植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2010年12月22日

農協からの信共分離

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政府の行政刷新会議「規制・制度改革に関する分科会」では
JA(農協)から金融(信用)事業、保険(共済)事業を分離し、
農業関係の事業に専念させる改革を検討するそうです。

2008年度のJA部門別損益(770組合の合計)をみると、
信用事業(2143億円)と共済事業(1712億円)の黒字で
購買、販売、指導といった農業関連事業の赤字を補い、
2189億円の当期利益を計上しています。
このような損益構造は08年度だけではありません。

JAの信用事業は組合員から貯金を集め、貸出を行います。
貯貸率は3割弱にすぎず、多くは信連への預金に回ります。
貯金・預金の利ざやは資金運用収益の半分を占めており、
信連や農林中金の運用益が信用事業を支えているのです。

他方、共済事業はJA共済連との共同引受とはいえ、
JAでは引受リスクを負わず、販売に特化しています。
つまり、共済事業は実質的に手数料ビジネスです。


こうして見ると、信共分離のハードルは高そうですが、
やはり気になるのがJAのガバナンスの問題です。

JAは協同組織であり、組合員のために存在します。
ただ、同じ組合員でも、貯金者や共済加入者と、
農業関連事業の利用者ではJAに求めるものが違うはず。

例えば、共済加入者にとって、掛け金は安いほうがいいでしょう。
しかし、JAの経営を考えれば掛け金が安くなると、
JAに入ってくる手数料(付加掛金)が減ってしまいます。

兼業農家が圧倒的に多く、かつ、准組合員も多い
(組合員の約半数が准組合員です)なかで、
貯金者や共済加入者の利益が十分守られているのか、
今後の議論に期待しましょう。


※いつもの通り、個人的なコメントということでお願いします。

※左は丸の内、右は新横浜の駅ビルです。


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コメント一覧

コメントするような評論い゛  (2010年12月26日 16:08:55)

ご意見拝読しましたが。
提起内容を感じられません。
ニュースのサマリーのようで。
変なコメントで申し訳ありません。

植村  (2010年12月29日 12:02:02)

過去のブログをご覧いただいてもわかる通り、
問題提起よりはアナリストの分析を重視しています。
問題を提起するにしても、諸般の事情を踏まえ、
あまりとんがったコメントにしていません。

制度共済については、以前からガバナンス面が気になっていまして、
今回も同じ話をわかりやすく書いたつもりでした。

蛇足ですが、JA部門別損益を調べるのは意外に大変でした。
全中のHPで簡単に見つかると思っていたのですが、
甘かったです。
事実確認にはそれなりに労力がかかります。
新聞のデータをそのまま使うわけにはいきませんので。

ご参考まで。

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