植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2014年11月02日

共済の研究会でスピーチ

 

黒田日銀の追加緩和には驚きました。
長期国債の保有残高を約30兆円追加し、
買入れの平均残存期間を最大3年程度延長するとか。
ETFとJ-REITの買入れも3倍増だそうです。

しかし、期待に働きかけるこの政策。
効きが悪くなったら、またバズーカ砲となるはず。
どうも不安が先に立ってしまいます。


ところで、先月京都である共済の研究会に出席し、
スピーチをする機会がありました。
参加者の多くは共済事業に日々関わる皆さんです。

私の役目は保険業界をめぐる最近の動向について
解説することでした。

現在進んでいる保険募集ルールの再構築や
金融庁の金融モニタリング基本方針に見られる
顧客と金融機関の好循環を目指す取り組みなどは、
共済事業にも決して無縁ではないでしょう。

同時に、研究会に参加して、共済事業への
プレッシャーの強まりも感じました。

技術面では共済も保険も同じです。
統計データから料率を決め、責任準備金を積み、
保障を全うするには、リスク管理が極めて重要です。
一部の共済団体では、統合的リスク管理(ERM)の
高度化を進めていると聞きます。

県民共済などが提供する「一律掛金・一律保障」は、
リスクの異なる若年層と壮年層が同じ掛金なので、
共済の相互扶助を体現しているように見えます。

ただ、考えてみれば、保険会社も団体保険で
同じような保障を提供しています。


それでは両者の違いがどこにあるかといえば、
組織のあり方なのだと思います。

保険会社は保障を提供するために加入者を集め、
安定した保障を提供できるようにするのであって、
加入者はあくまでサービスの利用者です。

他方、共済を提供する協同組合は、組合員のために
存在する組織です。組合員のためにサービスを提供し、
組合は組合員の自治で運営されます。

大規模化した共済の加入者に自治意識があるのか、
といった疑問はありますし、例えばJA共済であれば、
構成員が「専業農家」「土地持ち非農家」「准組合員」、
全労済であれば「労組組合員」「こくみん共済の加入者」
など、属性の大きく異なる組合員を抱えています。

それでも共済が保険とは違うと説明するには、
「加入者」ではなく「組合員」という意識を持ってもらう
取り組みを継続的に行っていくしかないでしょう。

もっとも、共済事業者の監督は保険行政(金融庁)に
一本化したほうがいいのではないかと思っています。
そうすれば、「監督が緩い」といった批判はなくなりますね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は宇治の平等院です。
 思わず10円玉を取り出し、見比べてしまいました。

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2014年10月20日

保険学会の全国大会

 

週末に高松で開かれた日本保険学会の全国大会に
参加してきました。

今年の大会は、初日のシンポジウムのテーマが
「IT技術の進歩と保険事業の展開」、
2日目の共通論題が「保険業規制と国際的調和」、
いずれも料理するのに難しそうなテーマでした。

それでも研究者の皆さんにとって、テーマになりそうな
論点がいろいろと見つかったのではないかと思います。


「保険業規制と国際的調和」では、複数のパネリストから、

・保険事業の国際化に伴い、健全性規制の共通化が必要
・ただし、各地域の特性等を踏まえたものであるべき

という話が出たので、「共通化と個別性の両立」について
フロアから質問してみました。

もしかしたら意地悪な質問に聞こえたかもしれません。
しかし、矛盾を突いたのではなく、保険事業は銀行以上に
市場ごとの事業・リスク特性の違いが大きいように思うので、
議論に値するテーマだと考え、質問したものです。


また、企業会計と金融規制の両面で進む経済価値ベースの
評価をテーマにした上野先生(静岡県立大学)に対しては、

・変動が大きくなることで、起こさなくてもいい行政措置
 (早期是正措置など)を招くのではないか?
・「変動が大きくなるから経営者にとってリスキー」と言うが、
 これまでよく見えなかったものが見えるようになるだけでは?

といったコメントがありました(後者は私)。


論文発表では、黒木先生(名古屋商科大学)による
「日本生命の戦後の相互会社化」が興味深かったですね。

「藤本談話のオーラルヒストリー分析を中心に」という副題が
あるように、当時のキーパーソンのオフレコ談話を発掘し、
他の資料と比較検討することで、真相に迫りました。

その結果、財閥系のようにGHQの指導ではなかったにせよ、
やはり、相互会社理念が主たる動機の相互会社化では
なかった可能性が高いと結論付けていました。

レジュメには「戦後のわが国相互会社経営の形骸化と、
戦後の相互会社化との関連性」という記述もあり、
今後の研究の進展が楽しみです。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は帰りに空港で食べた釜揚げうどんです。


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2014年09月29日

来店型保険ショップの現状

 

先週、早稲田大学で保険規制に関するシンポジウムがあり、
そこで聞いた、ほけんの窓口グループ・窪田社長の話が
私には非常に興味深く感じました。

窪田さんは損保出身で、生保会社の社長も経験しています。
保険ショップの経営者になるとは、ご本人も想像していなかった
ようですが、「メーカー主導の販売に限界を感じていた」とのこと。

先の保険業法改正で、比較推奨販売を行う保険ショップには
追加的な体制整備義務が課せられることになります
(=同じく登壇した栗山さんの資料を参考にしました)。

しかし、スピーチを聞く限りでは、規制対応は足かせではなく、
「完璧な募集態勢の構築は生きていくうえで絶対条件」
「『入口』『中間』『出口』業務の適正化による顧客満足度の
 向上が生き残りの絶対条件」
というコメントでした。

それにしても、保有契約は100万件を超え、店舗数は約500。
しかも、成約率は5割以上、3年継続率も9割を上回るとのこと。
意外だったのは、東日本大震災以降、予約なしの来店客が増え、
いまや相談会予約と直接来店が半々なのだそうです。

新たな規制環境の中で保険流通がどうなっていくのかに
注目が集まりがちですが、供給者サイドの動きだけではなく、
需要サイド(=消費者)の動きも重要です。
今後の保険会社経営を見るうえで注目すべき存在だと思います。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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2014年06月15日

RINGオープンセミナー2014

 

土曜日はRINGの会オープンセミナーでした。
今年は出番がなかったので、3つのパネルディスカッションを
じっくり聞くことができました。
プログラムはこちら

10年後の保険代理店経営が今回のテーマとはいえ、
いま保険流通の世界では、やはり新たな保険募集ルールが
大きな関心事項となっているのですね。

第一部の参加者が例年より多かったように感じましたが、
皆さんの関心の大きさを示しているのでしょう。

このあたりの雰囲気は、同じ保険会社でも本社と現場では、
実のところ、かなりギャップがあるかもしれません。


今回私の印象に残ったのは、第二部の「オヤノコトネット」。

高齢の親を持つ35歳から59歳の子ども世代(=オヤノコト世代)
に対し、親のことを考える機会を提供し、この世代に必要な
商品やサービスを紹介する会社なのだそうです。

つまり、この会社が提供するのはプラットフォームであり、
商品やサービスを提供するのではありません。

潜在的な需要は大きいものの、ニーズの掘り起こしが難しい
「オヤノコト世代」向け商品・サービスに対するニーズ喚起を、
セミナーやイベントの開催等を通じ、商品・サービスの提供者に
代わって行うという仕組みです。

詳しくはHPに譲りますが、商品やサービスの提供者からすると、
いわば「ニーズ喚起のアウトソーシング」となりますね。
オヤノコトネットのHPへ


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


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2013年06月29日

早大保険規制研シンポ

 

早稲田大学の保険規制問題研究所が28日、
保険募集をテーマに公開シンポジウムを開催しました。

プログラムの前半は研究所メンバーによる発表、
後半は日本代協の岡部さん、仲立人協会の葛石さん
のスピーチと、フロアとの質疑応答でした
(私は参加者としてフロアにいました)。

いずれも先の金融審・募集WG報告書を踏まえたもので、
参加者も多く、今回の報告書の関心の高さが伺えました。

発表のうち、大塚英明先生の「『意向把握』について」は、
顧客の意向を知りつつ、意向どおりの保障を提供しなかった場合、
代理店は賠償責任を問われるようになる、という興味深いものでした。

話を聞いていて、同じ募集人でも、生保中心の大型乗合代理店と、
損保プロ代理店では、保険会社との関係はかなり異なることが
改めてわかりました。

日本代協・岡部さんの資料によると、

・現行の乗合承認制度の問題(=要は保険会社が承認しない)
・代理店の販売方針と代手体系等のミスマッチ

など、保険会社に対する損保プロ代理店の弱さが示されています。
フロアからもそのような声が上がりました(代理店のかたから)。

ただ、従来の、「行政→保険会社→代理店」という流れに加え、
「行政→代理店」が加わるということは、場合によっては、
保険会社による拡大解釈や予防的措置に従わなくてすむ
ということになるのかもしれません。

とはいえ、受け身のままでは何も変わらないのでしょうね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は早慶戦としてみました(慶大で講義があったので)。


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2013年06月18日

オープンセミナーに登場

 

以前このブログで予告させていただいた通り、
週末(15日)は横浜でRINGの会オープンセミナーに出席。
1300人を超える保険関係者が集い、大盛況でした。
オープンセミナーのHPへ

私や元同僚の増島さんなどが登場した第一部は、
数日前に報告書が公表された保険募集規制の見直し案について
パネリストからの報告を中心に展開されました。
金融庁のHPへ

第二部では事業継承の難しさについて、経験者が語るというもの。
このテーマについて壇上で語るのは大変だったと思います。


いろいろと考えさせられたのが第三部、女性躍進の最前線です。
そもそもこのテーマを取り上げざるをえないところが問題なのですが、
それでも男の職場だった損保営業の世界が変化しつつあるのでしょう
(他方で代理店は引き続き男女分業が主流なのでしょうか?)。

背景としては、営業拠点のシステム化が進み、事務を担当していた
職員(主に女性)が営業推進を担当するようになったことがありそうです。

ただし、セミナーでは取り上げられませんでしたが、
本社の主要ポストとなると、女性は数えるほどしかいないと思います。
例えば前職でいろいろとヒアリングをさせていただくと、
メインスピーカーの一員として、女性は滅多に登場しませんでした
(社長が一人、経営企画担当役員が一人といった感じでしょうか)。

審議会などで見られる「3割ルール」などは、必要だとは思いつつ、
率直に言って首をかしげたくなる場面もしばしばあります。

とはいえ、優秀な学生は女性のほうが多いという実感もありますし、
シングルインカムではますます家計を支えられないという現実を踏まえると、
次の10年の変化は意外に大きいかもしれませんが、どうでしょうか。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


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2013年01月20日

内部統制とERM

 

日本価値創造ERM学会の研究発表大会・特別講演会に
出席しました(18日)。

こうした大会では何かと「気づき」を得られるものです。
今回は「内部統制」が私のなかでのキーワードとなりました
(大会プログラムはこちら → 学会HPへ)。

COSOをご存じでしょうか。元々はトレッドウェイ委員会
(=1987年に不正な財務報告に関する報告書をまとめた)
を財政的に支援する団体だったようですが、報告書を受けて、
COSOが1992/1994年に公表した内部統制フレームワークは、
内部統制のグローバルスタンダードのようなものとなっています

ちなみに18日の学会では、このCOSO内部統制フレームワークの
改訂案について箱田順哉会計士の特別講演がありました。
COSOのHPへ


ところで、COSOの内部統制(英語ではInternal Control)と
ERM、ガバナンスの関係を示すと、次のようになります。

 ガバナンス > ERM > Internal Control

つまり、Internal Control よりも ERM のほうが広い概念
ということになりますね。
確かに、同じCOSOが公表しているERMフレームワークと比べると、
目的に「戦略」が入っているのはERMのほうだけです。

他方、日本の会社法では大会社に対し、内部統制の基本方針を
定めるよう求めています。

会社法が求める内部統制とは、主に次の通りです。

 ・取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に
  関する体制(=コンプライアンス体制です)

 ・損失の危険の管理に関する規程その他の体制
  (=これはリスク管理体制ですね)

 ・取締役の職務の執行が効率的に行われることを
  確保するための体制

 ・使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを
  確保するための体制(=これもコンプライアンス体制です)

 ・当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る
  企業集団における業務の適正を確保するための体制

すなわち、会社法の内部統制には「リスク管理体制の構築」が
含まれていることがわかります。

例えば保険会社のディスクロージャー誌を見ると、
会社法を踏まえ、まず内部統制の基本方針を定めたうえで、
その下でリスク管理体制を構築し、規程を整備しているようです。

しかし、単なるリスク管理ではなくERMとなると、どうなるか。
ERMが内部統制よりも上位の概念ということは、
内部統制の下にあるリスク管理体制を整備するだけでは、
ERM態勢を構築したことにはならないのです。

「リスクを計量化して資本と対比することがERMではない」
などと時々話すのですが、この概念整理からもわかりますね。

今回はちょっと硬派な話になってしまいました。


※いつもの通り個人的なコメントということでお願いします。

※センター試験ということで、写真は湯島天神です。


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2012年12月16日

CERA研修

 

ERM(エンタープライズ・リスクマネジメント)の国際資格である
CERA資格の認定要件としてCERA研修が週末に開催され、
一コマ講師を務めました。

「日本の状況を踏まえたERM実務に関連する知識・技術の習得等」
がCERA研修の目的なので、講義では中堅生保の破綻研究や
これまでの業務経験を踏まえ、事例紹介を中心に話したのですが、
いかがでしたでしょうか。

もっとも、研修の中心は講義ではなく、グループワークでした。

出された課題についてまず自分で答案を作成します。
次にそれをグループ全員で討議したうえで意見をまとめ、
全員の前で代表者が発表し、講師がコメントします。
このようなグループワークが1日半で4つもありました。

いずれの課題も高度かつ実際にありそうなものばかり。
かなり付加価値の高い研修だったのではないかと思います。
受講者の皆さんも熱心に参加していたようですね
(というか、かなり大変だったのでは...お疲れさまでした)。


※くまもんも受講していました(うそです)


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2012年12月08日

Open Discussion Forum

 

日本アクチュアリー会(国際関係委員会)主催の
Open Discussion Forumでスピーチをしました(7日)。

このフォーラムは、
「日本で活動する外国人アクチュアリーと日本人アクチュアリーとが
 英語でのディスカッションを行なう公開討論会」
 (日本アクチュアリー会のHPより)ということで、
昨年に続き今回が2回目なのだそうです。

確かに日本と海外ではアクチュアリーの業務とされている内容に
なぜか違いがあるように思えますので、このような試みは
プロフェッシャルの団体として大変いいことだと思います。

しかし、いざ自分が登場するとなると冷や汗ものでした。

スピーチそのものは事前準備で何とかなりますが、
問題は質疑応答です。英語そのものは何とかわかったとしても、
相手が何を聞きたいのか、わからないことが結構あるのですね。
皆さんはそのような経験ありませんか。

さて、私はERM Sessionに登場し、「ERM and Regulation」という
テーマで20分ほど話をしました。そして質疑応答タイム...
...私への質問はなく、無事お役御免となりました^^;


同じERM Sessionで大手再保険グループRGAのERMについて
スピーチがあり、米国拠点のグループでも再保険会社は
やはり進んでいるんだなあと興味深く拝聴しました。

米国の投資家は一般にUS-GAAPベースの利益と株主還元に
関心があり、実際、RGAの投資家向け説明会資料をみても
ERMやリスクベースの話はあまり出てこないようです。

それでもRGAでは10年以上前からERMの構築を進め、
経済資本も計算し、さらに進化を続けているとか。
会場からの質問もRGAのかたに集中していました

私も「pricing actuary」「valuation actuary」という言葉に反応し、
つい横から質問してしまいました。

先日ある外資系保険会社のトップと話をしていた際に
「valuation actuaryが厳しいのでダンピングなどできない」
という話を聞いたところだったので、おっ、と思ったのです。
日本の会社に「valuation actuary」はいるでしょうか?
(スペルミスを修正しました)

まあ、受け身で質問を待つよりも、自分から出て行ったほうが、
つまり「守り」より「攻め」のほうがいいのではないかという
作戦でもありました^^


※いつものように個人的なコメントということでお願いします

※写真は会場のトリトンスクエアと、勝鬨橋から見た築地市場です。


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2012年11月28日

アジア保険関係者との対話

 

生保の中間決算(上半期報告)が発表されています(28日)。

大手で注目は明治安田生命でしょうか。
株式評価損に目が行きがちですが、米国RMBSの増加、
「その他有価証券」から責任準備金対応債券へのシフトなど、
いろいろと動きがみられました。

とはいえ、まだ全体を見ていないので、
週末にでももう少しコメントしようと思います。


ところで、最近、アジア各国の保険関係者に対し、
日本の保険市場や保険行政の動向について
話をする機会が何回かありました。

私が先月まで保険行政でソルベンシー規制の検討や
ERMの推進にわっていたこともあり、これらに関連する質問が
多かったのですが、それでも質疑応答を通じ、
彼らの関心事項が浮かんできました。

最もよく聞かれた質問は、低金利に関するものです。

「歴史的低金利が続く日本で、生保はどうやって経営しているのか」
「長期にわたる低金利が保険市場にどのような影響を与えているか」
「低金利で生保経営が厳しくなるなかで、行政は何か支援をしたのか」

などなど。
いまや欧米だけではなく、アジア各国でも金利水準が低下し、
保険会社の経営が厳しくなっていることが伺えます。


もうひとつ、興味深いというか、回答が難しい質問として、
「財務の健全性と消費者保護のいずれに軸足が置かれているのか」
というものがありました。

保井俊之さんの著書「保険金不払い問題と日本の保険行政」では
日本の保険行政について、

 ・戦前、戦中、高度成長期と続いたコントロール(統制)指向の行政
 ・1999年からのコンティンジェンシー(危機管理)指向の行政
 ・2005年からのコンプライアンス(法令遵守)指向の行政
 ・2008年からのコンバージェンス(目標集束)指向の行政

という整理がなされており、実感できるところです。

しかし、財務の健全性か消費者保護かと二択で問われると、
「どちらも重視している」としか答えようがありません。
いろいろと説明しましたが、納得してもらえたかどうか。

日本では中堅生損保の相次ぐ破綻(=契約者負担あり)を経て、
かつ、銀行預金のペイオフも解禁されています。

これに対し、アジア各国の保険市場では、
多くがコントロール指向の強い行政の下にあるため、
契約者保護と言うと財務の健全性確保ではなく、
消費者目線の政策のことがイメージされるようです。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は築地市場で活躍する運搬車「ターレー」です。
 大きなハンドルの後ろに立って運転します。


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