植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2011年04月29日

震災後の経済構造の変化

 

少し前の話で恐縮ですが、12日の日経夕刊のコラム
「震災が加速する経済の構造変化」は、
非常によくまとまっていて、頭の整理になりました。
執筆者はJPモルガン証券の菅野雅明さんです。

長い文章を書くほうが大変と思われがちですが、
限られたスペースで簡潔に述べるほうが難しいのですね。

さて、菅野さんは、今後予想される経済の変化について
次の4点を挙げています。

1.日本企業の海外生産比率の上昇

 ・日本企業は企業活動の地理的リスク分散の観点から
  海外シフトを一層加速させる。

2.財政悪化の加速

 ・地域復興のためには、赤字国債発行による財政出動は
  必要だが、同時に一部増税による財源手当てについても
  あらかじめ合意しておく必要がある。

3.デフレ脱出・インフレ傾向への転換

 ・今後供給網の回復の遅れからボトルネックが生じ、
  局所的な需給逼迫を背景に価格の上昇を引き起こしやすい。

4.迎合主義の台頭の可能性

 ・大災害の後には人々のストレスが高まり、「口に苦い良薬」は
  政策の選択肢から外される傾向が強まる。


考えてみれば、3を除けば震災による変化というよりは、
それ以前からの動きが震災で加速されるというものです。
つまり、ソフトランディングを実現するために残された時間は、
震災でより短くなったと理解すべきでしょう。


※写真は町田市の「尾根緑道」です(24日)。
 かつてここは戦車のテストコースだったとか。


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2011年04月27日

節電の目的は何か



夏の電力不足に協力するため、始業と終業の時間を繰り上げる
サマータイムを導入しようとする動きが目立ってきました。

ただ、節電の目的を考えると、ややずれているように感じるのは
私だけでしょうか(意味がないとは言いませんが)。


震災発生直後は、東京電力の供給力が震災前の5200万kWから
一気に3100kWまで落ちたため、とにかく節電が必要でした。
プロ野球のナイターなどもってのほかだったわけです。

しかし、今考えなければならない節電は、夏のピーク時対応です。

記録的猛暑だった昨年の需要は約6000万kWに達しました。
7月には供給力が5200万kWまで高まる見込みとはいえ、
ピーク時には不足してしまうので、電力需要の削減が必要なのです。

ここで重要なのが「ピーク時の不足に対応するため」という点です。

1日のうち、朝10時から夜9時がピーク中のピークです。
仮にスーパーの開店を朝9時から8時に、閉店を夜10時から9時に
それぞれ1時間繰り上げても、朝10時から夜9時は営業するので、
ピーク時の節電効果はかなり限定的であることがわかります

例えば休日を分散する、夜間操業にシフトするといった、
ピーク時に電力需要を集中させない対策が効果的でしょう。

また、夜間は例年と同じ生活でかまわないはずです。
というのも、夏期でも夜中から朝8時くらいまでの電力需要は
4000万kWを下回っており、電力不足ではないからです。

もちろん、資源の無駄遣いや地球温暖化を避けるための節電は
大いに結構な話ですが、体を壊したら元も子もありません。


「冷房のきいた部屋で夏の甲子園をテレビ観戦」が
電力需要を高めているという話が本当であれば、
今年の甲子園はナイター開催にしたらいいかもしれませんね。
あるいはNHKがテレビ中継をしなければいいのかも。

関係者は猛反対しそうですが^^


ご参考
※資料第1-3、第2-2あたりが参考になります

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