植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2017年05月28日

生保決算

null null

ある生保の決算説明会で専門紙の記者から
次のように聞かれました。

「減収減益という結果だけど、話を聞くと、
 資産運用を積極化し、配当も出している。
 今回は果たしてどんな決算だったのか?」

報道では「マイナス金利が響き、減収」などと
保険料収入が減ったことばかりが注目され、
あとは基礎利益の解説が多少あるだけ。
確かに決算がよかったのか悪かったのか
これでは悩むのも無理はありません。

会社価値という観点から単純に1期前
(2016年3月末)と2017年3月末を比べると、
主に第三分野の保有契約積み上げに加え、
長期金利や株価の上昇により、ポジティブと
言うべきなのでしょう。

例えば各社が公表するEVを見ると、いずれも
数値が拡大しています
(日本、朝日、富国は非公表)。

ただし、金利のミスマッチは総じて広がり、
外貨建資産など資産運用リスクも増えてます。

また、各社とも保障性商品の販売に一段と
舵を切ったと思いきや、保険料収入の減収は
銀行窓販をはじめ一時払商品によるもので、
平準払の個人年金など(=収益性は低い)は
相当売れた模様です。

しかも、期中にはイールドカーブが極端に
フラット化し、健全性に余裕がなくなりました。
各社は劣後調達などに動きましたが、
再び金利が下がれば依然厳しいと思います
(もちろん個社による違いはありそうですが)。

ですので、「総じて厳しい決算だった」という
生保首脳のコメントは減収だからではなく、
基礎利益が減ったからでもありません。


メディアへの苦言となってしまいますが、
「保険料収入」では、必ずしも主力ではない
一時払の貯蓄性商品の動きだけを説明する
ことになってしまうので、販売動向を伝えたい
のであれば、他の指標を使い、各社が主力と
する営業職員チャネルや主力商品の動きを
解説すべきでしょう。

基礎利益(≒3利源)に関しても、もともとは
逆ざやを他の差益でカバーしていることを
示すために開示されるようになったものであり、
これで期間損益を語るのは無理がありますし、
ここまで外債投資が増えると、もはや何を
表しているかわからなくなっています
(外債投資で利息配当金収入が増えるため)。

せっかく各社が年換算保険料やその内訳、
EVや新契約価値などを示しているのですから、
記事ではこれらを活用してほしいです。
有力メディアが「保険料収入」と「基礎利益」に
こだわり続けると、保険会社の経営判断にも
悪影響を及ぼしますので。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。

コメント一覧

コメントはまだありません。

コメントをする

コメント投稿には専用IDでのログインが必要になります。
IDは筆者と面識のある方や、お仕事でのやりとりがある方にのみ発行しておりますので、投稿希望の方はお問い合わせページよりご連絡ください。

ログインしていない方はコメントをされる前に必ずログインをしてください。
ログイン画面

植村信保ブログ プロフィール ライブラリー お問い合わせ