植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2015年09月13日

相互会社の保険会社買収



日本生命による三井生命の株式取得をはじめ、
大手生保による内外保険会社の買収発表が
相次ぎました。

ところで、大手4社のうち、第一生命を除く3社は
相互会社です。

保険業法には、相互会社の非社員契約による
保険料が全体の2割を超えてはならないという
規定があります。

多くの非社員契約を認めると、相互会社の本質、
つまり、社員=契約者からなる組織という話から
外れてしまうからと言われています。

他方、相互会社が子会社として保険会社を持つ
のは可能であり、保険会社の買収に関しては、
相互会社と株式会社で法的な差はなさそうです
(それでいいのかという議論はあるかもしれません)。


とはいえ、株式会社による買収とは違い、
相互会社は社員(契約者)の持ち物なのですから、
保険会社の買収が社員にどんなメリットがあるのか、
経営者は十分に説明する必要があると思います。

これは単に買収の目的を説明すればいいという
話ではありませんし、「経営体力が回復したから」
「市場シェア拡大のため」では説明になりません。

例えば、内外保険会社の買収などで規模を拡大
しなければ、縮小市場のなかでは将来にわたり
保障を全うできないという経営判断なのであれば、
そのような説明が必要です。

あるいは、「保障を将来にわたり全う」は当然として、
契約者への還元を増やしていくには、事業規模の
拡大が不可欠と判断した、というのも理解できます。

米国の大手保険相互会社の公表資料を見ると、
相互会社のメリットとして「中長期的な経営姿勢」のほか
「契約者還元の魅力」をこれまでの実績とともに示し、
株式会社との差別化を図っているようです。

これに対し、日本では相互会社であることの利点や
相互会社の社員(契約者)になることのメリット等を
積極的にはアピールしていないように見えます。

いずれにしても、内外保険会社の買収をきっかけに、
日本の相互会社経営のあり方が改めて問われるのでは
ないかと思います。


最後にご案内を。
9月29日(火)の夕方に損保総研で講演する予定です。
演題は「保険ERM・ソルベンシー規制の方向性」。
詳しくは損保総研のサイトをご覧ください。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※娘はテスト勉強中。先日、忘れた(なくした?)プリントを
 友だちに写メしてもらい、そのまま画面を使っていました。
 便利になりましたね(苦笑)


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コメント一覧

今、リスク管理を考える  (2015年09月13日 21:05:14)

本件に関してはおっしゃる通りと思います。経営の透明性を高めることが重要ということに尽きると思います。

知りたがり  (2015年11月23日 19:56:37)

では、契約者が反対すれば買収は撤回されることもあるのでしょうか。必ずしも満場一致である必要は無いのでしょうか。

植村  (2015年11月28日 23:39:50)

現実的かどうかはともかく、社員総会に代わって設置される総代会で、取締役選任の案を否決することはできます。

今、リスク管理を考える  (2015年12月01日 20:37:26)

コーポレートガバナンス報告書を任意作成している相互会社が多いので、否決はできなくても、一定数の反対があれば、その原因分析や社員との対話が行われることが期待されるのかもしれませんね。

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