運用資産消失事件

 

AIJ投資顧問の運用資産消失事件には驚きました。
年金資産は信託銀行が分別管理しているので安心、
というのは私の単なる思い込みだったようです。
おそらく運用会社の監督強化が求められるのでしょう。

ただ、今回の問題の本質は果たしてそこなのでしょうか。

生保とは違い、企業年金の収益源は運用リターンだけ。
予定利率を下回る運用では積立不足が発生してしまいます。
積立不足を解消するには母体企業に穴埋めしてもらうか、
制度を変える(=掛け金を上げる/支給額を減らす)、
あるいは解散するしかありません。

もし予定利率が国債利回りと連動しているのであれば、
リスクを取った運用をしなくても制度は回るでしょう。
しかし、予定利率を2.5%未満としている企業年金は
わずか1割強しかないそうです。
みずほ総合研究所の資料
企業年金のうち、中小企業が多い厚生年金基金には、
未だ予定利率が5.5%のところが500以上もあるとのこと。

これはすなわち、リスクを取らない運用をしていたら、
確実に積立不足に陥るというわけですね。

リスクを取った運用がうまくいかずに積立不足になるばかりでなく、
リスクを取らなくても積立不足に陥ってしまう。
今回の事件の根底には、このような現状があるように思います。

※写真は横浜ベイシェラトンです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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