植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2014年09月29日

来店型保険ショップの現状

 

先週、早稲田大学で保険規制に関するシンポジウムがあり、
そこで聞いた、ほけんの窓口グループ・窪田社長の話が
私には非常に興味深く感じました。

窪田さんは損保出身で、生保会社の社長も経験しています。
保険ショップの経営者になるとは、ご本人も想像していなかった
ようですが、「メーカー主導の販売に限界を感じていた」とのこと。

先の保険業法改正で、比較推奨販売を行う保険ショップには
追加的な体制整備義務が課せられることになります
(=同じく登壇した栗山さんの資料を参考にしました)。

しかし、スピーチを聞く限りでは、規制対応は足かせではなく、
「完璧な募集態勢の構築は生きていくうえで絶対条件」
「『入口』『中間』『出口』業務の適正化による顧客満足度の
 向上が生き残りの絶対条件」
というコメントでした。

それにしても、保有契約は100万件を超え、店舗数は約500。
しかも、成約率は5割以上、3年継続率も9割を上回るとのこと。
意外だったのは、東日本大震災以降、予約なしの来店客が増え、
いまや相談会予約と直接来店が半々なのだそうです。

新たな規制環境の中で保険流通がどうなっていくのかに
注目が集まりがちですが、供給者サイドの動きだけではなく、
需要サイド(=消費者)の動きも重要です。
今後の保険会社経営を見るうえで注目すべき存在だと思います。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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2014年06月15日

RINGオープンセミナー2014

 

土曜日はRINGの会オープンセミナーでした。
今年は出番がなかったので、3つのパネルディスカッションを
じっくり聞くことができました。
プログラムはこちら

10年後の保険代理店経営が今回のテーマとはいえ、
いま保険流通の世界では、やはり新たな保険募集ルールが
大きな関心事項となっているのですね。

第一部の参加者が例年より多かったように感じましたが、
皆さんの関心の大きさを示しているのでしょう。

このあたりの雰囲気は、同じ保険会社でも本社と現場では、
実のところ、かなりギャップがあるかもしれません。


今回私の印象に残ったのは、第二部の「オヤノコトネット」。

高齢の親を持つ35歳から59歳の子ども世代(=オヤノコト世代)
に対し、親のことを考える機会を提供し、この世代に必要な
商品やサービスを紹介する会社なのだそうです。

つまり、この会社が提供するのはプラットフォームであり、
商品やサービスを提供するのではありません。

潜在的な需要は大きいものの、ニーズの掘り起こしが難しい
「オヤノコト世代」向け商品・サービスに対するニーズ喚起を、
セミナーやイベントの開催等を通じ、商品・サービスの提供者に
代わって行うという仕組みです。

詳しくはHPに譲りますが、商品やサービスの提供者からすると、
いわば「ニーズ喚起のアウトソーシング」となりますね。
オヤノコトネットのHPへ


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2013年06月29日

早大保険規制研シンポ

 

早稲田大学の保険規制問題研究所が28日、
保険募集をテーマに公開シンポジウムを開催しました。

プログラムの前半は研究所メンバーによる発表、
後半は日本代協の岡部さん、仲立人協会の葛石さん
のスピーチと、フロアとの質疑応答でした
(私は参加者としてフロアにいました)。

いずれも先の金融審・募集WG報告書を踏まえたもので、
参加者も多く、今回の報告書の関心の高さが伺えました。

発表のうち、大塚英明先生の「『意向把握』について」は、
顧客の意向を知りつつ、意向どおりの保障を提供しなかった場合、
代理店は賠償責任を問われるようになる、という興味深いものでした。

話を聞いていて、同じ募集人でも、生保中心の大型乗合代理店と、
損保プロ代理店では、保険会社との関係はかなり異なることが
改めてわかりました。

日本代協・岡部さんの資料によると、

・現行の乗合承認制度の問題(=要は保険会社が承認しない)
・代理店の販売方針と代手体系等のミスマッチ

など、保険会社に対する損保プロ代理店の弱さが示されています。
フロアからもそのような声が上がりました(代理店のかたから)。

ただ、従来の、「行政→保険会社→代理店」という流れに加え、
「行政→代理店」が加わるということは、場合によっては、
保険会社による拡大解釈や予防的措置に従わなくてすむ
ということになるのかもしれません。

とはいえ、受け身のままでは何も変わらないのでしょうね。


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※写真は早慶戦としてみました(慶大で講義があったので)。


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2013年06月18日

オープンセミナーに登場

 

以前このブログで予告させていただいた通り、
週末(15日)は横浜でRINGの会オープンセミナーに出席。
1300人を超える保険関係者が集い、大盛況でした。
オープンセミナーのHPへ

私や元同僚の増島さんなどが登場した第一部は、
数日前に報告書が公表された保険募集規制の見直し案について
パネリストからの報告を中心に展開されました。
金融庁のHPへ

第二部では事業継承の難しさについて、経験者が語るというもの。
このテーマについて壇上で語るのは大変だったと思います。


いろいろと考えさせられたのが第三部、女性躍進の最前線です。
そもそもこのテーマを取り上げざるをえないところが問題なのですが、
それでも男の職場だった損保営業の世界が変化しつつあるのでしょう
(他方で代理店は引き続き男女分業が主流なのでしょうか?)。

背景としては、営業拠点のシステム化が進み、事務を担当していた
職員(主に女性)が営業推進を担当するようになったことがありそうです。

ただし、セミナーでは取り上げられませんでしたが、
本社の主要ポストとなると、女性は数えるほどしかいないと思います。
例えば前職でいろいろとヒアリングをさせていただくと、
メインスピーカーの一員として、女性は滅多に登場しませんでした
(社長が一人、経営企画担当役員が一人といった感じでしょうか)。

審議会などで見られる「3割ルール」などは、必要だとは思いつつ、
率直に言って首をかしげたくなる場面もしばしばあります。

とはいえ、優秀な学生は女性のほうが多いという実感もありますし、
シングルインカムではますます家計を支えられないという現実を踏まえると、
次の10年の変化は意外に大きいかもしれませんが、どうでしょうか。


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2013年01月20日

内部統制とERM

 

日本価値創造ERM学会の研究発表大会・特別講演会に
出席しました(18日)。

こうした大会では何かと「気づき」を得られるものです。
今回は「内部統制」が私のなかでのキーワードとなりました
(大会プログラムはこちら → 学会HPへ)。

COSOをご存じでしょうか。元々はトレッドウェイ委員会
(=1987年に不正な財務報告に関する報告書をまとめた)
を財政的に支援する団体だったようですが、報告書を受けて、
COSOが1992/1994年に公表した内部統制フレームワークは、
内部統制のグローバルスタンダードのようなものとなっています

ちなみに18日の学会では、このCOSO内部統制フレームワークの
改訂案について箱田順哉会計士の特別講演がありました。
COSOのHPへ


ところで、COSOの内部統制(英語ではInternal Control)と
ERM、ガバナンスの関係を示すと、次のようになります。

 ガバナンス > ERM > Internal Control

つまり、Internal Control よりも ERM のほうが広い概念
ということになりますね。
確かに、同じCOSOが公表しているERMフレームワークと比べると、
目的に「戦略」が入っているのはERMのほうだけです。

他方、日本の会社法では大会社に対し、内部統制の基本方針を
定めるよう求めています。

会社法が求める内部統制とは、主に次の通りです。

 ・取締役の職務の執行に係る情報の保存及び管理に
  関する体制(=コンプライアンス体制です)

 ・損失の危険の管理に関する規程その他の体制
  (=これはリスク管理体制ですね)

 ・取締役の職務の執行が効率的に行われることを
  確保するための体制

 ・使用人の職務の執行が法令及び定款に適合することを
  確保するための体制(=これもコンプライアンス体制です)

 ・当該株式会社並びにその親会社及び子会社から成る
  企業集団における業務の適正を確保するための体制

すなわち、会社法の内部統制には「リスク管理体制の構築」が
含まれていることがわかります。

例えば保険会社のディスクロージャー誌を見ると、
会社法を踏まえ、まず内部統制の基本方針を定めたうえで、
その下でリスク管理体制を構築し、規程を整備しているようです。

しかし、単なるリスク管理ではなくERMとなると、どうなるか。
ERMが内部統制よりも上位の概念ということは、
内部統制の下にあるリスク管理体制を整備するだけでは、
ERM態勢を構築したことにはならないのです。

「リスクを計量化して資本と対比することがERMではない」
などと時々話すのですが、この概念整理からもわかりますね。

今回はちょっと硬派な話になってしまいました。


※いつもの通り個人的なコメントということでお願いします。

※センター試験ということで、写真は湯島天神です。


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2012年12月16日

CERA研修

 

ERM(エンタープライズ・リスクマネジメント)の国際資格である
CERA資格の認定要件としてCERA研修が週末に開催され、
一コマ講師を務めました。

「日本の状況を踏まえたERM実務に関連する知識・技術の習得等」
がCERA研修の目的なので、講義では中堅生保の破綻研究や
これまでの業務経験を踏まえ、事例紹介を中心に話したのですが、
いかがでしたでしょうか。

もっとも、研修の中心は講義ではなく、グループワークでした。

出された課題についてまず自分で答案を作成します。
次にそれをグループ全員で討議したうえで意見をまとめ、
全員の前で代表者が発表し、講師がコメントします。
このようなグループワークが1日半で4つもありました。

いずれの課題も高度かつ実際にありそうなものばかり。
かなり付加価値の高い研修だったのではないかと思います。
受講者の皆さんも熱心に参加していたようですね
(というか、かなり大変だったのでは...お疲れさまでした)。


※くまもんも受講していました(うそです)


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2012年12月08日

Open Discussion Forum

 

日本アクチュアリー会(国際関係委員会)主催の
Open Discussion Forumでスピーチをしました(7日)。

このフォーラムは、
「日本で活動する外国人アクチュアリーと日本人アクチュアリーとが
 英語でのディスカッションを行なう公開討論会」
 (日本アクチュアリー会のHPより)ということで、
昨年に続き今回が2回目なのだそうです。

確かに日本と海外ではアクチュアリーの業務とされている内容に
なぜか違いがあるように思えますので、このような試みは
プロフェッシャルの団体として大変いいことだと思います。

しかし、いざ自分が登場するとなると冷や汗ものでした。

スピーチそのものは事前準備で何とかなりますが、
問題は質疑応答です。英語そのものは何とかわかったとしても、
相手が何を聞きたいのか、わからないことが結構あるのですね。
皆さんはそのような経験ありませんか。

さて、私はERM Sessionに登場し、「ERM and Regulation」という
テーマで20分ほど話をしました。そして質疑応答タイム...
...私への質問はなく、無事お役御免となりました^^;


同じERM Sessionで大手再保険グループRGAのERMについて
スピーチがあり、米国拠点のグループでも再保険会社は
やはり進んでいるんだなあと興味深く拝聴しました。

米国の投資家は一般にUS-GAAPベースの利益と株主還元に
関心があり、実際、RGAの投資家向け説明会資料をみても
ERMやリスクベースの話はあまり出てこないようです。

それでもRGAでは10年以上前からERMの構築を進め、
経済資本も計算し、さらに進化を続けているとか。
会場からの質問もRGAのかたに集中していました

私も「pricing actuary」「valuation actuary」という言葉に反応し、
つい横から質問してしまいました。

先日ある外資系保険会社のトップと話をしていた際に
「valuation actuaryが厳しいのでダンピングなどできない」
という話を聞いたところだったので、おっ、と思ったのです。
日本の会社に「valuation actuary」はいるでしょうか?
(スペルミスを修正しました)

まあ、受け身で質問を待つよりも、自分から出て行ったほうが、
つまり「守り」より「攻め」のほうがいいのではないかという
作戦でもありました^^


※いつものように個人的なコメントということでお願いします

※写真は会場のトリトンスクエアと、勝鬨橋から見た築地市場です。


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2012年11月28日

アジア保険関係者との対話

 

生保の中間決算(上半期報告)が発表されています(28日)。

大手で注目は明治安田生命でしょうか。
株式評価損に目が行きがちですが、米国RMBSの増加、
「その他有価証券」から責任準備金対応債券へのシフトなど、
いろいろと動きがみられました。

とはいえ、まだ全体を見ていないので、
週末にでももう少しコメントしようと思います。


ところで、最近、アジア各国の保険関係者に対し、
日本の保険市場や保険行政の動向について
話をする機会が何回かありました。

私が先月まで保険行政でソルベンシー規制の検討や
ERMの推進にわっていたこともあり、これらに関連する質問が
多かったのですが、それでも質疑応答を通じ、
彼らの関心事項が浮かんできました。

最もよく聞かれた質問は、低金利に関するものです。

「歴史的低金利が続く日本で、生保はどうやって経営しているのか」
「長期にわたる低金利が保険市場にどのような影響を与えているか」
「低金利で生保経営が厳しくなるなかで、行政は何か支援をしたのか」

などなど。
いまや欧米だけではなく、アジア各国でも金利水準が低下し、
保険会社の経営が厳しくなっていることが伺えます。


もうひとつ、興味深いというか、回答が難しい質問として、
「財務の健全性と消費者保護のいずれに軸足が置かれているのか」
というものがありました。

保井俊之さんの著書「保険金不払い問題と日本の保険行政」では
日本の保険行政について、

 ・戦前、戦中、高度成長期と続いたコントロール(統制)指向の行政
 ・1999年からのコンティンジェンシー(危機管理)指向の行政
 ・2005年からのコンプライアンス(法令遵守)指向の行政
 ・2008年からのコンバージェンス(目標集束)指向の行政

という整理がなされており、実感できるところです。

しかし、財務の健全性か消費者保護かと二択で問われると、
「どちらも重視している」としか答えようがありません。
いろいろと説明しましたが、納得してもらえたかどうか。

日本では中堅生損保の相次ぐ破綻(=契約者負担あり)を経て、
かつ、銀行預金のペイオフも解禁されています。

これに対し、アジア各国の保険市場では、
多くがコントロール指向の強い行政の下にあるため、
契約者保護と言うと財務の健全性確保ではなく、
消費者目線の政策のことがイメージされるようです。


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※写真は築地市場で活躍する運搬車「ターレー」です。
 大きなハンドルの後ろに立って運転します。


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2012年10月21日

巨大災害・巨大リスクと保険

 

この週末に日本保険学会・年次大会のシンポジウム
「巨大災害・巨大リスクと保険」がありました(21日)。
昨年はパネリストだったので、今回は気楽に参加できました^^

今回のシンポジウムではパネリストが7人(!)だったので、
パネルディスカッションよりも報告が中心という感じでしたが、
例えば企業の巨大災害リスク管理状況や再保険市場の動向など、
いろいろと勉強になりました。
日本保険学会のHPへ

2011年は東日本大震災やタイの洪水、ニュージーランドの地震など
自然災害に伴う保険金支払いが過去最大規模に膨らんだのですが、
世界の再保険者の資本はわずかしか減らなかったのですね。

このため、一部を除き、再保険市場はハード化しなかったようです。
自然災害モデルの普及をはじめ、再保険者のリスクマネジメントが
進化したことが背景にあるのかもしれません。
近年はマーケットサイクルも小さくなっているとか。


大学の先生がたは地震保険制度への関心が強いようで、
パネルディスカッションでは専ら地震保険の話に集中しました。
確かに財務省の地震保険PTも進行中ですし、
参加された皆さんには身近に感じるテーマなのでしょう。

ただ、官と民の綱引きのような議論に終始するのではなく、
社会システムとして巨大災害・巨大リスクにどう対応するべきか、
そのなかで保険制度はどうあるべきか、といった大きな議論でも
よかったのではないかと感じました。


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※会場は日大商学部でした。校舎が新しくなり、
 私が教えていた時とは大違いです(写真)。


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2012年08月04日

出版を祝う会



ベストセラー「医療保険は入ってはいけない」の著者である、
FPの内藤眞弓さんの新刊出版をお祝いする会がありました。

本のタイトルは「お金のプロがすすめるお金上手な生き方」。
保険の見直しや投資についてのノウハウ本ではなく、
「保険や貯蓄、投資等を通じてお金について考えましょう」
という本でした。

各章の表題を見ると、

 「保険貧乏にサヨウナラ」
 「どんぶり勘定とあくせく節約にサヨウナラ」
 「保有する暮らしにサヨウナラ」
 「やらされる『投資』にサヨウナラ」
 「医療保険依存症にサヨウナラ」
 「お金に振り回される暮らしにサヨウナラ」

と「サヨウナラ」が6つも並んでいます。

「サヨウナラ」のあと、何と「コンニチハ」なのか。
それは読者のためにとっておきましょう。


出版を祝う会には、金融や出版関連だけではなく、
幅広い分野から集まっていたようです。女性が多かったですね。
普段お会いする機会のないような皆さんと話をすることができましたし、
トークショーも新鮮でした。

どなたかが二宮尊徳の言葉として、
「道徳なき経済は犯罪」「経済なき道徳は寝言」
を紹介していたのが印象的でしたね。

この言葉はどうも出典が明らかではないようなのですが、
前半だけでなく、後半も同じくらい重要なのだと思いました。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は武蔵大学3号館。
 大正時代(1923年)にできた歴史的建築物です。


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