植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2013年12月10日

きんざいのコラム

 

今週の週刊金融財政事情の巻末コラムはなかなか辛口でした。
「生保は逆ザヤを生んだ経営を繰り返すな」というタイトルです。
金融界有識者が執筆しているとありますが、私ではありません^^

主なポイントを引用させてもらいます。

・かつて逆ザヤを生むに至った生命保険会社各社の経営体質は、
 まだ安心とはいえそうにない。

・(逆ザヤを生んだ)背景には、運用やリスク管理よりも保険の販売を
 優先する、生保経営の「量への偏重」があったが、この生保の体質は
 治っていないように思われる。

・たとえば、年金基金向けには、現下の短期金利がほぼゼロで
 長期国債の利回りでも0.6%程度の環境にあって、0.75%ないし
 1.0%といった利回りを保証して一般勘定の運用を引き受けるような、
 金融常識が欠如した営業行動を制御できていない。

・残念なことに、経営者の無能リスクをカバーする保険はないので、
 金融機関であることの自覚と常識をもってしっかり経営してもらいたい。

いかがでしょうか。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は丸の内のイルミネーションです。


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| post at 23:24:14 | コメント(2)  | カテゴリー : 13. 保険マスコミ時評 |

2013年12月02日

「逆ざや解消」報道に疑問

 

先週後半から大々的に風邪をひいてしまいまして、
ようやく回復しつつあります。
妻からは「長い!私なら1日で治すわよ!」とのお言葉。
日頃の不摂生がたたったのでしょうか。m(_ _)m

というわけで、少し遅れてしまいましたが、
先週の生保上半期報告(というか、その報道)について
コメントを少々。

日経をはじめ、「逆ざや解消」がキーワードとなり、
主要生保の利差合計が初めて順ざやとなったことが
注目されています。

「バブル期に販売した高利回りの保険が満期を迎えて減る
 などして、契約者に約束する平均利回りが年々下がってきた。
 加えて4-9月期は円安の影響で外債の利息収入がかさ上げされ、
 一気に逆ざやが解消した」(11/28の日経)

このブログで何度も苦言を呈していますが、特に今回はまずいです。
「逆ざや解消」がひとり歩きしてしまい、生保経営に対し、
「健全になったのだから、リスク資産へ投資しろ」という圧力が
高まるのではないかと心配です。


この「逆ざや解消」には何の意味もありません。

高利率の契約がだいぶ少なくなった印象を受けますが、
大手生保の個人分野の責任準備金に占める高利率契約
(=1995年度以前の契約)は、いまだに4割程度もあります。

生保の契約は非常に長いので、残念ながら高利率契約の負担は
なかなか小さくならないのです。

しかも、団体年金保険が見かけ上の平均予定利率を
押し下げていることも忘れてはなりません。
昨年度の責任準備金(一般勘定)に占める団体年金の割合は、
例えば日本生命が23%、明治安田生命が24%となっています。
団体年金の平均予定利率は1%程度です。

逆ざや額を計算する運用収益にも問題があります。

記事にある、「円安の影響で外債の利息収入がかさ上げされ、
一気に逆ざやが解消」って、意味がわからないですよね。

逆ざや額を計算する運用収益は「利息配当金収入」なので、
株価や為替の変動はほとんど影響がありません
(ただし、投信の運用損益の一部はここに入ります)。

しかし、外債の利息収入は為替変動で振れるので、
このような説明になったのでしょう。
間違いではありませんが、利息収入だけ円安で増えて、
元本は見ないなんて、おかしいですよね。

つまり、逆ざや額は生保の運用成果を反映したものでは
ないのですね。

「逆ざや額」はそのわかりやすさから広く使われてきましたが、
むしろ弊害のほうが大きくなっているように思います。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は地元・大倉山公園です。

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