植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2011年05月28日

主要生保の決算発表

 

主要生保の2011年3月期決算が出そろいました。
報道とは少し違う視点からコメントしてみましょう。

保険料等収入で明治安田生命が第一生命グループを
逆転したことが話題になっていますが、
一時払い商品の販売しだいで大きく変わるので、
あまり意味があるとは思えません。

私が注目したのは営業職員数の減少です。

ここ数年、主要生保は営業職員チャネルの改革に取り組み、
職員を数年かけてじっくり育てる姿勢を打ち出していました。
そのためか、主要生保の営業職員数は2008年3月期を底に
増加傾向にありました。

ところが2011年3月期の職員数は、前期に比べ大きく減っています
(8社合計で21.4万人 → 20.4万人)。
現場で何が起きているのか気になるところです。


震災の影響がそれほど大きくなかったため(?)、
報道ではソルベンシー・マージン比率の新基準も注目されました。

「基準の厳格化 → 株式売却」といった思い込みに近い
報道が目立つなかで、ロイターは一味違う記事を出しています。

記事によると、住友生命は「特別の行動を取ることは考えていない」、
日本生命も「従来のスタンスを大きく変えることなく、資産運用していきたい」
と述べたとのこと。
これを見ると、各社の目線はすでに新基準への対応ではなく、
その先にあることが伺えます。

ロイターのHPへ

他方、「規制強まり体力低下」という見出しをつけたのが朝日新聞。
最もしてほしくない誤解を全国紙がやってしまいました。

比率の算出基準が厳しくなった、つまり、モノサシが変わったのであって、
保険会社の体力が変わったわけではありませんよね。

朝日新聞のHPへ

「従来の基準より6割ほども下がった」、というのも変です。
1000%前後のものが600%前後に下がったのですから、
「4割ほども下がった」あるいは「従来の基準の6割ほどに下がった」
のはず。

あまり難しい話ではないと思うのですが。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は募金活動をしていた宮城県登米市の中学生たちから
 いただいたカードです。修学旅行のプログラムとして
 自分たちで募金活動を企画したとか。いい話ですね。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 15:33:54 | コメント(2)  | カテゴリー : 02. 保険会社の経営分析 |

2011年05月21日

大手損保の決算発表



大手損保3グループの決算発表がありました(19日)。

朝日新聞では決算発表に絡め、
「保険金支払い2.3兆円 震災で損保・共済」
という記事を掲載し、他のメディアも、

「大手損保 震災で赤字や減益に」(NHK)
「東京海上など2社減益 NKSJ赤字転落」(毎日)
「地震保険 重い負担」(産経)

と大震災の影響を報じています。

確かに国内の自然災害による保険金支払額は
過去最大級の見通しですが、大手損保の経営体力には
大きな影響を与えなかったと総括できそうです。

まず、業界全体で9700億円とされる「地震保険」の支払いは
危険準備金を事前に積んでおり、決算へはニュートラルです。

企業向け地震特約など「地震保険」以外の発生保険金は
大手3グループで約2000億円でした。

小さい数字ではないにせよ、過去最大ではありません。
台風災害が頻発した2004年度の発生保険金は
正味ベースで5000億円を超えています。

大震災の発生後、一時的に暴落した株価が戻ったのも
ラッキーでした。
有価証券含み損益への影響はざっと見て▲8500億円程度。
リーマンショックの2008年度は3兆円以上の減少でした。


むしろ心配なのは、自動車保険の収支悪化に
全く歯止めがかからないことです。
自動車保険のコンバインドレシオが100%を下回った
大手損保は1社もなく、軒並み悪化しました。

正味収入保険料(除く自賠責)の5割以上を占める
最大種目である自動車保険の赤字構造が
定着してしまった感があります。


※写真は松崎の旧家です。
 「内国生命病災保険」という会社があったのですね。


ブログを読んで面白かった方、なるほどと思った方はクリックして下さい。
| post at 15:05:56 | コメント(0)  | カテゴリー : 02. 保険会社の経営分析 |
植村信保ブログ プロフィール ライブラリー お問い合わせ