大和生命の保険金削減案

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4/11の各紙に、破綻した大和生命の保険金削減モデルが
掲載されています。

「終身年金(逓増型)で最大80%の削減」とあるように、
加入時の予定利率が高い貯蓄性商品で、
満期・終期までの期間が長いものほど大きく削減されています。

予想された事態ですが、二度目の破綻となった旧大正生命契約では、
1992年に加入した30歳女性の一時払い終身保険で87%の削減、
同じ条件の終身年金(逓増型、65歳開始)で約7割の削減と、
削減率が一段と大きくなっています。

ただ、どうしても削減の大きいモデルに目が行ってしまいますが、
その対象となる契約者はおそらく例外的な存在でしょう。
全体としてみれば、過去の破綻事例と比べて契約者負担が
際立って大きいということはなさそうです。

例えば、大和生命の予定利率は1%に下げられますが、
もともと平均予定利率が3%台まで下がっていました
(過去の事例では4%以上でした)。

責任準備金の明細を見ると、予定利率の高い契約は
すでに個人保険分野の半分以下に減っています
(日本生命で6割、朝日生命で7割です)。

大幅削減の可能性が高い個人年金のウエートも
他社に比べて小さいということもあります
(日本生命24%、朝日生命31%、大和生命12%)。

さらに、保険契約とともに優先的更生債権である労働債権は
24.8%の削減です(千代田生命では25.27%)。

もちろん、だからといって契約者負担が決して小さいわけではなく、
契約者保護のためには、やはり破綻を避けることが重要だと
あらためて確認できました。

※写真は昨年行った奈良公園です。

 

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明治安田生命の営業改革

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本日(4/8)の日経流通新聞に、明治安田生命の営業改革が
取り上げられていました。
日経流通新聞に保険会社の記事が載るのは珍しいことです。

主な内容は次のようなものでした。
・2008年度の新契約年換算保険料は二年ぶりに前年度を上回ったもよう。
・新規契約の獲得より、既存顧客のアフターフォローを重視したことが
 結果的に契約者増につながった。
・業界の常識を覆す営業改革は消費関連メーカーや小売業にも
 参考になりそうだ。

改革が始まってまだ日も浅いですし、そこまでほめるのもどうかと思うのですが、
私も明治安田生命の営業改革には注目しています。
営業職員の均質化や組織的なバックアップなどです。

既契約の訪問活動強化、アフターフォロー重視は
このところ大手生保はどこでも力を入れている点です。
ただ、これで落ち込んだ新契約獲得能力を回復できるのかどうか。
私だったら用もないのに来られても迷惑なだけです。

それだったら用のありそうな人を集める仕組みを考えるとか、
膨大な保有契約という顧客基盤を活用するにしても、
マーケティング手法はいろいろあるように思うのですが。

今の各社の改革は、何となく現状の営業職員チャネルを
前提にしすぎているように思えてなりません。

ということで、私はもう少し時間をかけて評価したいと思います。

※写真は京都・哲学の道です

 

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喜ぶべきなのでしょうが…

週末(4/5)の日経ヴェリタスの「BOOK」欄に
拙著「経営なき破綻」が取り上げられました。

「金融機関の格付けに携わる著者が、財務分析と社員への
 聞き取り調査を通じ、金融のなぞ解きに挑んだ」
「浮かび上がったお粗末な姿は、(中略)米AIGや、
 破綻した大和生命などとも重なり合う」

といったものです。
「社員への聞き取り調査」とされてしまいましたが、
正しくは「経営陣や本社スタッフ」ですね。

それよりもこの記事。
本の紹介なのに、なんと著者の名前が書いてありません。
タイトルと出版社(=日経です)しか出ていないのです。
単なるミスなのでしょうか?

出版から半年になる拙著を取り上げていただくのは
大変うれしいのですが、やっぱり著者名も載せてほしかったですね。

経営なき破綻 平成生保危機の真実(Amazonへのリンク)

 

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ロンドン金融サミット

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日本縦断ツアーの疲れからか、風邪を引いてしまいました。
南→北ではなく、北→南のほうがよかったのかもしれません^^

ロンドンで開かれたG20首脳会議(金融サミット)は
残念ながら大きな成果を上げることができませんでした。

「自由貿易の堅持」ではとりあえず合意できたものの、
足もとの危機対応という点では、ほとんど見るべき成果が
なかったように思います。

やはりG20になって、各国の利害を調整するのが
一段と難しくなっているのでしょう。

個人的には、国際的な金融規制・監督を強化するための
「金融安定理事会(FSB)」(旧金融安定化フォーラムを改組)
に注目しています。
FSBの動きが保険監督にも影響を与えることになるでしょう。

もちろん、こちらもG20ベースなので、同じ問題はありますね。

 

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3/31の日経「大機小機」

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3/31日の日経・マーケット総合面(17面)の「大機小機」に
「時価会計見直しは正しい選択」というコラムが載りました。

主な内容は次のようなものです。
・もともと時価会計は有価証券などでの資金調達が多い欧米企業の
 経営実態の把握に適した会計方法だった。

・日本的経営の特徴とされる長期的視野に立った経営行動は、
 取得原価主義に基づく会計基準に支えられている。
 資本市場が小さい国々で時価会計を強要すれば、経営に大きなブレが生じる。

・会計基準は経済の安定的成長を促すインフラであり、
 それ自体が変動を生むような制度は修正していくべきである。

これを読んで私はものすごく違和感を感じました。

確かに今私たちは「何をもって時価とするか」という課題に直面しています。
これはなかなか難しい課題です。

しかし、日本が時価会計を採用したのは「国際的な流れ」だけではなく、
取得原価主義会計では経営実態の把握ができなかったためですよね。
だから、時価会計がうまく機能していないからといって、
取得原価に戻ればうまくいくとは到底考えられません。

過去に日本が取得原価会計のもとで大きな成長を遂げたのは、
日本経済そのものが成長期にあったからでしょう。
仮に時価会計だったとしても、やはり大きな成長を遂げたと思います。

しかし、低成長期には経営実態の把握がより重要になります。
経営者は株主や従業員を満足させるためにいるのですから、
監視の目が厳しくなって当然です。

コラムでは「会計基準は長期的に一定のルールに従ったものでありさえすれば、
情報開示において何の問題も生じない」とありますが、
あまりに経営者目線だと感じました。

 

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今どきのスキーリゾート

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世間は期末ですが、プライベートで北海道に行ってきました。
小4になる娘と二人での旅行です。
滞在先は飛行機&JRで行けるトマムにしました。

トマムといえばバブル期に完成した大規模リゾートの象徴で、
山の中に2本の高層ビルが並び立つ写真が有名です。
開発会社の破綻などを経て、現在は星野リゾートが運営しています。

北海道のスキーリゾート、春休みはもうシーズンオフなのでしょうか。
スキー場はガラガラ。リフトもゴンドラも乗り放題です。
リフト乗り場の係員さんにはシャッターを押してもらいました
(=その間、誰もリフトに乗りに来なかったということです)。
バブル期の「リフト30分待ち」世代には夢のようです。

レストランは節約モードといった雰囲気でした。
例えば、広大なリゾートエリア全体で夕食をとれるのが5か所だけ。
かなり多くの店が閉店していました。
見たところ、今だけ閉店しているのではなさそうでした。

メインとして位置付けられているのが和洋バイキングレストラン。
そもそもバイキングというのが経費抑制なのに加え、
目玉が「自分で作る海鮮丼」と「チョコフォンデュ」というのは
ちょっとさびしい。単価が高い食材がほとんど見当たりませんでした。

シーズンオフだからなのか、不況だからなのか、
あるいはリゾート地としての競争力の問題なのかわかりませんが、
これで大丈夫なのかなあと考えてしまいました。

 

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朝日新聞「あなたの生保、大丈夫?」

3/28(土)の朝日新聞3面では生保破綻とその処理について
まとめています。私のコメントも載っています(囲みです)。
加入している生保経営が傾いたらどうするかというものです。

通常の破綻処理では、債務超過の穴を埋め、負債を減らし、
スリムになって再建を図ります。
ところが生保の破綻処理では、契約(=負債)を継続させるのが前提です。
他社に移るのが難しい契約者も多いためです。
負債の削減に限度があるため、保護機構による資金援助があります。

これを再建会社のスポンサーに期待するのは難しいでしょう。
債務超過を穴埋めした後の会社に高い価値があれば別ですが。

だから、穴が大きくなる前に対応する、
すなわち「早期発見、早期対応」が重要なのですね。
この仕組みがなかなか改善しないので困っているのですが。

※写真の「まりもっこり」はご存じですか?今度は北海道にいます。

 

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沖縄だより

今回は空き時間を利用して首里城へ行きました。
1715年にできた建物が戦前まで残っていたのですが、
日本軍の司令部が置かれたこともあり、沖縄戦で焼失。
今の建物は1992年に復元されたものです。

沖縄を中心に地図を見ると、日本や中国、東南アジアとの位置関係から
かつて中継貿易で栄えた理由がよくわかります。
同時に米軍が重要な拠点としている理由もよくわかります。

金融危機の影響で観光客(特に団体)がやや減っているようですが、
今のところ沖縄経済はそれほど打撃を受けていないようです。
本土とは産業構造がかなり異なるためなのでしょう。

 

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かんぽ生命のがん保険

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かんぽ生命のがん保険販売に対し、米国生命保険協会が反対しています。
ただ、かんぽの宿問題とは違い、総務相はこちらは認める方向のようです。

かんぽの契約は、すでに政府保証はなくなっているわけですし、
海外からの圧力に負けず、このまま認めてほしいですね。

そういえば少し前、某国大使館のパーティーにお呼ばれした際に、
米国とカナダの経済担当者がこの件について叫んでいたのを思い出しました。
でも、根拠は「日本政府が株式を100%保有している」ということだけです。

かんぽ生命が郵便局を独占しているのであれば別ですが、
民間にも広く解放しています。
そのようななかで、政府が株式を全て手放さないと
かんぽ生命は新しい事業ができないなんて、かなり無理がある話です。
それじゃあAIGはどうなんだ、ということにもなりますよね。

結局、郵便局チャネルを外資系生保で押さえたいという話なのでしょう。

※出張で沖縄に来ています。暖かくていいですよ。

 

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日経ビジネス「生保危機 再び」

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3/23号の日経ビジネスは生保特集でした(第2特集ですが)。
第1章が「運用難・少子化・過当競争の三重苦」、
第2章が「人口減で生き残る智恵」、
第3章が「財務が生む『不作為の経営』」という構成です。

第1章には「(市場の変化の要因は)少子高齢化と市場の成熟化」
という私のコメントが載っています。
もちろん取材ではこれだけではなく、いろいろな話をしています。

最後の第3章「不作為の経営」はちょっと強引な感じでしたね。
記事では「(危険準備金や価格変動準備金の取り崩しによって)
単年度の業績が覆い隠される経営をどう判断すればいいのか」
と生保の財務構造が不作為の経営につながっていると示唆しています。

しかし、各社の貸借対照表の純資産&各種準備金の動きをみれば、
今回のような局面では経営が厳しいかどうかは一目瞭然。
さすがに経営も深刻さを実感しているはずです。

財務構造と経営の関係を指摘するのであれば、
「各種準備金で補い、単年度の業績が見えにくくなるから問題」
なのではなく、
「新契約獲得能力が落ち込んでいるにもかかわらず、
 保有契約からの利益に隠れ、深刻さが見えにくくなっている」
ことだと思います。

 

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