植村信保のブログ

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2017年08月18日

標準生命表の見直し

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生保標準生命表の改定が正式に決まり、
2018年4月以降に締結する保険契約から
標準責任準備金の計算基礎となる死亡率が
見直されることになりました。
金融庁のサイトへ

この死亡率は保険料率を決めるためのもの
ではなく、あくまで責任準備金の基礎率であり、
保険料率そのものは各社が独自に決めます。
この点は4月に下がった標準利率と同じでして、
生保各社が設定した4月からの予定利率は
標準利率とは異なるケースが多いようです。

ただし、責任準備金の基礎率から大きく離れ、
低い保険料率にしてしまうと、責任準備金の
積み増し負担が会計利益を圧迫してしまうので
無理な料率の設定ができないという仕組みです
(あくまで会計利益の話ですが)。


死亡保険用の標準生命表を確認すると、前回
(1996 ⇒ 2007)に比べ、今回(2007 ⇒ 2018)
のほうが死亡率の改善程度が大きいようで、
特に男性の改善が目立ちます。
標準生命表2018の作成概要
標準生命表2007の作成概要

この見直しを保険会社経営(あるいは株主)の
目線で考えてみると、保険料率の引き下げは
新契約が生み出す利益の減少に直結します。

新契約の利益確保には、「販売件数を増やす」
「販売コストを減らす」「付加保険料を引き上げる」
(付加保険料は金融庁の認可が不要です)
「解約失効を減らす」といった手を打つ、あるいは、
「生命表改定の影響を受けにくい商品戦略採用」
などが考えられます。

しかし、多少料率が下がるとしても、今の環境で
死亡保障の販売件数を大きく増やすのは難しい
でしょうし、付加保険料の引き上げというのも
あまり現実的ではありません。

また、料率が下がれば販売コスト(変動部分)も
下がるので、併せて販売コストをどこまで削減
できるかどうか。失解率もすでに低いですし。

商品戦略の見直しというのも、ビジネスモデルに
関わるうえ、それが顧客本位なのかという点も
十分検討が必要でしょう
(第三分野シフトは一段と強まりそうですが)。

このように考えると、競争が激しいとはいえ、
今回は同じく生命表が見直された第三分野の
料率を引き上げる(保障見直しを含む)会社が
出てくるのかもしれません。


それにしても、金融庁サイトのパブコメには
苦笑してしまいました。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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