植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2010年02月10日

SBIがネット生保から撤退

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SBIホールディングスはSBIアクサ生命の株式をアクサに譲渡し、
ネット生保事業から撤退すると発表しました。
アクサグループが株式の95%を保有することになります
(残り5%はソフトバンクが保有)。

SBIホールディングスのトップは有名な北尾吉孝さんです。
ご記憶のかたは少ないかもしれませんが、
北尾氏が生保事業に出資し、短期間のうちに引き上げるのは
おそらくこれが2回目です。前回は大和生命でした。

相互会社だった大和生命は、2001年にソフトバンク・ファイナンス
と合弁であざみ生命を設立し、実質的な株式会社化を果たすとともに、
破綻した大正生命の受け皿会社となりました。

しかし、ソフトバンク・ファイナンスは2002年の時点では
すでにあざみ生命(2002年に大和生命に改称)の大株主では
なくなっていました。

このソフトバンク・ファイナンスの代表が北尾氏でした。


※写真は鶴見線の浅野駅と安善駅です(ローカルですみません)。
 明治時代の実業家である浅野総一郎、安田善次郎にちなんで
 名付けられたそうです。


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2010年01月12日

欧米への本格進出

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本日(12日)の日経新聞5面、明治安田生命・松尾憲治社長が
インタビュー記事のなかで、次のように語っています。

「即効性を考えれば巨大市場の欧米だ。本格的に進出することを検討し、
 一部は10年度中にメドをつけたい」

確かに日本の大手保険会社の場合、日本の事業が大きいので、
少しくらい海外に出ても、ほとんど補完になりません。

海外展開を本格化し、事業の柱にするというのであれば、
欧米市場への進出は不可欠でしょう。
損保では東京海上がそのように動いていますね。

やや引っかかるのが、相互会社という点です。
もちろん、相互会社もM&Aによる海外展開は可能です。
ただ、社員(=契約者)は会社が海外事業でリスクをとることを
望むのでしょうか。株式会社であれば理解できるのですが。


※横浜シリーズ。今回は赤レンガ倉庫です。
 スケートリンクがありました。


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2009年12月23日

統合損保の臨時株主総会

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損保各社は12/22に、統合の承認を求める臨時株主総会を開催しました
(日本興亜損保は12/30の予定ですが、どうなるでしょう?)。

関連する記事が各紙に載っていますが、このうち朝日(22日)に
私のコメントが出ています。

「『代理店の統廃合ペースは鈍る可能性がある』と指摘する。
1社専属でなくライバル社の商品を扱う代理店も増え、
締めつけが厳しいと、他社商品に流れる恐れがあるからだ。」
(私のコメントは『 』部分です)

より正確に言えば、統合で乗合代理店が増えるというよりは、
そもそも乗合代理店も多いので、統合を成功させるには
無理な統廃合や手数料の見直しはできないだろうという趣旨です。
あいおい損保誕生の際、トヨタ系以外の一部ディーラー等が反発し、
他社に流れてしまったのは記憶に新しい話です。

販売網の生産性や効率性を高め、いわゆる二重構造問題を
解消するのは国内損保の重要な経営課題となっています。
例えば、東京海上の抜本改革や損保ジャパンのPT-Rは
二重構造解消を意識した取り組みです。

3社統合、2社統合で二重構造解消の取り組みが
足踏みしないかどうか、注目していきたいと思います。


ところで、21日の日経の見出しは「保険料下げ競争激化へ」。
統合が保険料やサービス面の本格競争を促すとしています。

しかし、寡占が一段と進むなかでは、教科書的に言えば、
むしろ競争が緩和されるはずです。
投資家向け説明会でも「保険料が下がる」とは聞いていません。
特に競争相手が少ない企業向け分野では、足元はともかく、
寡占による弊害がでないかどうか注意が必要です。


最後に、以下のようなHP(ブログ?)を見つけました。
コメントはあえて避けておきます。

日本興亜損保の真の発展を願う株主有志


※このかわいいサンタさんは晴海のトリトンで見つけました。
 サンタさんはわが家にも来るのでしょうか?


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2009年11月27日

生保の上半期報告

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こちらも正確には「平成21年度第2四半期(上半期)報告」だそうです。

報道は概ね「増収だが、実質的に減益」といったものが多く、
それはその通りかと思います。

他方、3月末に比べて株価が2割近く上がり、健全性については
あまり注目されなかったようですが、私は今回の生保決算では、
失った体力をどれだけ回復したかという点に注目していました。

主要生保9社は2008年度に内部留保を約2兆円取り崩しています
(これとは別に、大手4社は追加責任準備金を5000億円積んでいます)。

ざっと計算したところ、この上半期では内部留保は3000億円しか
増えていませんでした。
議論が分かれるところですが、追加責任準備金を入れると
5000億円強なので、結構いいペースと言うこともできます。
しかし、失った2兆円を取り戻すには、だいぶ時間がかかりそうです。

個社別に見ると状況はかなりまちまちです。
大手3社(日本、第一、住友)が、昨年度に取り崩した
危険準備金や価格変動準備金などの回復を図っているのに対し、
内部留保があまり増えていない会社も散見されます。

もちろん、この上半期報告だけでは判断できませんし、
すでに十分な体力があれば、あえて積み増しを加速しなくても
問題はないわけです。内部留保を増やすのではなく、
会社の経営リスクを抑えるという方向もあります。

ただ、2000年代前半よりも収益面は厳しいようですので、
今後の回復ペースは、個社によって相当違ってくるのではないでしょうか。


※イチョウ並木の第3弾は丸の内です。
  なお、前回は慶大日吉キャンパスでした。


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2009年11月20日

T&Dの決算電話会議



保険会社の第2四半期決算の発表が本格化しています。
昨日(11/19)は主要損保とT&Dでした。

T&Dホールディングスは今回、9月末のEEVを初めて公表しました。
2009/9末のEEVは1.1兆円で、3月末から2700億円も増えています。
ざっくり言って、増加の半分は株価回復によるもの、
残り半分は長期金利(=スワップレート)上昇によるものです。

他方、決算発表後に開かれた電話会議では、
普通株による公募増資計画(上限1200億円)について
アナリスト・投資家から質問が集中しました。

T&D決算電話会議のHPへ

ちなみに、3月末のEEVが半減した際には、株価が急落しています。
EEVの急増と公募増資計画(後者はすでに発表済みでしたが)を受けて
市場はどう判断するのか楽しみです。

損保についてはまた別の機会に。

※写真はある大学のキャンパスにあるイチョウ並木です。
 正解は次回に。


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2009年11月01日

統合損保の事業計画

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次のうち保険グループではないのはどれでしょう?(答えは一番下に)

 1. NKSJ
 2. T&D
 3. MS&AD
 4. MUFG

9/30に発表された損保3社(三井住友海上、あいおい、ニッセイ同和)統合の
基本戦略に続き、10/30には損保2社(損保ジャパン、日本興亜)統合の
事業計画が発表されました。

いずれも12/22の臨時株主総会の承認と関係当局の認可等を経て
経営統合が実現します。

両陣営の利益目標は次の通りです。

MS&AD=1500億円(国内損保1000億円、国内生保150億円、海外300億円)
NKSJ  =1600億円(国内損保900億円、国内生保500億円、海外160億円)
※MS&ADは2013年度、NKSJは2014年度

NKSJは国内生保の貢献度が大きく見えますが、
これは生保の「利益」の違いも影響しているようです。
MS&ADの生保利益が会計上の利益を修正したものなのに対し、
NKSJはEV増加額を修正したものを使っています。

ROEの見込みも同じ7%となっていますが、
分母となる「純資産」はMS&ADが連結純資産なのに対し、
NKSJは異常危険準備金や生保EVなどを加味したものなので
単純に比べることはできません。


経営統合に伴い、両者ともシステムを一元化するため、
いずれの計画でもシステム対応にかなりの時間とお金が
かかることがわかります。
NKSJの場合、2011年までは統合コストがシナジー効果を上回る見込みです。
MS&ADでも一時的なコストとして総額700億円を見込んでいます
(年間の統合効果は500億円)。


二つの統合計画を比べると、現時点で最も違うのは損保事業でしょうか。
MS&ADが統合後の損保事業再編(合併を含む)を検討するのに対し、
NKSJはあくまで「傘下に併存」「共通化/共有・高度化」です。
もちろん、最終的にどうなるかはわかりませんが。


解答は「4.MUFG」。
統合損保はそれぞれ何グループと呼んだらいいのでしょうか。


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2009年10月27日

INGの事業再編

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オランダを本拠とする大手金融グループINGは26日、
保険事業を売却すると発表しました。

日本のアイエヌジー生命のHPでは、

「ING の経営戦略の一環として、2013 年までに、銀行部門と
 保険部門(資産運用含む)の経営を分割することを決定しました」

「INGグループが世界で展開する保険事業を
 ひとつのグループ会社として上場する方法や、売却、または
 その組み合わせによるさまざまな選択肢を検討しております」

とありますが、これは保険事業をグループから切り離すという意味です。

投資家向け資料によると、2010年から売却の準備を始め、
遅くとも2013年までにはグループから保険事業を
完全に切り離す計画とのこと。
ちょうどAIGグループにおけるアリコと同じ状況になったと言えるでしょう
(株主が変わるだけで、契約条件などは変わりません)。

資料には、保険事業の売却代金を、オランダ政府が保有する
コアTier1証券の買い戻し、つまり、公的資金の返済にあてる
という説明もありました。

実のところ、今回の決定はある程度予想されていた事態でした。
先月のヨーロッパ便りで触れたとおり、公的資金を受け入れた
金融機関は欧州委員会から大規模なリストラを求められていたためです。

2009/9/8のブログへ

それにしても、シティグループ、クレディスイス、アリアンツなど
かつては保険事業を含む金融コングロマリットがいくつかありましたが、
これで大手銀行と大手保険事業の両方を抱えるグループは
ほぼなくなりました。

すべての金融商品を自前で提供するメリットよりも、
グループ経営が複雑になりすぎる弊害が大きかったのでしょうか。
今後の研究テーマになりそうですね。

※写真は武蔵大学です。1コマだけ講師を務めました。


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2009年09月20日

日系生保の中国ビジネス

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日本生命が中国での合弁生保のパートナーを変更したと発表しました。
これまでのパートナーだった上海広電が経営危機に陥ったこともあり、
中国農業銀行(中国4大銀行の一つ)系の金融サービス会社である
長城資産管理公司を新たな合弁相手として再出発するそうです。

合弁相手の経営危機がきっかけですが、合弁相手の変更により
従来のエージェントを通じたビジネス中心から銀行窓販中心へと
ビジネスモデルも大きく変わるのではないでしょうか。

中国の保険市場の規模はまだまだ小さいものの、
経済成長とともに高成長が続いています。

ただ、外資の実質的な参入規制はかなり厳しいです。
例えば生保の場合、外資の出資制限は50%となっており、
外資系企業として50%出資の合弁会社を設立するか、
あるいは中国系企業に部分出資するかしかありません。

地域制限や種目もあります。外資系企業への免許は通常、
地域限定免許かつ種目制限付きです。
もっとも、今回の日本生命のリリースには、
「中国全土における事業展開を目標」とあるので、
もしかしたらハードルを越えることができているのかもしれません
(あくまで想像ですが...)。

参入規制が厳しいのは、商品・サービスで見劣りする
中国系企業を守るためと言われています。
最初に上海に進出したAIG(100%出資)が短期間のうちに
市場シェアを獲得したため、という話も耳にしたことがあります。

他方、東京海上や住友生命のように、部分出資で中国企業として
参入したケースでは、成長は速いものの、今度は当初の出資比率を
維持できないという問題が発生するようです(一般論として)。

中国は日本の大手として無視できる市場ではありませんが、
成長の果実を得られるのはいつになるのでしょうか。


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2009年08月27日

個人年金市場への新規参入

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ソニー生命と、オランダに本拠を置くエイゴングループの合弁会社
「ソニーライフ・エイゴン生命保険」が生命保険業の免許を取得しました。
金融庁HPへ

準備会社の設立が2007年8月ですから、免許を取得するまでに
かなりの時間がかかりました。これも金融危機の影響なのでしょうか。

変額年金市場では、資産残高で上位5社のうち2社が撤退、
1社が主力商品の販売を停止するという異常事態が生じています。
他方、三井住友海上メットライフ生命やT&Dフィナンシャル生命、
第一フロンティア生命などのように健闘している会社もあります。

最低保証リスクの管理がきちんとできるのであれば(ここが重要)、
競争状況が緩んだため、残存者メリットがありそうです。
高かった代理店手数料の引き下げも可能でしょう。
この時期の新規参入は、実はそれほど悪くないのかもしれません。

日本ほどではありませんが、米国でも販売シェアがかなり動いています。
LIMRAによると、INGやAIG、ハートフォードがシェアを落とす一方、
メットライフやプルデンシャルは、むしろ昨年を上回る勢いです。


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2009年07月02日

相互会社が見直されている?

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7/2(木)に大手生保(第一生命を除く)の社員総代会があり、
いくつかのメディアから取材がありました。
どこかの媒体でコメントが出るかもしれません。

聞くところによると、AIGの経営危機などを踏まえ、
「相互会社に比べ、株式会社は株主からの圧力でリスクを取った経営になりがち」
という声があるようです。

確かに米国では、数少なくなった相互会社形態の大手生保が
高い信用力を維持しているのに対し、公的資金が入ったAIGにしても
ハートフォードにしても、株式会社形態です。

ただ、米国では相互会社形態を維持している大手生保の経営戦略が、
株式会社の大手生保とはかなり違っているのに対し、
日本の生保は相互会社も株式会社もほとんど変わらないように見えます。

相互会社の保険料が実質的に安いわけではなさそうですし、
「5年利差のみ配当商品」が主流というのも変な話です。
変額年金事業や海外保険事業も手掛けていますし、
保有株式を考えれば、リスク抑制的な経営とも言えません。

ですから、米国で相互会社形態が見直されているとしても、
日本の現状を踏まえると、あまり説得力がないように思います。

会社形態の違いが経営に反映されていると感じるのは
協同組合である大手共済です。
実質的な掛け金をできるだけ抑え、商品内容はシンプルで、
資産運用リスクもほとんどとっていないなど、
保険会社の経営とはかなり違いますね。

※広島に続く夏の出張第二弾は大阪でした。


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