美馬市脇町のうだつの町並みを10年ぶりに訪れました。
徳島駅からディーゼル特急で約40分の穴吹駅で降り、
吉野川の大きな橋を渡ってしばらく歩くと脇町です。
「うだつ」とは隣家と接する二階に設けた小さな壁です。
本来は防火が目的なのですが、江戸から明治にかけて
藍の商売や吉野川の水運で栄えた脇町では、商家が
競うようにして立派なうだつを上げ、今に残っています。
うだつの町を歩いていると、どこからか香ばしい匂いが。
見ると、おばちゃんが店で田楽豆腐を焼いています。
匂いにつられて中に入ってしまいました。
一人で熱々の田楽豆腐を食べながら店内を見渡すと、
窓ガラスに赤い字で「横倉生活改善グループ」とあります。
横倉生活改善グループは、標高600mの山の中にある
横倉地区の女性たちによるグループで、当初は不便な
暮らしを少しでも良くしようという活動だったようです。
しばらくして豆腐作りが始まり、今では豆腐のほか、
田舎だんごや寿司などを生産し、地域ブランド商品として
うだつの町などで販売しているとか。
おばちゃんいわく、
「山の中だから、このままだと誰もいなくなってしまうし、
なんとかしなくっちゃ、ということで始まったんだよ」
「最近は補助金目当ての団体もあるみたいでしょう。
うちはそうじゃないよ。ちゃんとやってるんだから」
よくよく聞いてみると、グループ結成は1969年だそうで、
もう45年も続いていることになります。
そのうちグループの女性たちが集まってきました。
お客は私だけだったので、
「お客さん、どこから来たの?」「お茶を入れようね」
「だんご食べる?(=お饅頭のようなだんごでした)」
といった調子で、気が付いたら「くいしん坊!万歳」の
松岡修造さんのようになっていました^^
このところ地方に行くと、「歴史ある町の吸収合併」
「山村留学の休止」といった寂しい発見が続いていたので、
久しぶりに元気な話を聞くことができました。