非財務情報を巡る勘違い

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日経夕刊の十字路というコラムに載った
「非財務情報を巡る勘違い」を興味深く
読みました(17日)。
首都大学東京の松田千恵子先生による
ものです。
日経のサイトへ(有料版)

内容はタイトルの通りで、非財務情報として
開示が求められているのは、企業の将来に
向けた方針であり、どのように企業価値向上
を果たすかが重要なのに、そうなっていない
というものです。

「勘違いした統合報告書には、無味乾燥な数値実績と、きれいごとっぽい慈善活動だけが脈絡なく並んでいる。(中略) これでは投資家ならずとも、利害関係者としてその企業が将来をどう考えているのか判断しようがない」

何とも痛切なコメントですが、実のところ私も
似たように感じることがあります
(数値実績を無味乾燥とは思いませんが…)。

特に、近年ESG(環境・社会・ガバナンス)情報
が注目されているためか、非財務情報というと
環境保護や社会貢献関連の情報が目立つなど、
財務情報とは別の情報として捉えられやすい
のかもしれません。

日本IR協議会による実態調査などを見ると、
企業が「勘違い」しているのではなさそうですが、
非財務情報をどのように開示し、理解してもらうか
悩んでいる状況がうかがえます。

そこで思い当たるのが、上場保険会社による
「ERM関連情報の開示」の積極的な開示です。

ERM関連情報なので、リスクテイクの方針など、
経営の考え方を提示するのが一般的ですし、
こうした非財務情報を補うため、内部で活用する
独自の指標やそのターゲット水準、感応度分析
といった財務情報も公表しています。

つまり、経営がどのように企業価値の持続的な
拡大を目指そうとしているかを、非財務情報と
財務情報を結び付けて説明しているのですね。

もちろん、利用者としてまだまだ思うところは
ありますが、保険業界のこうした取り組みは
非財務情報の開示に悩む他業界にとっても
参考になるのではないでしょうか。

なお、関連する日本公認会計士協会の報告書
を見つけましたので、リンクしておきます。
日本公認会計士協会のサイトへ

※高校のOB会で再び横浜の崎陽軒本店へ。
 旧制中学の卒業生もお二人いらっしゃいました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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