モニタリング方針(続き)

 

母校の統合に驚いて、ブログがそちらに行ってしまいましたが、
書こうと思っていた「金融モニタリング基本方針」の続きです。

今年度の重点施策には「統合的リスク管理」も挙がっています。

・立入検査における個別の資産査定を中心とした検証から、
 重要なリスクを把握し、その脆弱性を分析する

・金利リスク、与信集中リスク等の管理態勢や統合的リスク管理態勢
 (ストレステストの実施・活用等を含む)を検証する

という基本コンセプトなので、主に銀行を意識しているようですが、
保険会社等のところには次のような記述があり、目を引きました。

「リスク管理を予防的・防衛的な観点からのみ捉えるのではなく、
 保険会社等の収益機会の拡大に向けた取組みを実質的に下支えし、
 後押しするものとして、収益の管理と一体的に検討していくことが重要」

同じ記述が主要行等にないのは不思議ですが、少なくとも保険では
ERMを引き続き重視していくと読めますね。さらに、

「これらに適切に対応できる人材の育成・確保並びに適材適所の
 人材配置も重要」

「経済価値ベースのソルベンシー規制の枠組みを検討するに当たって、
 保険会社が抱えるリスクの計量化に用いる内部モデルについて
 実態把握するとともに、監督手法等について検討を開始する」

とも書いてあります。

ただし、具体的な検証内容は、今一つよくわからないという印象。
むしろ大手には次の主要行等の記述が参考になるかもしれません。

・ストレステストの実施に当たって、PDCAの観点から、グループ内で
 ストレステストの結果を分析し、継続的・持続的にモデルや統計的手法等
 の改善を行うための態勢が整備されているか、検証する 【G-SIBs等向け】

・リスクアペタイトフレームワーク(経営陣等がグループの経営戦略等を
 踏まえて進んで受け入れるリスクの水準について対話・理解・評価する
 ためのグループ内共通の枠組み)を構築し、経営方針の策定や収益管理
 等の決定にも活用しているか、検証する 【G-SIBs等向け】

・海外・クロスボーダー業務の拡大や、その中で金融機関が外国当局から
 多額の罰金を科される事例が国際的に発生していること等を踏まえ、
 オペレーショナル・リスク、コンプライアンス・リスクの管理態勢の向上に
 向けた取組みが適切に行われているか、検証する 【主要行等全般】

・MIS(経営情報システム)の高度化に向けた取組みについても検証。
 MIS等を含むデータガバナンス態勢の構築・活用は、グループ全体の
 リスクをより実効的かつ効率的に管理するとともに、顧客ニーズにあった
 商品・サービスをタイムリーに展開するため、喫緊の経営課題
 【3メガバンクグループやG-SIFIs】

・アジアを中心とするグローバルビジネスを重視しており、ITインフラ整備の
 方針や対応状況についてモニタリング 【3メガバンクグループ】

規制対応、あるいは金融当局のモニタリングにかかわらず、
グループベースのERMを進める際に、重要なテーマだと思います。

※写真は中野です。面白いところですね。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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