損害保険料率算出機構は3月26日、ビッグモーター社による保険金の不正請求(過大請求)が自動車保険参考純率に与えた影響について、5年間で最大約90億円、支払保険金合計(約8.3兆円)に対して0.11%という試算を公表しました。
過大請求があったのは車両の修理費用なので、影響は対物賠償責任保険と車両保険に出ます。それぞれの過大請求額と影響度は44億円(0.15%)、46億円(0.14%)でした。
過大請求の結果、翌年の保険料率が上がってしまったケースもあるでしょうから、損害率の試算は難しそうですが、大きくみても年平均で+0.05ポイントくらいの影響ではないでしょうか。
BM事件は特定の代理店が保険金を不正に請求していたというだけではなく、保険会社が保険金を適切に支払っていなかったという、保険制度の根幹である契約者の信頼を揺るがすような問題です。個社および業界でできることは何でも取り組んでいくべきでしょう。
さらに、この事件によって、保険会社(損保ジャパンに限らず)と大型のディーラー・モーター代理店とのいびつな取引慣行が業界外にも知られることになりました。契約者にとっても、自動車を買ったディーラーから保険も買えるのは一見便利かもしれませんが、保険の専門家による目線が入りにくいなかで、選択の機会がなくなっていると見ることもできます。
金融庁の有識者会議では、これまでのいびつな取引慣行がいい方向に変わるような制度見直しを提言してほしいですね。
※フィリピンはカトリックの国なのですね。