先週、日本生命と明治安田生命が中期経営計画
(日本生命は新計画への切替)を発表しています。
上場保険会社では半年ごとのIRミーティング等で
経営計画に関する詳細な説明があるのですが、
相互会社は入手できる情報が限られているので、
これらは経営の考えを知る貴重な機会です。
いずれもマイナス金利政策下での厳しい環境が
続くなかで新たに策定した計画ということで、
私が気になった部分をご紹介します
(全体像はそれぞれのリンク先をご覧ください)。
<日本生命>
2017-2020年度 中期経営計画 【PDF】
2015年度からの3カ年計画の途中ですが、
マイナス金利政策下での歴史的低金利を受け、
事業戦略を見直し、新たな中計を策定しました。
成長戦略として「超低金利下での収益性向上」
の実現を掲げ、
超低金利下で顧客ニーズと収益性の両立を
前面に打ち出しています
(具体的な取り組みは今後でしょうか?)。
「超低金利下でも着実な成長を果たすべく、
経営戦略の根幹にERMを位置付けて経営」
というERMに関する説明もあり、
「グループベースに加えて、保険子会社ごと、
領域ごとに経済価値指標を用いたPDCAを実施」
「経済価値ベースでの収益性・効率性・健全性
管理を強化」
と、経済価値ベースでの管理を強調しているのも
注目です。
<明治安田生命>
MYイノベーション2020 【PDF】
「明治安田NEXTチャレンジプログラム」に続く
新たな3カ年計画です。
明治安田生命にとっても超低金利の影響は、
決して小さくないと思うのですが、発表資料には
超低金利を意識した記述はほぼ見られません
(あえてそうしているのかもしれません)。
2019年度目標値として今回から新たに、
「資本効率指標(RoEEV):年平均6%程度を
安定的に確保」
「経済価値ベースのソルベンシー比率(ESR)
:160%以上」
が加わりました。
日本の上場保険会社の大半がこれらの指標を
自主的に公表し、アナリストや投資家との対話に
活用していますが、おそらく明治安田生命も
何らかの指標を公表していくのでしょう。
ただし、注記を見ると、それぞれ
「2016年度末見込の運用環境に基づく数値」
「想定運用環境を前提とした数値」とありまして、
市場変動の影響は目標値の対象外だそうです。
中計に沿って、資産運用収益力を強めたり、
ERMでリスク・リターン運営を行ったりしても、
資産運用によるリスクテイクは、実現益として
純資産を積み上げないと、目標達成には貢献
しないはず(インカムゲインを除く)。
運用強化のターゲットはクレジット投融資なので
これでOKという割り切りなのかもしれませんが、
ステークホルダーであれば、もう少し説明が
ほしいでしょうね。
※写真は岡山県の港町・牛窓です。