話題の書籍『金融庁戦記・佐々木清隆の事件簿』を読みました。
金融庁の「ジローラモ(ちょいワルおやじ?)」として有名だった佐々木さん。本書は佐々木さんの独白ではなく、佐々木さんが関わりを持った金融事件を新聞記者である大鹿靖明氏が当時の関係者への取材などで補強し、書籍にしたものです。いわば市場の番人としての金融庁の20年を記した貴重な記録と言えるでしょう。
金融庁というと、銀行や保険会社など金融機関に対する規制を作り、監督をしているというイメージが強そうです。しかし、金融庁には市場の番人という役割もあって、経済のインフラである金融市場の健全性を確保するため、例えば証券市場での不正を防止・摘発したり、監査法人をチェックしたりしています。
佐々木さんは金融検査のほか、こうした金融市場まわりの仕事が多かったため、ライブドアや村上ファンド、AIJ投資顧問、オリンパス、東芝といった市場を揺さぶった数多くの金融事件に関わっています。本書には行政として成功した事例ばかりでなく、むしろ失敗も多かったことや、組織として多くの問題を抱えていた(抱えている?)ことなどがきちんと記されていて、今後の行政の参考となりそうです。
個人的にも、金融庁時代に検査局サイドの上司にあたるのが佐々木さんだった(私は検査局と監督局を実質的に兼務していました)ので、当時を思い出しつつ楽しく読むことができました。
※門司港駅は国の重要文化財に指定されています。