過去20年の寄稿から見えるもの

保険ジャーナリスト森田直子さんが直近のinswatch Professional Reportのなかで、この20年間の原稿執筆依頼の変化から保険の販売チャネルの動向が見えるという興味深い記事を書いていました。なるほどと思い、自分の場合はどうだろうと、さっそく過去に新聞や経済誌に寄稿した文章をリストアップして、タイトルを眺めてみました
(ご参考までに最後にリストを載せています…私の備忘録ですね)。

東洋経済の保険特集号に1999年から2017年まで寄稿していた(一時中断あり)こともあり、この20年間、ありがたいことに保険関係の論考をほぼ途切れることなく寄稿してきました。しかし、ここから保険業界の変化が感じとれるかといえば、そうでもなさそうです。

寄稿の特徴としては、

・保険会社の経営分析が多い(「アナリスト」を名乗っているので当然ですね)
・内外の健全性規制の解説も多い
・最も多いのは経営改革を求めるもの

の3点でしょうか。私の求められる役割がこの3点だと言えばそれまでですが、変化というよりは、むしろ一貫して「保険会社の経営改革」を訴え続けてきたということになりそうです。
逆に言えば、20年前も今も「ガバナンス」「リスクマネジメント」「販売至上主義からの脱却」が保険会社の課題であり続けている(少なくとも私にはそう見える)ということですね。

もちろん、保険会社の経営が20年前から全く変わっていないというのではなく、変化はしているのだけど、求められる水準が上がっている、あるいは、事業の多角化などにより、求められる内容も変わってきているのだと思います。

【新聞・経済誌への主な寄稿】
 <格付アナリスト(R&I)>
「生保の予定利率引き下げ」2001.8.20 読売新聞『けいざい講座』
「生保契約者の保護充実を」2001.11.20 日本経済新聞『経済教室』
「経営戦略の『リセット』へ 株式会社化のお勧め」2003.8 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「国内生保の経営改革始まる」2004.7 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「生保危機は去ったのか?求められる社会保障の補完的役割」2005.9 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「顧客に合わせた経営スタイルを構築せよ」2006.8 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「保険不払い、どう考える」2007.5.6 朝日新聞『耕論』
「金融庁が求める基準見直しの狙い」2007.6.26 週刊エコノミスト
「今度こそ『販売至上主義』から『顧客重視』経営への転換を」2007.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「生保経営統治向上急げ」2008.8.22 日本経済新聞『経済教室』
「破綻危機は去ったのか? なお潜伏する経営リスク」2008.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「特集 共済vs.生保-【4 共済の実態】格付けアナリストが深層に迫る-大手共済徹底分析」2008.11.29 週刊東洋経済
「AIGショックに揺れる米国生保 不安視される日本の生保事業の行方」2009.1.31 週刊ダイヤモンド
「保険危機再来に問う『ガバナンスは万全か』」2009.4.18 週刊東洋経済
「2008年度の生保決算分析」2009.8.17 週刊金融財政事情
「ポスト金融危機の保険経営」2009.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「金融危機と保険会社のリスク管理態勢」2009.12.21 週刊金融財政事情

 <金融庁>
「保険会社に対する健全性規制の最近の動向」2011.4.18 週刊金融財政事情

 <キャピタス>
「注目が集まるERM経営」2013.3.9 週刊ダイヤモンド
「異次元緩和下における生保のリスクマネジメント」2013.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「4大共済の実力分析」2013.8.24 週刊東洋経済
「主要生損保のリスク戦略」2014.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「進む保険の国際規制改革」2015.1.17 週刊ダイヤモンド
「大型M&Aがゴールではない 海外展開で問われるERM経営」2015.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「高騰する地震保険料 広がる都道府県の格差」2016.1.16 週刊東洋経済
「マイナス金利政策の導入で問われる生保経営の成熟度」2016.4.23 週刊ダイヤモンド
「未曽有の利回り曲線平坦化に生保経営はどう対応するのか」2016.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「保険会社による適切なリスクテイクとは」2017.10 週刊東洋経済臨時増刊『生保・損保特集』
「超低金利と技術革新が迫るチャネル戦略の再構築」2018.6.18 週刊金融財政事情
「主要生保経営の現状と課題を探る」2019.2.4 週刊金融財政事情
「最高益は見せ掛けにすぎない 生保経営の真実に迫る」2019.6.15 週刊ダイヤモンド

 <福岡大学>
「大手損保グループの2020年3月期決算分析」2020.7.6 週刊金融財政事情

※写真は筑豊電鉄です。
 終点・直方のアーケード街は閑散としていました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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