今年の「生保・損保特集」

毎年恒例の東洋経済「生保・損保特集」。今年は一月遅れで発売となりました。
ここ数年は保険会社の広報誌のような感じでガッカリすることも多かったのですが、今回の2020年版には以下の興味深い記事がありました。

「健康不安でニーズ急上昇 『医療保険』を徹底比較」(森田直子さん)
「ダイレクト損保、日本上陸から四半世紀の到達点」(大島道雄さん)
「100社超え急拡大 少額短期保険の課題」(トムソンネットの石井さん、板倉さん、森岡さん)

いずれも保険会社に取材して、その内容を紹介しただけというものではなく、ファクトを示し、それに基づいた分析がある記事です。
なかでも森田さんの記事は、22社の医療保険を8項目について比較したものですが、ランキング上位となった保険だけではなく、取り上げたすべての保険を一覧表にしているのが画期的だと思いました。

森田さんは、短期入院でも10万円を超える費用がかかり、かつ、入院が長引くほど費用がかかるため、「短期と長期両面の備えが、これからの時代の医療保険選びのポイントとなる」(本文より引用)と述べています。ここからすると、例えば、「1日でも入院したら10万円の給付金を受け取り、入院が10日以上になったら追加で10万円、30日以上になったらさらに20万円、60日以上になったら50万円の給付金を受け取ることができる」といった商品が望ましいのであって、疾病によって給付内容を変えるとか、手術給付金の保障内容に差をつけるとかいった話は、本来の目的とは関係ないはずです。

充実した公的医療保険があるなかで、民間の医療保険に求められている役割は医療費の補償ではなく、医療サービスを受ける状況になった際の経済的な補償を行うことです。それなのに、一覧表を見ると、どうも保険会社は的外れの競争を繰り広げているようです。しかも、給付を得られる要件がこうも複雑だと、利用者はどう選んだらいいのか。

この一覧表は、日本の医療保険の現状を物語っていて、まさに専門誌の行うべき仕事だと思いました。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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