保険学会の全国大会

 

週末に高松で開かれた日本保険学会の全国大会に
参加してきました。

今年の大会は、初日のシンポジウムのテーマが
「IT技術の進歩と保険事業の展開」、
2日目の共通論題が「保険業規制と国際的調和」、
いずれも料理するのに難しそうなテーマでした。

それでも研究者の皆さんにとって、テーマになりそうな
論点がいろいろと見つかったのではないかと思います。

「保険業規制と国際的調和」では、複数のパネリストから、

・保険事業の国際化に伴い、健全性規制の共通化が必要
・ただし、各地域の特性等を踏まえたものであるべき

という話が出たので、「共通化と個別性の両立」について
フロアから質問してみました。

もしかしたら意地悪な質問に聞こえたかもしれません。
しかし、矛盾を突いたのではなく、保険事業は銀行以上に
市場ごとの事業・リスク特性の違いが大きいように思うので、
議論に値するテーマだと考え、質問したものです。

また、企業会計と金融規制の両面で進む経済価値ベースの
評価をテーマにした上野先生(静岡県立大学)に対しては、

・変動が大きくなることで、起こさなくてもいい行政措置
 (早期是正措置など)を招くのではないか?
・「変動が大きくなるから経営者にとってリスキー」と言うが、
 これまでよく見えなかったものが見えるようになるだけでは?

といったコメントがありました(後者は私)。

論文発表では、黒木先生(名古屋商科大学)による
「日本生命の戦後の相互会社化」が興味深かったですね。

「藤本談話のオーラルヒストリー分析を中心に」という副題が
あるように、当時のキーパーソンのオフレコ談話を発掘し、
他の資料と比較検討することで、真相に迫りました。

その結果、財閥系のようにGHQの指導ではなかったにせよ、
やはり、相互会社理念が主たる動機の相互会社化では
なかった可能性が高いと結論付けていました。

レジュメには「戦後のわが国相互会社経営の形骸化と、
戦後の相互会社化との関連性」という記述もあり、
今後の研究の進展が楽しみです。

※写真は帰りに空港で食べた釜揚げうどんです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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