
秋の学会シーズンということで、前週末の日本金融学会に続き、この週末(10/24、25)は日本保険学会の全国大会でした。今回は登壇がなく、自校開催でもありませんでしたので、気楽に(?)勉強させていただきました。
大会の基調講演でも触れられていましたが、30日に金融審議会「保険制度ワーキング・グループ」の2回目会合があり、報道によると、生命保険のセーフティネット制度の在り方について検討を行う模様です。業界負担枠を増やしたうえで、公的資金枠を維持し、時限立法ではなく恒久化する方向で議論が行われると報じられています。
公的資金枠の恒久化について異論はないのですが、かつて日経新聞『経済教室』に「生保契約者の保護充実を」という論考を寄稿したのを思い出しました(2001年11月20日)。拙稿では2000年前後に相次いだ生保破綻とその処理を受けて、契約者保護の仕組みには改善の余地が大きいと述べています。あれから25年経ったものの、破綻後の契約者保護の仕組みは当時とほぼ同じです。
拙稿でも触れている通り、破綻処理の実際は再建支援者による破綻生保の買収です。しかも、負債の大半は保険債務なので、破綻生保の契約者が債務削減を求められることになります。
そこで問題となるのがセーフティネットの担い手である生命保険契約者保護機構の持つ二面性、すなわち、保護機構は資金援助の担い手であるとともに、破綻生保の契約者に代わって議決権を行使する役割を持っているという点です。破綻生保の契約者としては資金援助が多いほうが負担が減る一方、保護機構のスポンサーである他の保険会社としては資金援助が少ないほうがいい、ということになります。
しかも、実際の破綻処理では、業界枠の大半を使い切ってしまったなかで、「国会承認に伴う困難」を避けるため、保護機構からの資金援助を受けないことを前提とした更生手続きが続きました。破綻処理を仕切る管財人も、買収を実現させたい再建支援者も、できるだけ早期にディールを完了させたいので、そうなったのでしょう。しかし、資金援助がない分を再建支援者が負担するようなことにはなりにくく、千代田生命や協栄生命の場合、結果として破綻生保の契約者負担が大きくなってしまったように見えます(責任準備金の削減、予定利率の引き下げ、営業権の計上などを通じて)。
拙稿では、「これでは資金援助制度は存在しないのと同じである」「(保護機構が)契約者代理としてどのような役割を果たしたのか、実際の行動は確認できない」「管財人や再建支援者との交渉過程や営業権の計上理由などを事後的に公表し、市場規律が働くようにすることを求めたい」などと述べています。
今回、そこまでの議論を行う時間はないのかもしれませんが、関係者の皆さまにはこのようなことも頭の片隅に置いていただければと思います。
※全国大会の会場は中京大学(愛知県)でした。
