植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2015年06月12日

ガバナンスコード適用開始

 

コーポレートガバナンス・コードが6月から適用となりました。
すでに東証に報告書を提出した会社もみられます。

大手金融機関では、みずほフィナンシャルグループが
適用初日に報告書を東証に提出しました。
みずほFGのサイトへ

注目の「政策保有株式」(原則1-4)に関しては、
「その保有の意義が認められる場合を除き、保有しない」
という基本方針が示されました。

同社では、個別銘柄ごとに定期的かつ継続的に
保有の意義を検証するのだそうです。

また、取締役会の実効性評価(補充原則4-11③)については、
「(ガバナンス改革について)順調にスタートできたものと評価」
「取締役会が自己評価を絶えず行い、(中略)現時点において、
 第三者評価は必要ないものと考えております」
という記載でした。

これだけでも前進とは思いつつ、期待外れの感も否めません。

今回のガバナンスコードは「基本原則」「原則」「補充原則」の
三層構造になっているのですが、東証の記載要領は、

 ・コードの各原則を実施しない理由
 ・コードの各原則に基づく開示

を新たに求めるだけなので、ガバナンスコードのうち、
明確に開示が求められているいくつかの項目
(1-4、1-7、3-1、4-1①、4-8、4-9、4-11①②③、
 4-14②、5-1)だけに対応すればOKという感じです。

しかし、コードを読むと、基本原則の具体的な項目として
原則や補充原則があるのではなく、いずれについても
実施していることを示さなければならないはずなのです。

例えば、基本原則3には、

「会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・
 経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務
 情報について(中略)主体的に取り組むべきである」

とあり、開示内容は限定されていません。
ところが、東証の記載要領は基本原則3ではなく、
「開示すべき」となっている原則3-1のみ意識しています。

このため、原則3-1に列挙された項目だけ開示すればOK
となってしまい。そもそもの基本原則3はどうなのか、
甚だ心もとない状況となっています。

コーポレートガバナンス・コード制定の趣旨からすれば、
開示項目だけ満たせばいいというのはおかしな話でして、
基本原則3の内容も実行する必要があるはずです。

ということで、これから出てくるガバナンス報告書に加え、
有価証券報告書やアニュアルレポートなどを見て、

「ひな型的な記述や具体性を欠く記述となっており
 付加価値に乏しい場合が少なくない、との指摘もある」
(ガバナンスコード第3章より引用)

が少しでも改善するかどうか、注目する必要がありそうです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


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コメント一覧

今、リスク管理を考える  (2015年06月12日 08:19:00)

私は、みずほのコーポレートガバナンス報告書を読んで、かなり良い印象を持ちました。コーポレートガバナンス報告書で態勢面として書けるレベルとしては十分だと考えています。ご指摘の株式の保有目的や取締役会による自己検証に関する文言については、ガッカリと言いたい気持ちも分かりますが、それは態勢面での記述に期待するのでなく、これからの運用面の成果、それに基づく投資家との対話や2年目以降のコーポレートガバナンス報告書に期待すべきではないかと考えています。あまり勧善懲悪の構図に持ち込まず、もうしばらくは温かい目で見守ってあげるべきだと思います。

植村  (2015年06月12日 10:22:36)

確かに大事なのは報告書そのものではなく、どのような経営になるのかですので、しばらく暖かい目で見守るべきなのでしょうね。そこはおっしゃる通りだと思います。

今、リスク管理を考える  (2015年06月27日 12:58:42)

MS&ADを始め、コーポレートガバナンス報告書が出始めてきたので、現状アップデートされてはどうでしょうか?

植村  (2015年06月28日 22:38:07)

ありがとうございます。できれば時間を見つけてフォローしたいと思います。

今、リスク管理を考える  (2015年07月24日 21:25:44)

第三者評価について、このような解説がありました。私も不勉強でこの点、よく理解してませんでした。
http://yamaguchi-law-office...

植村  (2015年07月25日 23:51:16)

ありがとうございます。
東芝の件についてもコメントを書かれていますね。

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