日銀の金融システムレポート
先週24日に日本銀行が半期ごとの「金融システムレポート」を公表しました。
今回のレポートでは定例のマクロ・ストレステスト(目先のストレス発生を想定したテスト)に加え、今後10年間に金融機関が経費削減、非資金利益の拡大といった経営効率の改善に向けた取り組みを行った場合、どの程度の効果が見込まれるかというシミュレーションを行っています。
結果としてはこうした取り組みが行われることの重要性が示されているのですが、特に非資金利益を増やすのはそう簡単ではないこともうかがえます。
レポート(73ページ)によると、コア業務粗利益に占める非資金利益の割合は、地域銀行は概ね横ばいで推移しているのですね。近年の地銀は投資信託や一時払い保険の販売に力を入れていると思っていたのですが、大手行とちがい、右肩上がりではありません。
投信から保険へ
他方でこんなデータもあります。
金融審議会「市場ワーキング・グループ(第25回)」資料によると、金融機関による投資信託の販売額は2017年度に増えて、2018年度は前年割れとなりました。預り残高もやや減り気味です。
2016 2017 2018
主要行等 3.8 5.0 2.7 兆円
地域銀行 1.7 2.0 1.3 兆円
これを補うようにして伸びたのが外貨建て一時払い保険です(残高も右肩上がりです)。投信よりも手数料率が高いので、見掛けよりも銀行経営には貢献していそうです。
2016 2017 2018
主要行等 1.1 1.2 1.4 兆円
地域銀行 0.5 0.7 1.0 兆円
非資金利益を伸ばせるのか
このような状況のなかで、外貨建て保険をめぐるトラブルが問題となっているわけでして、金融機関が非資金利益を増やしていくにはハードルがあることもはっきりしてきました。
銀行は商品を提供するだけなので、為替変動や保険会社が破綻するリスクを負っていないのは確かですが、広い意味での経営リスクを抱えるということかと思います。
まさに経営陣によるリスクアペタイトの設定と、その実行が求められているのではないでしょうか。
※水曜日は娘とここでデートでした♪