植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2012年01月22日

保険会社の利益の源泉

 

近年のコンバインドレシオを見てもわかるとおり、
損保は保険収支の低迷に悩まされています。
他方、生保の危険差益は安定して推移しています。

保険会社の利益の源泉について、少し考えてみましょう
(資産運用力については今回は触れないことにします)。

利益の中核をなす「危険差益」は、想定した発生率
(=保険料の基となる発生率)を実際の発生率が下回ると
生じるという説明が一般的です。

ただ、これだと料率を高めに設定すれば利益が出ることになり、
「不完全競争だから利益が出る」となってしまいます。
生保の危険差益は不完全競争によるところが大きいのかは?ですが、
完全競争においても保険会社は儲けることができるのでしょうか。

まず「大量の自社データを活用したプライシング」はどうでしょう。
不十分なデータでは大数の法則が働きにくく、
安定して事業を行うことができません。
プライシングの巧拙が利益の源泉というのは言えそうです。

「分散効果」も考えられますね。
地域分散や事業分散により全体としての引受リスクが下がれば
リスク対比のリターンを高めることができるでしょう。
使う資本が少なくてすめば、他に回すことができます。

「選択効果」はどうでしょうか。
健康診断などにより、生保では契約後しばらくは選択効果があり、
危険差益が出やすいことが知られています。
ただ、経済価値ベースで考えた場合、利益の源泉と言えるかどうか。

「選択効果」とは違いますが、不完全競争の市場を選ぶことで
利益をしばらく上げることはできるかもしれませんが...

現状はともかく、市場が全体として完全競争に向かうのであれば、
「大量の自社データを活用したプライシング」「分散効果」、
この2つを意識した戦略が重要ということになりますね。

それでは小規模な保険会社は生き残れないのか。
いつか別の機会に考えてみたいと思います。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は三菱財閥の創業者である岩崎弥太郎の生家です。
 安芸という町の中心からかなり離れたところにありました。


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2012年01月11日

2011年の自然災害

 

ミュンヘン再保険の調査によると、2011年に発生した
世界の自然災害による損失は過去最大だったそうです。

経済損失は3800億ドルで、これまで最大だった
2005年の2200億ドルを大幅に上回りました。
保険金支払額(見込みを含む)は1050億ドルで、
やはり2005年の1010億ドルを上回り、過去最高です。

確かに昨年は大規模な自然災害が相次いで起こりました。
上位5災害は次の通りです。

 ・東日本大震災(経済損失2100億ドル、保険損失350~400億ドル)
 ・タイの洪水(400億ドル、100億ドル)
 ・ニュージーランドの地震(160億ドル、130億ドル)
 ・米国のトルネード(150億ドル、73億ドル)
 ・米国等のハリケーン・アイリーン(150億ドル、70億ドル)

これをみると、東日本大震災とタイの洪水だけで経済損失の2/3、
保険損失の半分程度を占めることがわかりますね。
タイの洪水が100億ドルもの保険損失になるとは驚きでした。


※写真は高知城です。


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