COCOA不具合の報告書

新型コロナウイルスの接触確認アプリ「COCOA」で不具合が発生し、4か月もの間、陽性者との接触を通知していなかった問題で、厚生労働省が16日に調査報告書を公表しました。同省が設置した内部の調査・検討チームによるもので、同省職員や委託事業者などCOCOA関係者33名にヒアリングを行ったそうです。

COCOAの契約は、HER-SYS(ハーシス)という保健所や自治体、医療機関などの情報共有を行うためのシステム(以前、連絡にFAXを使っているなんて報道がありましたよね)の開発・運用保守の追加契約として締結され、昨年6月にアプリがリリースされました。
ところが、陽性者との濃厚接触だけでなく、単なる接触があっただけでも通知が出てしまう不具合が発生したため、9月に改修したところ、今度は必要な通知・表示まで出なくなってしまい(Android版において)、それが結果として4か月も続いてしまいました。接触確認アプリとしては致命的なミスだと思うのですが、そもそもアプリがそれほど普及していないので、あまり大きな騒ぎになっていないのかもしれません。

不具合が4か月間も見逃された原因について、報告書はいろいろと指摘しています。
・適切なテストが実施されなかった
・頻発する不具合への対応等に追われていた
・発注者である厚労省職員がプロジェクト全体を適切に管理できていなかった
・関係者の役割分担が不明確だった などなど

これらの指摘はその通りなのでしょう。ヒアリングでは「体制強化を申し出ていたが、聞いてもらえなかった」「人がどんどん入れ替わるので、ノウハウをインプットしてもすぐリセットされてしまう」「厚生労働省は直接システム関連の業務を発注するようなスキルが足りない気がする」といった声も出ています。
ただ、報告書を読んだ感想としては、政府がアプリの普及にもっと本腰を入れて取り組んでいれば、こんなことにはならなかったのではないかとも思いました。アプリが広く普及しなければ感染拡大の防止に役立たないのは当初からわかっていたことで、だからこそ私もすぐにダウンロードしたのですが、思い起こせば政府がダウンロードを積極的に促したのは最初のうちだけではなかったでしょうか。残念ながらダウンロード数は今でも3,000万件にも達していないという状況です。
厚労省や委託事業者を責めるのは簡単ですが、今回といい、ワクチン契約の件といい、もっと根源的な要因があるように思えてなりません。

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※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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