全国学生保険ゼミナール(Risk and Insurance Seminar, RIS)とは、リスクと保険を学ぶ学生のインターカレッジの集まりで、年に1回、合同で研究発表会を行っています。来年は私のゼミも参加する予定です。
新型コロナの関係でリアルな会合が難しいなか、RISに参加する複数の大学で新しい保険商品の提案発表会を行いました。これがなかなか興味深かったので、自分の担当する講義(保険論入門)でも学生の皆さんに取り組んでもらいました。
ごく限られた時間のなかでのアイディア出しでしたが、「なるほど、そうきたか」というものもあり、こちらも勉強になりました。
主なアイディアは次のとおりです。
「学生の学び継続の保険」
・新型コロナ流行の影響で、経済的に大学に行けなくなった人を支援
⇒ 起きてしまったことを後から補償するのは民間の保険では難しいですが、ニーズとしては切実ですよね。
「自動車免許返納保険」
・免許返納後の交通費や生活費を支援することで、高齢者の免許返納を促し、事故をなくす
⇒ 高齢者の自動車事故に関する提案は数人からありました。身近な問題なのかもしれません。
「AIによる失業保険」
・AI(人工知能)により仕事を失ったら保険金を受け取ることができる
⇒ 私はこれを見て、この保険はAIの普及を促し、失業者を増やすかもしれないと思いました。提案した学生がそこまで考えたかどうかはわかりません。
「出産見守り保険」
・シングルマザーの妊娠中や産後にかかる費用を補償し、子育てを支援する
⇒ 出産に関する提案も複数ありました。子どもを産みやすい世の中にしたいという気持ちの表れでしょうか。
「介護保険(介護者支援の保険)」
・身内が要介護状態となり、介護のために仕事ができなくなった人のための就業保障
⇒ 身近にそのような事例を見ているのかもしれませんね。
「結婚損失保険」
・離婚した際の慰謝料や結婚詐欺にあった被害額を補償することで、結婚のハードルを下げる
⇒ 結婚に関する保険の提案もいくつかありました。この保険を結婚時にどう販売するかですが…
「クレーム保険」
・サービス業で理不尽なクレームを受けたら、代わりに対応してくれるサービス や、お金を受け取ることができる
⇒ 「代わりに対応してくれる」というのがいいですね。バイトで理不尽なクレームを目の当たりにしているのかも。
保険商品のアイディアを考えるというのは、私たちが生きている社会の課題を考えるということなのだと、改めて思いました。