オランダを本拠とする大手金融グループINGは26日、
保険事業を売却すると発表しました。
日本のアイエヌジー生命のHPでは、
「ING の経営戦略の一環として、2013 年までに、銀行部門と
保険部門(資産運用含む)の経営を分割することを決定しました」
「INGグループが世界で展開する保険事業を
ひとつのグループ会社として上場する方法や、売却、または
その組み合わせによるさまざまな選択肢を検討しております」
とありますが、これは保険事業をグループから切り離すという意味です。
投資家向け資料によると、2010年から売却の準備を始め、
遅くとも2013年までにはグループから保険事業を
完全に切り離す計画とのこと。
ちょうどAIGグループにおけるアリコと同じ状況になったと言えるでしょう
(株主が変わるだけで、契約条件などは変わりません)。
資料には、保険事業の売却代金を、オランダ政府が保有する
コアTier1証券の買い戻し、つまり、公的資金の返済にあてる
という説明もありました。
実のところ、今回の決定はある程度予想されていた事態でした。
先月のヨーロッパ便りで触れたとおり、公的資金を受け入れた
金融機関は欧州委員会から大規模なリストラを求められていたためです。
それにしても、シティグループ、クレディスイス、アリアンツなど
かつては保険事業を含む金融コングロマリットがいくつかありましたが、
これで大手銀行と大手保険事業の両方を抱えるグループは
ほぼなくなりました。
すべての金融商品を自前で提供するメリットよりも、
グループ経営が複雑になりすぎる弊害が大きかったのでしょうか。
今後の研究テーマになりそうですね。
※写真は武蔵大学です。1コマだけ講師を務めました。