貯蓄性保険の販売

金融庁がレポートを公表

金融庁が26日に公表した変革期における金融サービスの向上にむけて~金融行政のこれまでの実績と今後の方針を読むと、金融庁が顧客本位の業務運営という観点から貯蓄性保険の現状に引き続き強い関心を持っていることがうかがえました
(今回のテーマとは別の話ですが、経済価値ベースのソルベンシー規制について、「国際資本基準(ICS)に遅れないタイミングでの導入を念頭に」なんて記述もありますね)。

今回の「これまでの実績と今後の方針」は、従来の「金融レポート」と「金融行政方針」を一体化したものなので、昨事務年度に金融庁が取り組んだ内容の記載があったうえで、今事務年度の方針が示されていて、わかりやすいです。

顧客本位は道半ばという評価

貯蓄性保険に関しては、まず前半の「2.家計の安定的な資産形成の推進」のなかで、主要な金融機関における投資信託や貯蓄性商品の販売状況についてモニタリングを行ったところ、顧客本位の取り組みは道半ばであるとしています。
例えば、運用環境に左右されにくい一時払保険において四半期末ごとに販売額が増加しており、営業現場では収益目標を意識したプッシュ型営業が行われているのではないかという指摘をしています(34ページ)。

さらに、後段の保険行政に関する記述でも、定額個人年金(円建・外貨建)や変額個人年金の商品特性やリスクを示したうえで、モニタリングの結果、商品内容の情報提供がわかりやすく行われていないことを確認したとしています(99~102ページ)。
今事務年度に金融庁は、商品内容等のさらなる「見える化」を促進していくとともに、貯蓄性保険(特に外貨建保険)の販売時における顧客への適切な情報提供に関するベストプラクティスの追求に向け、各社と対話を行うそうです。

営業職員チャネルでも強いニーズ

貯蓄性保険というと金融機関代理店の話というイメージがありますが、先日発売された東洋経済の生保・損保特集によると、営業職員チャネルでも外貨建ての貯蓄性保険が積極的に提供されていることがうかがえる記事がいくつかありました。

例えば、保険ジャーナリスト森田直子さんによる恒例の営業職員・覆面座談会から引用させていただくと、

「外貨建て保険の一時払い商品が売れています。1年前に発売された当時はそれほどでもなかったのですが、今年度になって急激に売れています」
「うちでも売れています。一時払い保険を外貨建てにシフトするお客様が多いです」
「外貨建て、本当にばか売れですよね」

といったやり取りが出ていて、現場の雰囲気が伝わってきます。

コアとする顧客基盤の年齢層を考えると、おそらく保障性商品よりも売りやすいのではないかと思いますが、顧客に商品特性やリスクをきちんと説明できているかという観点のほか、保障性商品を提供する力が落ちてしまわないか、なんてことを考えてしまいます。

※写真はベルンの町並み。世界遺産です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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