
2009年10月29日
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日本経済研究センター・金融研究班の報告書について
深尾光洋理事長(慶応大学教授)の話を聞きました。
日経センター・金融研究のHPへ
報告書の概要は10/28(水)の日経「経済教室」にも掲載されています。
今回は「世界不況下の銀行・生保経営」というテーマで
・落ち込む経済と金融市場動向
・再び悪化する銀行経営
・変わる時代と生命保険経営
の3つの論文が発表されました。
例えば生保の論文では、健全性指標の修正版のほか、
相互会社の株式会社化や、生保・共済の経営分析などがあり、
短期間かつ少人数でよくまとめたなあと感心しました。
それにしても、「大手行の自己資本状況」という表を見ると、
みずほFGのコアTierⅠ資本の少なさが際立っていることが
改めて確認できます。
日本のメガバンクは前回の危機からのリハビリ中だったこともあり、
今回の危機では欧州の金融機関ほど経営が揺らいでいません。
それにもかかわらず、国際的な自己資本規制強化の流れのなかで、
「大幅な普通株増資を迫られる可能性がある」(報告書P69より引用)
というのはなかなか辛いものがあります。
深尾先生のスピーチのなかには、米国出張の報告もありました。
当初は金融規制改革のなかでFRBの権限を強化し、
業態ごとバラバラな規制の一元化を図る案だったはずですが、
現在の政治状況ではそれが難しくなっているとのこと。
BIS規制の見直しも、G20の枠組みのなかでは合意が難しく、
「あと2年ではできっこない」という関係者のコメントを紹介していました。
2009年10月18日

16日(金)の日本価値創造ERM学会の研究会で、
金融機関と事業法人のERM(エンタープライズ・リスクマネジメント)
を比較検討しようという試みがありました。
日本価値創造ERM学会のHPへ(第6回研究会を参照)
パネラーは事業会社代表として東京ガスの吉野太郎さん、
金融機関(銀行)代表はPwCアドバイザリーの原誠一さん、
保険会社代表はキャピタスコンサルティングの森本祐司さん。
いずれもこの分野の第一人者です。
同じERM、すなわち全社のリスクを統合的に管理する経営でも、
金融機関のERMは定量的アプローチ(=VaR、ECといったイメージ)、
事業会社が定性的アプローチ(=内部統制、危機管理のイメージ)
という違いを想像します。
しかし、お話を伺うと、必ずしもそうではないようです。
確かに事業会社の経営リスクの多くは計量化になじみにくいとはいえ、
経営陣の納得感を高めるには、定性と定量の組み合わせが大切なのだそうです。
吉野さんによると、その際の「定量」はざっくりしたもので十分とのこと。
それに今回の金融危機では、金融機関の定量的アプローチ、
すなわち、モデルを重視したERMの限界が示されたわけで、
両者のERMは実はそうかけ離れていないのかもしれません。
他方、金融機関のアプローチでは「損失は一定の確率で発生する」のに対し、
事業会社では「事故は絶対に起こしてはいけない」という発想になります。
この違いについて今回は深い議論にはなりませんでしたが、
私なりに理解すると、事業会社の場合も
「絶対に起こしてはいけないけど、起こりうるもの」
ということなのでしょう。
例えば、ガス爆発事故の可能性を限りなく小さくすることはできても、
ガスタンクがある以上、可能性をゼロにすることはできないと思います。
そう考えると両者の違いは実質的になくなるのではないでしょうか。
もっとも、日本の事業会社でERM、あるいは全社的なリスクマネジメントを
行っている会社がどの程度あるのか、という別の問題も見え隠れします。
それはともかく、私は保険アナリストなので、どうしても保険業界に知識が偏りがち。
今回のような機会は、いろいろ考えるきっかけになるので非常にありがたいです。
※写真は町内会対抗の運動会です。
私は今年も大縄跳びに出ました。
2009年10月07日
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日本損害保険協会で2002年から最近まで国際部長を務めていた
松下勝男さんの講演会に出席しました。
演題は「金融危機の教訓と国際監督規制」。損保総研の主催です。
G20財務大臣・中央銀行総裁会議やFSB(金融安定化委員会)、
IAISなど、最近の金融・保険分野の監督規制動向のほか、
金融機関への規制をめぐる海外メディアの論調の紹介や、
米国の規制改革動向など、盛り沢山でした。
松下さんいわく、
・議論されているカウンターシクリカル(景気連動性を抑制する)
な準備金は、損保の異常危険準備金に通じるものがある。
・オリジネーターが原資産のリスクの一部を保有すべきというが、
再保険の世界では当然の話。
など、リスクに対する保険業界の先進性(もしくは保守性)について
コメントされていたのが印象的でした。
もっとも、ここからは私の感覚なのですが、
確かに日本の損害保険会社は保険引受リスクに対しては
(過去に海外再保険の多額損失事件があったとはいえ)
基本的に保守的な姿勢だと思います。
ただ、保険引受リスクとその他のリスク(資産運用など)が
別々に管理されているというか、保険リスクに対する姿勢と
資産運用リスクに対する姿勢が同じ会社でも異なっているように
しばしば感じます。
だからこそ、保険引受リスクに対して非常に慎重な会社が
多額の運用・保証に関する損失を計上したりするのかもしれません。
※写真はセンター南駅です。駅前の広場で野外コンサートをやってました。
植村信保(Uemura Nobuyasu)。
保険アナリストとして、主に生命保険会社や損害保険会社の経営分析を行っています。
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