入院給付金の見直し(続き)

コロナ「みなし入院」による入院給付金支払い対象の見直しについて、9日に多くの保険会社がニュースリリースを公表しましたので、確認してみました。
9月26日以降の診断から、重症化リスクの高い「みなし入院」の加入者(=発生届の対象)のみに入院給付金を支払うという内容は各社共通ですが、説明内容はいくつかのパターンがありました。

・政府が発生届対象を限定した
・政府による発生届対象の限定で、入院が必要な状態と判断できなくなった
・発生届の対象外の人は入院の定義から外れる
・発生届が出ないと感染症法上の「健康観察」の対象とならない
・入院の必要性が低い感染者が増えたうえ、政府による発生届対象が限定された

発生届に関する政府の対応に伴う措置という説明だけではなく、実態として入院の必要性の低い感染者が増えたという趣旨の説明をしているのは、私が確認したなかでは第一生命、ソニー生命、オリックス生命、大手損保4社と損保系生保だけでした。この点に触れないと、これまでは政府に言われたから支払っていて、今般は政府が方針を変えたから見直すという説明に見えてしまうように思うのですが…
なお、「加入者間の公平さを欠いている」「モラルの低い加入者が増えている」といったところまで踏み込んだ記述は見当たりませんでした。

以下、大手生保を中心に10社ほどのリリースの概要を記しておきます(11日時点で未公表の会社もあるようです)。

日本生命
見直しの背景として、これまでは約款上の定義には該当しないものの「入院」と同様に取り扱ってきたが、今般の政府による発生届対象の限定により、今後は「新型コロナウイルス感染症に罹患したことのみをもって『常に医師の管理下において治療に専念』し『入院が必要な状態』と判断できない」と説明しています。

第一生命
これまでは、約款上の「入院」の定義に該当しないものの、社会情勢を踏まえた時限的な措置として実施してきたが、感染者数が増加するなかで、「(入院の必要性が低い)軽症・無症状の割合が高まっていること」「政府が発生届の対象を限定すること」の2つにより見直すと説明しています。

住友生命
「新型コロナウイルス感染症の発症状況が変化しつつある中、政府における措置などの状況変化を踏まえ、今後は、重症化リスクの高い方の宿泊療養・自宅療養を『みなし入院』による入院給付金のお支払対象とするもの」と説明しています。

明治安田生命
今回の対応の背景として、これまでは入院が必要である「みなし入院」の方に支払ってきたが、「今回の政府における措置に伴い、発生届の対象とならない方は『常に医師の管理下において治療に専念している』とはいえない」ため見直すと説明しています。

かんぽ生命
これまでは「お客さま保護の観点から、約款上の『入院』とみなして」きたが、「新型コロナウイルス感染症に係る発生届の範囲を全国一律に重症化リスクの高い方に限定する旨が公表されたこと等を踏まえ」見直すという説明です。

大樹生命
約款に関する記述はなく、今般の見直しの理由として、「発生届の対象外となる方については、『常に医師の管理下において治療に専念』していると判断できず、新型コロナウイルスに感染したことのみをもって『入院が必要』な状態と判断できないため」と説明しています。

朝日生命
やはり約款云々という記述はなく、政府の決定により、「発生届の対象外となる方については、常に医師等の管理下で治療に専念している状態にはないこととなり、新型コロナウイルス感染症に罹患したことのみをもって入院治療が必要だと判断できなくなります」と述べています。

太陽生命
これまでは保険約款を柔軟に解釈した特例措置をとってきたが、「発生届の対象とならない方を新型コロナウイルス感染症と診断されたことのみをもって『医師の管理下における治療に専念』し『入院が必要な状態』と判断できない」ので、見直すとしています。

富国生命
政府から示された方針を受けてという説明です。

オリックス生命
政府の方針見直しのほか、「新型コロナウイルス感染症の発症状況が変化しつつあり、必ずしも入院を必要としない軽症・無症状の割合が高まっている状況にあります」と述べ、入院の定義から外れるとしています。なお、ニュースリリースではなく「おしらせ」に出ています。

アフラック生命
発生届が出ないと感染症法上の「健康観察」の対象とならず、入院給付金の支払要件に該当しないという説明です。

メットライフ生命
「今回の取扱変更に至る経緯」という説明があり、「発生届を提出する対象とならない方については、感染症法上の『健康観察』(健康状態を確認する)の対象から外れるため、保険約款上の『入院』の要件である、『常に医師の管理下において治療に専念すること』には該当しない」ので取り扱いを変えるとしています。

あんしん生命
「新型コロナウイルスの感染者数が増加する昨今の状況においては、重症者の割合がこれまでと比べて低い水準であり、軽症・無症状の方の割合が高まっております」「発生届の対象とならない方については新型コロナウイルスに感染したことのみをもって入院が必要な状態と判断できない」の2つを挙げています。

ひまわり生命
「新型コロナウイルスの感染者数が増加する昨今の状況にあっては、重症者の割合はこれまでと比べて低い水準であり、軽症・無症状の方の割合が高まっている状況」「政府において、新型コロナウイルス感染症に係る発生届の範囲について、2022年9月26日以降、全国一律に、重症化リスクの高い方に限定」の2つを挙げています。

※写真は熊本・山鹿温泉です。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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