植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2013年01月30日

国債発行額が税収を下回る

 

2013年度政府予算案について、麻生副総理兼財務相は
「4年ぶりに税収が公債金を上回る状態を回復」
と、国債発行額の抑制についてアピールしているようです。

税収43.1兆円に対し、新たな国債発行額は42.8兆円とか。

でも、これは2013年度に予定していた事業の一部を
2012年度補正予算に前倒ししたことが大きそうです。

2013年度予算案に限ってみても、新たな国債発行額を
42.8兆円と言うのは無理があるように思います。

2013年度の国債発行計画を確認してみましょう。
財務省HPへ

この42.8兆円には、基礎年金の国庫負担分の財源をまかなうための
年金特例公債2.6兆円が含まれていません。
将来の消費税率引き上げを財源とする「つなぎ国債」なので、
新たな国債発行額から除外したようです。
これを加えただけで、税収を上回ってしまいますね。

さらに「復興債」があります(1.9兆円)。
一般会計ではありませんが、震災復興予算は0.6兆円増えており、
とりあえず復興債を増発して対応し、日本郵政株式の売却などを
あてるとか。

これで「財政規律にも配慮した」と言えるのでしょうか。

それにしても、政府のアピールをそのまま受けて、
「財政配慮、国債を抑制」「税収が4年ぶり逆転」
(29日の日経夕刊)
と大きな見出しをつけていますが、どうしちゃったんでしょう。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


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2013年01月26日

リタイアメント準備度調査

 

先日、オランダに本社があるエイゴングループ
(日本ではソニー生命との合弁会社が営業)が、
「リタイアメント準備度調査」をまとめていて、
興味深い結果が出ていました。
調査レポート(PDFファイル)へ

この調査は日本、米国と欧州8カ国の1万人を対象に、
退職後の生活に対する意識と、退職後の生活資金の
準備状況に関する実態を調べたものです。

調査レポートのなかに、現役世代が退職に向けて
どの程度の準備が進んでいるのかを指数化した
「エイゴン・リタイアメント準備度指数」というものがあり、
日本が10カ国中最下位となっていました
(トップはドイツ、2位は米国です)。

準備度調査は次の6つの質問に対する回答から
算出されているようです。

<退職に向けた取り組み>
・退職後に十分な収入を確保するために自助努力は
 必要だと思うか?
・退職後に向けた資金計画を立てる必要性は認識
 しているか?
・退職後の生活や年金に関する金融知識はどの程度か?

<実態調査>
・退職に向けた計画はどの程度進んでいるか?
・資金準備のための貯蓄は進んでいるか?
・希望する生活を送るのに必要な収入の確保に向けた
 取り組みはどの程度進んでいるか

日本は、「自助努力の必要性を強く感じる」という回答が
87%に達し(ちなみ全体では71%、米国84%、ドイツ76%)、
「資金計画の必要性を強く認識している」という回答が
75%ありました(全体では62%、米国77%、ドイツ81%)。

別のアンケートでは、公的年金の給付が削減されるだろうと
考えている人が多いことも示されています。

ところが、「退職後の資金準備が進んでいる」という回答は
わずか11%(全体では25%、米国32%、ドイツ43%)、
「準備ができていない」という回答が64%もありました
(全体では46%、米国40%、ドイツ27%)。

公的年金は減ると思っているけど、依存度は大きい。
自助努力が必要と考えているけど、実践はできていない。
この結果をどう考えたらいいのでしょうか?


※週末の横浜中華街は賑やかですね。
 焼き小籠包の店に行列ができていました。


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2013年01月13日

国債市場関係者の見方

 

安倍政権の緊急経済対策が決まり、国債が増発されます。
市場は順調に消化できるのでしょうか。

これに関して、10日に財務省が「国債市場特別参加者会合」と
「国債投資家懇談会」を開催し、議事要旨を公表しています。
市場関係者の見方を知るうえで参考となりそうです。
国債市場特別参加者会合の議事要旨へ
国債投資家懇談会の議事要旨へ

ちなみに「国債市場特別参加者」とは、

「国債市場(発行市場及び流通市場)において重要な役割を果たし、
 国債管理政策の策定及び遂行に協力する者であって、
 国債市場に関する特別な責任及び資格を有する者」

として財務大臣が指定したプライマリーディーラーで、
メガバンクや大手・外資系証券など24社です(1/4現在)。

国債投資家懇談会のほうは投資家と学者・研究者がメンバー。
投資家メンバーは金融機関や大手投資家など15社で、
現在の保険会社メンバーはかんぽ生命、東京海上、日本生命
となっています。

超長期債について両会合の議事要旨を比べてみました。
プライマリーディーラーは総じて超長期債の発行増額には慎重、
投資家懇談会では「特定の投資家層の需要」をどう見るか、
といったところでしょうか。

下に抜粋しましたが、HPをご覧いただくと、なかなか興味深いです。

<国債市場特別参加者会合>
 ・超長期債の需給環境は良くないが、発行年限の長期化のために
  増額する場合、消去法的に30年債になる。

 ・現在の金融緩和環境を踏まえれば、5年債、10年債を中心に増額し、
  次に2年債、超長期債を増額すべきと考える。(中略)
  30年債は月1,000億円程度の増額は可能とみている。

 ・20年債、30年債については、これまでの入札結果が芳しくないことや
  世界的な金利環境を鑑みると増発負荷の許容度はやや低いと思われる。

 ・超長期債の増発はあくまでも5年債、10年債、2年債を増発した上で、
  それでも不足する場合に検討を行うべきである。

 ・平均償還年限の長期化を引き続き継続していくという全体の構図に
  若干違和感を覚えている。銀行主体の消化にならざるを得ないという
  構図であることや、満期が到来する年限を考慮すると、中長期債中心の
  増額になるのではないかと考えている。

<国債投資家懇談会>
 ・30年債がALMの中心であり、30年債で足りない部分を一部20年債で
  代替している状況である。国債の増発については、30年債について、
  一回当たりの発行額を1,000億円減額したとしても毎月発行を希望する。

 ・潜在的な長期化需要が、超長期ゾーンの価格形成に過度に影響を
  与えないためにも、市場の厚みを増すという観点から超長期債供給の
  拡大を継続的に行っていただきたい。具体的には、生命保険会社等の
  投資が拡大していることもあるため、30年債の増額を優先していただきたい。

 ・超長期債は、イールドカーブがスティープ化しており、増発は控えるべき。

 ・20年債については(中略)超長期の負債を保有する生保や年金に加え、
  銀行等も参入してきており、多少増額しても消化に不安はない。
  30年債については、引き続き超長期の負債を保有する生保を中心に
  潜在的なニーズがあると考えている。

 ・国内サイドの需給がよいのは分かるが、海外が平時になり金利上昇した
  場合には、影響を受けざるを得ないため、超長期ゾーンの増額は慎重に
  なる方がよいのではないか。

 ・超長期債は流動性が低いため、増発は慎重にすべきで、発行頻度は
  現状維持として頂きたい。

 ・超長期債については、特定の投資家層の需要はあるため、需給を
  壊さない範囲で増額は可能と考える。


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