした。