募体三計画

この週末は福岡大学で日本金融学会の秋季大会があり、多くの会員にお越しいただきました。運営に関わった皆さま、お疲れさまでした。

さて、プルデンシャル生命の件で、日経新聞が「プルデンシャル詐取 不正の構造」という特集を組み、3回目の「プルデンシャル不正、業界がおびえる『ボタイサン』 大蔵省支配の記憶再び(会員限定)」に私のコメントが載りました(紙媒体では10/16の朝刊)。

「厳選採用していた初期のプルデンシャルは営業社員の定着率も高かったが、足元では国内生保との差はなくなった」

念のためデータを確認しておきましょう。営業職員の定着率(例えば新規登録から25月目の在籍率や育成率のようなデータ)は公表されていませんが、ディスクロージャー誌に載っている期末在籍数の推移と採用数から「退職数」を推計すると、例えば2000年代の退職率(前期末の在籍数と比べた当期退職数の割合)は、大手生保が40%前後だったのに対し、プルデンシャル生命は10%を下回っていました。その後、大手生保は大量採用・大量脱落のターンオーバー構造の是正に取り組み、近年の退職率は13~15%まで下がっているのに対し、プルデンシャル生命では11~12%と、大手生保とそれほど変わらない水準です。
参考までに、ソニー生命の退職率は低く、5~7%となっています。

新聞では、かつての旧大蔵省が生命保険会社に策定を求めた「募集体制に関する整備改善三カ年計画(募体三計画)」について触れ、基幹職員の育成や契約継続率の改善を目指したことが書いてありました。十分な教育や訓練を受けていない営業職員が販売した契約は、その職員が退職すると解約・失効につながりやすいという問題意識から、1976年に開始したもので、88年に「募集体制整備改善自主計画(募体自主計画)」へと名前を変えて、少なくとも90年代半ばまで続きました。
ただし、手元にある『図説 日本の生命保険』(平成6年版)によると、募体三計画について「一定の成果を達成することができた」とあるものの、例えば1990年度の新規登録職員の13月目在籍率は47.6%、25月目は27.0%。つまり、採用した職員のうち、1年後に残っているのは約半数、2年後には1/4強しか残っていないという状況でした。25月目の継続率も8割程度で、契約後わずか2年で2割の契約が解約などにより消えていました。
大手生保の営業職員の在籍率や契約継続率が改善したのは、募体三計画や募体自主計画が効果を上げたというよりは、2000年前後の経営危機の時代を経て、各社が新契約に過度に偏重した営業を改め、既契約を重視するようになったことが大きいとみています。

それにしても「ボタイサン」「ボタイジ」なんて言葉を見たのは何年ぶりでしょうか。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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