あんしん!ジャイアン保険

知人のSNS投稿によると、9月24日のテレビ朝日『ドラえもん』は「あんしん!ジャイアン保険」だったそうです。気になったのでアニメを観たところ、こんなストーリーでした。

未来の保険「なんでも保険」は、自分の考えた保障(補償)を保険屋さんロボットに相談すると、プランを提案してくれるというものです(保険屋さんロボットの名前が「なんでも保険」なのかもしれません)。のび太は「なんでも保険」に相談し、ジャイアンから殴られたり、蹴られたりしたら保険金を受け取れる保険に入りました。保険料は1日10円です。
加入後すぐにジャイアンに殴られたのび太は保険金を受け取り、そのお金で読みたかったマンガを買うことができました。

これに味をしめたのび太は保険料を2倍にして、お金をたくさん受け取ろうと画策します。しかし、わざわざジャイアンにからみにいっても暴力を振るわれない日々が続きます。保険料の負担でおこづかいが底をついたのび太は、ジャイアンが落書きしたしずかちゃんの本や、保険に入る前にジャイアンに壊されたラジコンカーなどで保険金を請求するのですが、保険屋さんロボットに支払いを拒否されてしまいます(ロボットは過去の出来事を確認できるのです)。最後は不正まがいの手段に出るのび太でしたが、これも失敗。契約を破棄した直後にジャイアンにボコボコにされるというオチでした。

アニメ『ドラえもん』の主な視聴者は小学生ですよね。よくできた話だと思いました。「もしもの時の強い味方」というキャッチフレーズから始まり、ドラえもんがのび太に「(毎日の保険料は)結構な出費だよ」とクギを刺すシーンもありました。長い間使っているうちに壊れたものや、保険に入る前の事故は補償の対象外だというのも保険の基本的な話ですよね。「保険はもしもの時の味方であって、保険で儲けようとするのはダメなんだよ」というメッセージになっています。
アニメにはありませんでしたが、もしのび太の画策が成功し、ジャイアンにわざと殴られた場合には、保険屋さんロボットはどう対応したのでしょうね。

ところで「なんでも保険」はどうやってジャイアン保険を引き受けているのでしょうか。暴行シーンを過去にさかのぼって確認できるので、不正な保険金請求を防ぐことはできます。ただし、のび太がリスクの高い行動をとることを防ぐシーンはありませんでしたので、モラルハザードの発生は避けられません。加入後ののび太の行動はモラルハザードそのものでしたよね。
プライシングは難しそうですが、ジャイアン個人の行動履歴を分析するというのではなく、全国のいじめっ子の詳細な暴行データ、あるいは詳細な被害データが入手可能な世界になっているのかもしれません(事件にはならないレベルまでの詳細な情報を第三者が入手できる社会で暮らしたいかどうかはともかく)。
もっとも、ドラえもんはもう何十年も放映されているので、ジャイアンとのび太が登場するシーンを分析すれば、保険料を決められるような気もしますね。

※日曜日は稲刈りの日、でした。福岡市内にて。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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