金曜日(24日)は「日経」「明治安田生命」と続けて
海外M&Aのニュースが飛び込み、驚きました。
今回はこの話ではなく、東芝の不正会計について。
21日に公表された第三者委員会による調査報告書を
私も一読してみました。
東芝のサイトへ
新聞報道をはじめ、すでにいろいろと書かれているので
中身の紹介は省略して、個人的な感想を2点ほど。
報告書を読むと、利益かさ上げの手法として、
工事損失引当金の計上に関する恣意的な判断や、
期末の押し込み販売による数値かさ上げなどが、
何回も出てきます。
これらは、社内では適切ではないと認識しつつも、
「粉飾」「違法」とまでは認識されていなかった模様です。
3日間で120億円の利益改善を求めたという話も、
「社長月例」「着地見込会議」などでの議論も、
根底には、「決算は作るもの・コントロールできるもの」
という意識があることがうかがえます。
もちろん、うかがえるというだけで、証拠はありません。
ただ、この点を含め、できればもう少し掘り下げて
いただきたかったなあという印象を持ちました。
「なぜトップは工事損失引当金計上を認めなかったのか」
「なぜトップは利益かさ上げの解消に難色を示したのか」
「なぜトップの圧力が組織的な不正という結果になるのか」
といったところはモヤモヤしたままなのですね
(時間的に厳しかったのだとは理解します...)。
300ページもある報告書を一読したかぎりでは、
「責任の自覚が必要」「経営トップ等の意識改革」
という提言が果たして本質的な再発防止策なのか、
私にはわかりませんでした。
もう一つ、会計監査人は会社にダマされっぱなしだったのか、
あるいは共犯だったのか、本調査の目的ではないとはいえ、
やはり気になるところです。
例えば、別紙3(報告書の最終ページにあります)として
PC事業月別売上高・営業利益推移のグラフがあり、
リーマンショック後の推移はかなり異様な動きに見えます。
もちろん、会社は監査人に何らかのストーリーを示し、
納得させようとしたはずです。
ですから、監査人は被害者なのか、そうではないのか、
今後の調査で解明されることを期待しています。
※写真は成田山新勝寺と門前町です。