植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2009年04月16日

生保の逆ざや

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15日の朝日、16日の日経と、生保の逆ざやの記事が出ました。
内容は両紙とも概ね次の通りです。

「大手生保9社のうち、日本、第一、大同は逆ざやを解消していたが、
 09年3月期には全社が逆ざやになる見込み」
「昨秋以降の金融危機で運用環境が急速に悪化し、
 逆ざやの拡大が再び始まった」
「これまでと違い、各社とも増配は不可能な状況」

金融危機で運用環境が悪化し、解消していた逆ざやが
再び拡大したというのは、実は私の認識とはかなり異なります。

私の認識は、
・依然として予定利率の高い契約を抱えているため、
 そもそも逆ざやは実質的には解消していなかった。
・それでも平均予定利率は徐々には下がってきた。
・他方、金利水準は1年前とあまり変わっていない。
・以上から、足元で逆ざやは拡大していない。
というものです。

朝日と日経が間違っているというわけではありません。
両紙と私の違いは、逆ざやのとらえかたにあります。
言い換えれば、公表逆ざや額は実態を必ずしも反映していない
という話です。

公表される逆ざや額の計算では、利息配当金収入をベースとした
運用利回り(基礎利回りと言います)を使います。
ところが、この中には投信の配当損益など、
キャピタル損益とすべきものも含まれているのです。

もし、逆ざやをキャピタル損益を含めた利回りで計算すべきと言うならば
(それも一理あります)、株価や為替相場などの変動を反映した
時価利回りで逆ざやを計算すべきです。
もっとも、毎年利回りが大きく変動することになるでしょう。

私は資産を全て円金利資産で運用した場合の利回り
(リスクフリーレートのイメージ)が、逆ざや負担を見る観点からは
妥当ではないかと思っています。


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2009年04月11日

大和生命の保険金削減案

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4/11の各紙に、破綻した大和生命の保険金削減モデルが
掲載されています。

「終身年金(逓増型)で最大80%の削減」とあるように、
加入時の予定利率が高い貯蓄性商品で、
満期・終期までの期間が長いものほど大きく削減されています。

予想された事態ですが、二度目の破綻となった旧大正生命契約では、
1992年に加入した30歳女性の一時払い終身保険で87%の削減、
同じ条件の終身年金(逓増型、65歳開始)で約7割の削減と、
削減率が一段と大きくなっています。

ただ、どうしても削減の大きいモデルに目が行ってしまいますが、
その対象となる契約者はおそらく例外的な存在でしょう。
全体としてみれば、過去の破綻事例と比べて契約者負担が
際立って大きいということはなさそうです。

例えば、大和生命の予定利率は1%に下げられますが、
もともと平均予定利率が3%台まで下がっていました
(過去の事例では4%以上でした)。

責任準備金の明細を見ると、予定利率の高い契約は
すでに個人保険分野の半分以下に減っています
(日本生命で6割、朝日生命で7割です)。

大幅削減の可能性が高い個人年金のウエートも
他社に比べて小さいということもあります
(日本生命24%、朝日生命31%、大和生命12%)。

さらに、保険契約とともに優先的更生債権である労働債権は
24.8%の削減です(千代田生命では25.27%)。

もちろん、だからといって契約者負担が決して小さいわけではなく、
契約者保護のためには、やはり破綻を避けることが重要だと
あらためて確認できました。

※写真は昨年行った奈良公園です。


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