植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2016年03月13日

景気ウォッチャー調査

 

「景気ウォッチャー調査」というものがありまして、
いわば生活実感としての景況感をつかむために
内閣府が毎月実施しているアンケート調査です。

実際の調査から公表までの期間が短いのも特徴で、
例えば2月の場合、2/25~月末に調査した結果が
3/8に公表されています。

2月の調査結果は、景気の基調判断が下がり、

「景気は、円高、株安といった金融資本市場の不安定な
 動きの中、消費動向等への懸念により、このところ弱さ
 がみられる」

「先行きについては、春物商戦やローン金利低下への
 期待等がある一方で、引き続き、先行き不安や金融
 資本市場の動向が企業、家計のマインド等に与える
 影響に留意する必要がある」

というまとめでした。内閣府のサイトへ


アンケート調査なので、各地の景気ウォッチャーによる
様々なコメントが載っています。

そこで、調査結果(全体版)から、マイナス金利政策に
関連するコメントを拾ってみました。

<家計動向関連>
○突然のマイナス金利と、消費税率 10%への引上げ前の
 駆け込み需要が重なり、若い世代の顧客の動きが非常に
 良い 【東北、住宅販売会社】

●日銀のマイナス金利導入以降、百貨店友の会への入会
 希望者が明らかに増加している。預貯金の金利低下を懸念
 しての行動であり、消費者の生活防衛意識が高いことへの
 表れである【東北、百貨店】

●マイナス金利政策の副作用を含めた効果も不透明である
 など、外的環境が悪く、マインドの改善が望めない
 【近畿、百貨店】

●マイナス金利の影響で、住宅ローン金利の低下は更に進んで
 いるが、経済環境の先行きに対する不安感が高まっている。
 そのため、モデルルームへの来場者数が減少し、購入決定に
 移行する割合も低下している 【近畿、その他住宅[情報誌]】

*客からの問い合わせで新築物件の早期建築を要望するケース
 が増加している。その理由としては、マイナス金利政策による
 金融機関の金利優遇や消費税率引上げを見越した早期契約を
 要望している客が増加しているためである
 【中国、住宅販売会社】

<企業動向関連>
●今回の日銀のマイナス金利は、地方銀行にとって最悪である。
 この政策が資金需要の増加につながるとは全く思えない。
 これは景気に悪い影響を与えると思う 【南関東、金融業】

○日銀のマイナス金利の反響は大きく、住宅メーカーの景気は
 好調である。企業への貸付も緩和されて良いムードになりそう
 である 【南関東、税理士】

●特にマイナス金利の影響として、企業の立場からするといくら
 金利が低くても設備投資などの実需がなければ借入はしないし、
 個人の立場からも住宅ローン金利が低くなっても、個人所得の
 増加傾向が期待できない限り、将来の返済見込みが立たず、
 借入はしないと考える
 【北陸、一般機械器具製造業】

●マイナス金利や海外の不安定な原油価格相場、株価乱高下
 など、経営環境の不安要素の影響で設備投資が積極的には
 行われておらず、受注高も前年割れが続いている
 【中国、通信業】

*日銀のマイナス金利導入以降、顧客より新規融資案件や既存
 貸出金についての金利引下げ要請が増加している
 【四国、金融業】

●株価、為替、マイナス金利による銀行経営へのインパクト等、
 環境変化の乱高下が激しいニュースが相次ぎ今後どう動くのか
 全体的に様子見している感じがする。消費行動も当面慎重な
 動きになるのではないか 【沖縄、食料品製造業】

<その他>
●マイナス金利など先行きの不透明感が客の意識のなかに広まっ
 ており、購入マインドが少し弱まっている 【東北、家電量販店】

●マイナス金利政策による景気の先行き不安から、消費の冷え込
 みにつながる可能性がある 【近畿、家電量販店】

●将来に不安を持っている経営者が非常に増えている。世界経済
 の悪化、日銀のマイナス金利の導入、来年の消費税増税等で、
 経営者が設備投資に消極的になっており、景気は悪化しつつある
 【四国、公認会計士】


引用が長くなってしまい恐縮ですが、いかがでしょうか。

NHKニュースでは、「日銀のマイナス金利政策については
見方が分かれました」とあるのですが、ポジティブなコメントは
住宅関連だけで、どうもネガティブなコメントが目立つようです。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします

※越後湯沢の先にある貝掛(かいかけ)温泉に行きました。
 目に効く温泉なのだそうです。


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2016年01月17日

社長人事

 

先週に続き、持株会社(純粋持株会社)関連の話です。

東京海上グループはグループ経営体制(人事)を見直し、
持株会社の社長が中核子会社(東京海上日動)の社長を
兼務する人事を改めることにしました。

日本の持株会社グループを見ると、

・純粋持株会社の傘下に大きな中核子会社があるケース

・経営統合に伴い設立した純粋持株会社の傘下に
 複数の中核子会社があるケース

の2つに分けられます。

もっとも東京海上グループやSOMPOグループのように、
設立当初は後者だったものが、その後子会社が合併し、
前者となったケースも目立ちますね。

前者の場合、実質的に「グループ ≒ 中核子会社」
ということが多いためか、持株会社と中核子会社の
社長が同じであることが多かったように思います。

ただ、持株会社の社長はグループ事業ポートフォリオを
いかにマネジメントするかが主な役割であるのに対し、
事業子会社の社長の役割は当該事業のマネジメントです。

東京海上の場合、海外子会社が東京海上日動の傘下に
あるとはいえ、さすがに「グループ ≒ 東京海上日動」
ではなくなっているのでしょうから、今回の経営体制の
見直しは私には理解できる話です。


参考までに、他の保険・金融グループを見てみましょう。
まずは保険持株会社グループから。

MS&ADは、持株会社の社長が中核子会社の一つである
MSIの社長を兼務しています。
ちなみにADIの社長は持株会社の会長を兼務しています。

SOMPOグループは、持株会社の社長が中核子会社の会長、
中核子会社の社長が持株会社の会長という体制です。
しかし、4月から中核子会社の社長が代わり、兼務人事でも、
SJとNKの統合に伴う「たすき掛け人事」でもなくなります。

T&Dは持株会社、中核子会社で社長の兼務はありません。

ソニーフィナンシャルでは、少し前まで持株会社の社長が
中核子会社(ソニー生命)の社長を兼務していましたが、
2015年4月からは兼務を解消しています。

大手銀行グループはどうでしょうか。

MUFGは、持株会社の社長が中核銀行のトップを
兼務しています。
報道によると、近いうちに兼務が解消される模様です。

SMFGとみずほFGは現在、いずれも持株会社の社長と
中核銀行トップの兼務はありません。
SMFGは2011年4月から、みずほFGは2014年4月から
現体制となっています。

三井住友トラストは持株会社の社長が中核銀行の会長、
中核銀行の社長が持株会社の会長という「たすき掛け」。

りそなGは持株会社と中核銀行のトップが兼務です。

全体としては、トップ人事の兼務やたすき掛け人事が
解消に向かっているように見えますね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※暖冬のためか、大倉山公園の梅がもう咲いていました。


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2016年01月09日

金融グループの経営管理

 

昨年末(12/22)公表の金融審議会報告書
「金融グループを巡る制度のあり方について」
を遅ればせながら読んでみました。

何となくFinTech絡みの話だと思っていましたが
(新聞報道ではそのような取り上げ方だったので)、
金融グループの経営管理のあり方を議論したうえで、
各論としてFinTech関連の規制緩和を求めていました。
金融庁のサイトへ

報告書では、金融グループの持株会社が果たすべき
経営管理機能の内容について明確な規定がないため、
法令上明確にしておくことが適当としています。

そして、グループの経営管理として、あるべき姿は
営業基盤・規模・リスク特性・経営戦略等に応じて
区々であるとしたうえで、例えば、

・グループの経営方針の策定
・グループの収益・リスクテイク方針、並びに資本政策等の策定
・グループの経営管理体制の構築・運用
・グループのコンプライアンス体制の構築・運用と利益相反管理
・グループの再建計画の策定・運用(特にG-SIFIs)

などを行うのが適当としています。

「リスクテイク方針」が挙げられているということは、
グループとしてのリスクアペタイトを明確に設定し、
それに沿って収益・リスクテイク方針や資本政策等を
策定することが想定されているのでしょう
(そうでないとリスクテイク方針を立てられないので)。

報告書はメガバンクグループや地域銀行グループなど
銀行を中心とした金融グループを念頭に置いていますが、
保険グループについても基本的な考え方は同じでしょうから、
この報告書の影響は大きいのかもしれません。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※吹屋の町並みです。赤い町並みが印象的でした。


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2015年07月25日

東芝の第三者委報告書

 

金曜日(24日)は「日経」「明治安田生命」と続けて
海外M&Aのニュースが飛び込み、驚きました。

今回はこの話ではなく、東芝の不正会計について。

21日に公表された第三者委員会による調査報告書を
私も一読してみました。
東芝のサイトへ

新聞報道をはじめ、すでにいろいろと書かれているので
中身の紹介は省略して、個人的な感想を2点ほど。

報告書を読むと、利益かさ上げの手法として、
工事損失引当金の計上に関する恣意的な判断や、
期末の押し込み販売による数値かさ上げなどが、
何回も出てきます。

これらは、社内では適切ではないと認識しつつも、
「粉飾」「違法」とまでは認識されていなかった模様です。

3日間で120億円の利益改善を求めたという話も、
「社長月例」「着地見込会議」などでの議論も、
根底には、「決算は作るもの・コントロールできるもの」
という意識があることがうかがえます。

もちろん、うかがえるというだけで、証拠はありません。
ただ、この点を含め、できればもう少し掘り下げて
いただきたかったなあという印象を持ちました。

「なぜトップは工事損失引当金計上を認めなかったのか」
「なぜトップは利益かさ上げの解消に難色を示したのか」
「なぜトップの圧力が組織的な不正という結果になるのか」

といったところはモヤモヤしたままなのですね
(時間的に厳しかったのだとは理解します...)。

300ページもある報告書を一読したかぎりでは、
「責任の自覚が必要」「経営トップ等の意識改革」
という提言が果たして本質的な再発防止策なのか、
私にはわかりませんでした。


もう一つ、会計監査人は会社にダマされっぱなしだったのか、
あるいは共犯だったのか、本調査の目的ではないとはいえ、
やはり気になるところです。

例えば、別紙3(報告書の最終ページにあります)として
PC事業月別売上高・営業利益推移のグラフがあり、
リーマンショック後の推移はかなり異様な動きに見えます。

もちろん、会社は監査人に何らかのストーリーを示し、
納得させようとしたはずです。
ですから、監査人は被害者なのか、そうではないのか、
今後の調査で解明されることを期待しています。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は成田山新勝寺と門前町です。

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2015年07月19日

生損保のガバナンス報告書

 

先日ブログでみずほフィナンシャルグループの
ガバナンス報告書についてコメントしましたが、
大手保険グループの報告書が徐々に出てきているので、
ざっと比べてみました。

現時点でコーポレートガバナンス・コードを反映した
報告書を公表しているのは、第一生命、MS&AD HD、
SOMPO HD、そして住友生命の4社です。

最後の「住友生命」はあれ?っていう感じですよね。
相互会社形態なのでコードの適用対象外なのですが、
コーポレートガバナンスは会社形態に関わらず
共通のものという認識のもと、任意対応したそうです。

同じく相互会社形態の明治安田生命も7月下旬に
ガバナンス報告書を公表する予定としています。


中身のほうも見てみましょう。

東証の記載要領には、コードの各原則のうち、
実施しないものがある場合には理由を記載すると
なっています。

4社のうち、SOMPOは「全てを実施」とあり、
第一生命は記載なし(おそらく「全てを実施」なのでしょう)。

他方、MS&ADは補充原則4-11③(取締役会の実効性)
について、「今後実施します」とありました。

住友生命も4-1③について「現時点では実施していない」
「結果の概要の開示等について検討を行う」とありました
(住友生命は4-1③についても記述あり)。

ちなみに第一生命は「ホームページにて開示」とあり、
確認すると、自己評価アンケートが公表されていました。
第一生命のサイトへ

第一生命は他の開示項目も「ホームページにて開示」と、
報告書そのものにはあまり記述が見られないのですが、
この自己評価アンケートはなかなか興味深いです。


政策保有株式(原則1-4)についても確認しました。
損保の場合、みずほや三井住友トラストのような、
「原則として保有しません」という記載は見られません。

 「発行体の財務状況、ガバナンス、株価、株式の流動性、
  取引状況等を総合的かつ慎重に判断します」
 「保有する銘柄の投資効率及び信用・市場リスク等を
  適切に管理します」
 【MS&AD】

 「毎年、取締役会において保有を継続する経済合理性が
  あるかどうかの検証を行います」
 「検証に際しては、保険取引やアライアンス強化など
  保有目的に基づく将来性、株価上昇による含み益形成や
  株式としての長期的展望に加え、保険引受および株式の
  リターンとリスクを定量的に評価する指標も活用しています」
 【SOMPO】

と、政策株式の保有を前提にした記載でした。

なお、第一生命と住友生命も「政策保有を行う」ですが、
第一生命が制定したガバナンス基本方針によると、

 「業務提携による関係強化等、純投資以外の
  グループ戦略上重要な目的を併せ持つ株式」

とあり、有価証券報告書の開示内容も踏まえると、
保有株式の多くは純投資という位置付けのようです
(住友生命は不明)。

コードを反映したガバナンス報告書の締め切りは
12月なので、東京海上HDをはじめ、他社の報告書も
しばらくしたら公表されるものと思います。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※成田のソフィア保険事務所を訪問しました。
 駅前広場に面した好立地で、オフィスから新勝寺が見えます。


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2015年06月12日

ガバナンスコード適用開始

 

コーポレートガバナンス・コードが6月から適用となりました。
すでに東証に報告書を提出した会社もみられます。

大手金融機関では、みずほフィナンシャルグループが
適用初日に報告書を東証に提出しました。
みずほFGのサイトへ

注目の「政策保有株式」(原則1-4)に関しては、
「その保有の意義が認められる場合を除き、保有しない」
という基本方針が示されました。

同社では、個別銘柄ごとに定期的かつ継続的に
保有の意義を検証するのだそうです。

また、取締役会の実効性評価(補充原則4-11③)については、
「(ガバナンス改革について)順調にスタートできたものと評価」
「取締役会が自己評価を絶えず行い、(中略)現時点において、
 第三者評価は必要ないものと考えております」
という記載でした。

これだけでも前進とは思いつつ、期待外れの感も否めません。

今回のガバナンスコードは「基本原則」「原則」「補充原則」の
三層構造になっているのですが、東証の記載要領は、

 ・コードの各原則を実施しない理由
 ・コードの各原則に基づく開示

を新たに求めるだけなので、ガバナンスコードのうち、
明確に開示が求められているいくつかの項目
(1-4、1-7、3-1、4-1①、4-8、4-9、4-11①②③、
 4-14②、5-1)だけに対応すればOKという感じです。

しかし、コードを読むと、基本原則の具体的な項目として
原則や補充原則があるのではなく、いずれについても
実施していることを示さなければならないはずなのです。

例えば、基本原則3には、

「会社の財政状態・経営成績等の財務情報や、経営戦略・
 経営課題、リスクやガバナンスに係る情報等の非財務
 情報について(中略)主体的に取り組むべきである」

とあり、開示内容は限定されていません。
ところが、東証の記載要領は基本原則3ではなく、
「開示すべき」となっている原則3-1のみ意識しています。

このため、原則3-1に列挙された項目だけ開示すればOK
となってしまい。そもそもの基本原則3はどうなのか、
甚だ心もとない状況となっています。

コーポレートガバナンス・コード制定の趣旨からすれば、
開示項目だけ満たせばいいというのはおかしな話でして、
基本原則3の内容も実行する必要があるはずです。

ということで、これから出てくるガバナンス報告書に加え、
有価証券報告書やアニュアルレポートなどを見て、

「ひな型的な記述や具体性を欠く記述となっており
 付加価値に乏しい場合が少なくない、との指摘もある」
(ガバナンスコード第3章より引用)

が少しでも改善するかどうか、注目する必要がありそうです。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


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2015年03月21日

資金循環統計から

 

資金循環統計(2014年第4四半期速報)の参考図表には
興味深い情報がいろいろ載っていますので、ご紹介です。
日本銀行のサイトへ

最も注目されたのは、個人金融資産が1694兆円と
過去最高を更新したことかもしれません。
資金の流入(主に投信)と時価上昇(株式と投信)で、
9月末と比べて40兆円増加しました。

「部門別の資金過不足」の推移もあります。
資金余剰主体である家計が、資金不足の一般政府を
賄っているという構図に変化はありません。

ただ、資金余剰が続いていた民間非金融法人企業が
この四半期は資金不足となっていました。
今後のトレンドに注目です。

「国債等の保有者別内訳」にも注目しましょう。
中央銀行(=日銀)の構成比が25%となりました。
異次元緩和を続けているので当然の動きですが、
現在の政策が続くかぎり、構成比は一段と高まります。

なお、「日銀が国債をどこまで買えるか」というタイトルの
面白い記事を見つけましたので、ご参考まで。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※久しぶりにつくしを摘みました。春ですね。


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2015年02月20日

CGコード原案

 

今週の週刊金融財政事情(2015.2.16号)は
「リスクテイクのための企業統治論」特集でした。

昨年末に東証と金融庁を共同事務局とする有識者会議が
「コーポレートガバナンス・コード原案」を公表しました。
金融庁のサイトへ

特集では、次の4名のかたが寄稿しています。

・金融庁・総務企画局長の池田唯一さん
・日本経済団体連合会・常務理事の阿部泰久さん
・三菱UFJフィナンシャルグループ副社長の田中正明さん
・ガバナンス・フォー・オーナーズ・ジャパン代表取締役の
 小口俊朗さん

このなかで、ガバナンス・コードの必要性について、
金融庁の池田さんと経団連の阿部さんの主張が対照的なので、
ちょっと長い引用ですみませんがご紹介します。

池田さん
「諸外国では、企業家精神が旺盛すぎた経営者も多く、昨今、
 行き過ぎがないようにコーポレートガバナンスでそれをコン
 トロールするという傾向の議論が通例のように思われる。
 これに対し、わが国のコードは、諸外国とはベクトルの向きが
 逆かもしれないが、企業が適切なリスクテイクによって資本
 効率を高め、持続的に企業価値を向上させる、その際の説明
 責任の履行に資するような、『攻めのガバナンス』機能の発揮
 を目指すことで、上場会社の経営者の企業家精神の発揮を
 後押しするという考え方に立っているということがまずもって
 認識されるべきである」

阿部さん
「日本企業の『稼ぐ力』を高めるために、なぜコーポレートガバナ
 ンス・コードが必要であるのかは定かではない。もともと、コー
 ポレートガバナンス体制の構築は、不祥事の未然防止や、短期
 的利益の獲得を狙った経営陣の暴走を抑制するために必要と
 されてきたものである。いわばマイナスの未然防止策であり、
 いかに優れたコーポレートガバナンスの仕組みを整えたとしても、
 ただちに企業の収益性向上につながることはないはずであること
 をまず指摘しておきたい」

いかがでしょうか。
ガバナンス体制の整備と企業価値の関係についての議論は、
本来、アカデミズムにおける議論なども踏まえるべきなのでしょう。

ただ、企業価値を評価するのは第一義的には投資家ですので、
ガバナンス改革を求める投資家が多いという認識のもとでは、
政府主導で指針を作ろうというのは私には理解できます。

もちろん、形ではなく中身が重要なのは言うまでもありません。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真はある韓流スターの実家なのだそうです。


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2014年11月15日

ある種の保険をかける

 

日銀の追加緩和に驚いていたら、今度は衆院解散とか。
今回のバズーカ砲は消費税の再引き上げをサポートする
のだと思っていましたが、どうも違うみたいです。

仮に解散・総選挙となった場合、消費税を予定通り
引き上げるべきと主張する政党はあるのでしょうか。

しかも、出口どころか、さらなる日銀バズーカ砲の可能性も
高まったように思います。
保険会社にとっても、悩ましい日々が続きそうです。


ところで、日銀のホームページで、追加緩和を決めた
10月末の金融政策決定会合で反対した佐藤健裕委員の
講演(ロンドンでの講演の邦訳)を見つけたので紹介します。
日銀HPへ

「マクロプルーデンス政策と日本銀行の取り組み」なので、
主にマクロプルーデンス政策について述べたものですが、
今回の追加緩和についても簡単に触れられています。

 「私自身はこの決定に反対票を投じたことから、
 この政策変更について話すには微妙な立場にある」

としたうえで、

 「短期的とはいえ、現在の物価下押し圧力が残存する場合、
 これまで着実に進んできたデフレマインドの転換が遅延する
 リスクがある」

 「日本銀行としては、こうしたリスクの顕現化を未然に防ぎ、
 好転している期待形成のモメンタムを維持するため、
 ある種の保険をかける意味で、ここで『量的・質的金融緩和』を
 拡大することが適当と判断した」

という政策変更の説明がありました。「ある種の保険」ですか...

ちなみに黒田総裁は、「デフレという慢性疾患を完全に克服する
ためには、薬は最後までしっかりと飲み切る必要があるのです」
と病気の治療にたとえた説明もしています
(11/5のきさらぎ会における講演より引用)。

保険にしても薬にしても、わかったようなわからないような。
無視できないリスクがあるから保険に入るのでしょうし、
いくら薬を飲んでも、安静にして体力をつけなければ、
なかなか治らないと思います。


佐藤さんの講演に戻ると、それではなぜ反対したのか、
そこまでは書いてありませんが、次のような記述がありました。

 「私としては、消費者物価指数が前年比2%に達すれば、
 この政策はその使命を果たしたことになると単純に考えている
 わけではない」

 「日本銀行が目指す『物価の安定』とは、本来、全般的な経済状況
 が実体経済・資産市場ともに良好に推移するなかで、賃金の改善
 とともにバランスよく物価が上がっていく姿である筈」

 「人々の中長期的な予想物価上昇率のリアルタイムでの計測手法
 に決め手がない以上、政策の継続の必要性については、
 毎回の金融政策決定会合で政策委員会が改めて『判断』」して
 いくべきものと考えている」

予想や期待に働きかける政策というのは、実施の判断基準にしても、
政策効果の測定にしても、極めてアートの色彩が強いということが
うかがえますね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします

※写真は11月限定の「築地丼 特別弁当」。
 築地市場の老舗の食材を使った楽しい弁当でした。

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2014年07月27日

「賢い支払い術」に学ぶ

 

先日あるカード会社からDM(ダイレクトメール)が来ました。

 お得なキャンペーン実施中!
 今ならギフトカード1万円分が当たるチャンス!

とあり、カードの賢い支払い術を指南するとのこと。
中面を見ると、リボ払い・分割払いの勧誘でした。

今月の支払いに不安を感じたAさんに対し、
助っ人が「リボ払い・分割払いへの変更」を伝授し、
Aさんの不安が解消されるというストーリー。

ただ、支払い方法をリボ払い・分割払いに変更すると、
当然ながら手数料(利息)が発生しますよね
(私の場合、リボ払いだと実質年率15%かかるはず)。

そんなことは裏面にいかないと書いてありませんし、
説明文の字が小さく、かつ、私にはわかりにくかったです。

このような勧誘がカード業界では行われているんだなあと
思いつつ、せっかくなのでDMを大学生の息子に見せ、
金利やリボ払い、カード会社の収益源について解説しました
(ちゃんと聞いていたかどうかは疑問ですが...)。

もっとも、カード会社がリボ払いなどの普及に務めているとはいえ、
調べてみると、依然としてカード支払い方法の90%以上は
利息のかからない非割賦方式(一括払い、ボーナス払いなど)
なのですね。

割賦方式(リボ払い・分割払い)も伸びてはいるものの、
むしろ非割賦方式のほうがより伸びているようです。


さらに改めてわかったことは、そもそも日本ではいまだに、
個人消費に占める決済手段の5割以上が現金だということ。
クレジットカードは全体の13%を占めるにすぎません
(クレディセゾンのIR資料から引用。データは2012年)。

米国と違い、一括払いが中心で利息が発生しないので、
日本のカード会社は加盟店手数料を下げられず、
その結果、加盟店が増えず、カード利用の裾野が広がらない...

あるいは、日銀券への信認の厚さもあるのかもしれませんし、
文化的な要素もありそうです。例えば、結婚式など冠婚葬祭には
現金を持っていきますよね。

とはいえ、今年からパスモをオートチャージにして以降、
個人的には現金を使う機会をかなり減らしています。
例えば5000円以上の支払いはクレジットカードを使い、
小口の買い物は、パスモが使えればそれで決済。
年々増えているネット通販も、決済はカードが中心です。

カード会社にとって悪いお客さんではないと思うのですが^^


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※私の父と娘の誕生会をしました♪


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