植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2017年06月03日

保険自由化20年

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日本保険学会の関東部会がミニ・シンポジウム
「保険自由化20年」を開催しました。
当日のレジュメはこちらでご覧になれます。
関東部会のサイトへ

確か「自由化後10年」という企画もあったはず、
と『保険学雑誌』のバックナンバーを調べると、
2008年10月の大会で「自由化後10年の検証」
というシンポジウムが開かれていました。

司会が東大(当時)の山下先生、シンポジストが
慶大の堀田先生、一橋大(当時)の米山先生、
弁護士の上柳先生という豪華メンバーでしたが、
実は私も登壇していたことが判明。
恥ずかしながらミニ・シンポジウムの席では
すっかり失念していました。
保険学雑誌第604号

当時はリーマンショック後の金融危機の最中で、
同じ10月にAIGが日本の生保事業からの撤退を
発表したり、大和生命が経営破綻したりと、
連日対応に追われていたのでしょう(言い訳)。


自由化10年では、経済・商学系の研究者と
実務法律家、アナリストという顔ぶれでしたが、
今回の「20年」は3名とも保険業界の方々でした。

内容は当日のレジュメをご覧いただくとして、
明治安田生命の上原さんが自由化後の20年を
前半と後半に分けていたのが興味深かったです。
前半の10年は規制見直しが進んだものの、
後半の10年はグループ規制を除き、規制緩和は
あまり進展がなかったことを示していただきました。

あえてコメントすれば、2006年でビシッと切らず、
前半の規制見直しフェーズと、後半の見直しによる
影響フェーズを多少オーバーラップして捉えるのが
妥当なようにも思えますし、もし、20年間を通じて
規制緩和が進まなかった事項があるとしたら、
合わせて示していただけるとありがたいでしょうね。


今回のミニ・シンポジウムを業界人から学界への
情報提供ととらえると、そもそも自由化の目的は
何であり、それが20年でどの程度達成できたのか、
あるいは、副作用や意図せざる状況を招いたのか、
といった視点のお話しも伺いたかったです
(そのような質問はありました)。

あと、自由化による競争促進とは、保険会社が
以前よりリスクテイクできる状況になることなので、
監督当局としては、財務・業務の健全性確保と
セーフティネット(広義)の整備が必須となります。

業務の健全性と各種のセーフティネットの整備は
それなりに進む一方、財務の健全性については
どうでしょうか。

せっかく2007年にソルベンシー規制の見直しを
当時の検討チームが提言したにもかかわらず、
10年たっても未だに見直しが道半ばなのですが、
そのような視点があってもよかったように思います
(ERMに関する言及は栗山さんからありましたね)。

とはいえ、いろいろ考えるきっかけををいただいた
という意味で、大変有益なシンポジウムでした。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※大倉山公園の近くにある大乗寺の境内には
 なぜか相鉄線の電車が飾ってあります。

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2017年04月15日

InsurTechのイベント

 

4/10(月)の「【緊急開催】 InsurTech Meetup」
というイベントに出席したところ、日本の現状は
「まだスタートラインにも立っていない」という、
かなりお寒い状況にあるとのことでした。

イベントは、弁護士の増島雅和さんの講演と、
原健一郎さん(DCM Ventures Investment)
佐俣アンリさん(ANRI GeneralPartner)、そして
増島さんによるパネルディスカッションがあり、
最後にネットワーキング(懇親会)というもの。

増島さんの講演も、パネルディスカッションも
非常に興味深い内容でした。

例えば増島さんによると、しばしば耳にする
次のような話は「間違った理解」だそうです。

・保険の規制は厳しく、従前の業界慣行を
 踏まえると、日本には海外のInsurTechの
 ビジネスモデルは入ってこれない。

⇒ 規制や業界慣行はInsurTechの流れを
  止めることができない。

・日本企業もテレマティクス保険やウエアラブル
 端末を用いた医療保険の開発に取り組んで
 いるからInsurTechに遅れていない。

⇒ InsurTechを進めるにはオープンイノベー
  ションが不可欠。

・海外のInsurTechサービスも大した規模ではなく
 InsurTechはニッチサービスに過ぎない。

⇒ 現在のInsurTechは、第四次産業革命による
  保険の革新に突入する準備フェーズ。

資料には「なぜ間違っているのか」という説明も
ありますので、こちらのサイトをご覧ください
(ご本人に確認済です)。

特に2つめの指摘は、目からウロコというか、
私見ですが、日本でInsurTechが遅れている
という最大の理由なのかもしれません。

増島さんは資料のなかで、

・ディスラプティブ(破壊的)イノベーションは
 狙ってできるものではなく、試行錯誤の中から
 しか生まれない

・イノベーションの成功確率を高めるには、
 最小コストでうまくいかない例を可能な限り
 多く試すこと

と述べているのですが、他方で日本企業には
「失敗を許さない文化」「大きな経営判断ミスより
粒々の損失を責められる」などが目立ちます。

だからこそスタートアップとの協業ということかと
思いますが、せっかく協業しても、この文化の
違いをちゃんと理解したうえで進めていかないと、
イノベーションは生まれないのでしょう。

InsurTechというと、AIやビッグデータの活用など
テクノロジーの進化に注目が集まっています。
でも、本質はそこではないのですね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※左は中目黒駅のホームから撮った写真。
 右は浜離宮の菜の花です。

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2016年09月10日

建設的な対話

 

日本価値創造ERM学会のシンポジウムで、
オムロンのIR担当役員である安藤聡さんと
京都大学・川北英隆教授の対談を聴いてきました。

オムロンはIR優良企業として知られています。
対談といっても、専ら川北さんが安藤さんに
問いかけるスタイルでしたが、安藤さんのお話は
なかなか刺激的なものでした。

投資家には日本版スチュワードシップ・コードが、
上場企業にはコーポレートガバナンスコードが
それぞれ入り、企業と投資家の「建設的な対話」が
期待されています。

しかし、安藤さんによると、長期視点を標榜する
投資家であっても、対話を通じて有益と感じるのは
わずか1割程度とのことでした。

なかには、「会社がスチュワードシップ・コードを
採択したので、対話をしなければならない」から
対話を希望する不勉強なアナリストもいるとのこと。

セルサイドのアナリストへの目線も厳しく、
レポートがショートターミズム(短期志向)のもの
ばかりで、本源的価値を見ようとするアナリストは
ごくわずかという話でした。

もっとも安藤さんは、建設的な対話のためには
企業による情報開示が必要とも話していました。

同じ趣旨のコメントを、最近読んだ、
「点検 ガバナンス大改革」(格付投資情報センター編)
でも見つけました。

「2つのコードが機能し始めた状況のなかで、
 筆者は『投資家の行動は確実に変わりつつ
 ある』と実感しているが、一方で劇的に変化
 したとはいえないことも事実である」

「建設的な対話やその先にあるエンゲージメントを
 行うためには、まず企業がESG(環境、社会、
 ガバナンス)を含めた、さまざまな経営情報を
 自発的に開示することが必要条件だからである」

 ※いずれも同書から引用

もちろん、機関投資家が長期視点で分析・評価し、
企業価値向上のために有益な提案を行うことを
求められているとはいえ、それは十分条件であり、
まずは企業による情報開示が必要ということです。

コードを制定し、社外取締役を入れたからといって
それだけで攻めのガバナンスが実現するのではなく、
むしろここからがスタートなのでしょう。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は山形新幹線「つばさ」です。
 いまはこのようなカラーなのですね。

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2015年12月12日

「生保の将来」

 

先日、ライフネット生命の出口治明会長の
お話を伺う機会がありました
(聞き手は保険業界関係者です)。

当日の演題は「生保の将来」でしたが、
「数字・ファクト・ロジックのみで考える」ということで、
人口動態や世帯当り所得、OECD加盟国における
日本の位置付けといった各種のデータをもとにした
スピーチは非常にわかりやすく、参考になりました。

「社会構造が変わったのに、何もしていない」
「ということは、何かやれば伸びしろは大きい」

結論としては、前者だけではなく、後者を考えれば、
日本の将来は明るいという話でした。


タイトル「生保の将来」に直接関係した話としては、
出口さんが次の2つを挙げているのに注目しました。

・死亡保険から就業不能保険に(主役の交代)

・終身介護保険(年金)への挑戦

日本ではすでに世帯の主流が夫婦と子ども世帯ではなく、
大人一人家族になっているなかで、働けなくなった時の
保障はもっと注目されてもいいでしょうね。

終身年金に関しては、保険会社がニーズに応えるには
トンチン性、すなわち、長生きした人がより多くの給付を
受けられる仕組みを使うしかないとのご主張でしたが、
確かにタブー視せず、考えるべきテーマだと思いました。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※左が丸ビル、右が帝国ホテルです。


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2015年11月07日

OLIS東京セミナー

 

昨年に続き、OLIS(アジア生命保険振興センター)
主催のセミナーで講師を務めました。

参加者はアジア諸国からの生命保険関係者で、
人数の多い順に台湾、中国、韓国、インドネシア、
フィリピン、タイ、ウズベキスタン、ベトナム、
カンボジア、モンゴル、パキスタンなどなど。

全体のテーマが「リスクマネジメント」だったので、
保険会社のリスク管理部門のかた、あるいは、
保険監督を担当しているかたが多かったようです。

私は「保険会社の破綻リスクと破綻処理」をテーマに
2時間ほどスピーチしたのですが、うれしいことに
質問がたくさん出たので、時間をぎりぎりまで延長して
応答しました。

日本の中堅生保の破綻事例や破綻処理、さらには
最近の日本の保険行政や保険業界の取り組みの
話を聞いて、参加者からどんな質問があったのか、
なかなか興味深かったのでご紹介しましょう。


例えば、次のような質問がありました。

・破綻後に保険会社の商品戦略がどう変化したか

・事例によって責任準備金の削減幅が違うのはなぜか

・更生手続きのスポンサーは金融庁が指名するのか

・保険とは違い、銀行の預金者は全額保護されたそうだが、
 保険でもそのような動きはないのか

このような質問が出る背景には、各国で経営危機に陥る
保険会社がそこそこ現れており、他人事ではなく、
自らの問題として受け止めているからなのでしょう。

「一連の破綻が起きるまで、保険行政は何を見ていたのか」
という、何だか責められているような質問もありました。


また、最近の話としては、

・今の低金利下で、どのような商品が売れているか

・ORSAレポートに対する当局の詳細な指示があるのか

・保険会社は銀行にどの程度手数料を支払っているか

といった具体的な質問が目立ちました。


他方、日本の保険会社による海外進出に関する質問は
考えてみれば全くありませんでした。
参加者にとっては身近な話ではないのでしょう。

そういえば、「生保危機後に保険会社がどう変わったか」
という質問はありましたが、ソルベンシー規制の見直しなど
保険行政がどう変わったかという質問もなかったですね。


生保市場は地域により特性がかなり異なるとはいえ、
低金利の影響や国際規制対応、バンカシュランスなど、
共通する話も多いと改めて感じました。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※会場は等々力渓谷の近くにあります。
 もう少ししたら紅葉がきれいでしょうね。

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2015年10月26日

保険学会の記念大会

 

この週末は慶應義塾大学(三田キャンパス)で開催された
日本保険学会の創立75周年記念大会に参加しました。
学会サイトでレジュメ等を見ることができます)

大会2日目は「グローバリゼーション」がテーマで、
基調講演「金融グローバル化の30年:回顧と展望」
(慶大・池尾和人教授)に続き、シンポジウムは
「グローバリゼーションと保険業」でした。

池尾先生のお話はいつもながら明快でした。
1985年から2015年までの30年間を10年ずつ区切り、
「In-Out」「Out-In」「金融システム改革」について
整理するというもので、勉強になりました。

シンポジウムでは経済・経営・商学系の先生と
法律系の先生、大手生損保から計5人がそれぞれ
報告を行った後、パネルディスカッションという流れ。
全般的に、保険会社の海外事業展開を意識した
話が多かったように思います。

最後に20分ほど質疑応答の時間があったのですが
残念ながら時間切れとなってしまったので、
備忘録として(?)記しておきましょう^^

1.保険会社のグローバル展開に関する話が多かったが、
  「グローバル化と日本の保険業」ということなので、
  様々な分野でグローバル化が進むなかで、日本の
  保険業がどのような影響を受け、どう進むべきなのか、
  お考えをうかがいたい。

⇒ 経済・経営・商学系の先生がたへの質問です。
  各方面でグローバル化が進むなかで、保険会社自身が
  グローバル化するのも一つの方向性ではありますが、
  それだけではないと思うのですよね。

2.(岡田先生の報告について)最後のスライドに、
  「特に変革期においては、先行するとされる他業からの
  影響を強く受けてきた」とあるが、現在が変革期であれば
  どの業態の影響を強く受けているとお考えなのか。

⇒ 結論のこの部分が時間切れで飛んでしまったので、
  伺いたいと思いました。

3.(第一生命・野口さんの報告について)
  子会社業務範囲規制が、多少緩和されたとはいえ、
  海外M&Aの制約要因となっていることは理解するが、
  生保業界のグローバル化にとって、この規制が
  経営上最も重要な課題なのか。

⇒ 「グローバル化への対応と課題」というタイトルですが、
  課題としてこの規制だけを紹介されていました。
  最近の動きを見ると、この規制があっても保険会社が
  海外M&Aを次々に実行しているのですが...

      
※いつものように個人的なコメントということでお願いします。


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2015年05月27日

金融機関のガバナンス改革

 

保険募集規制改革の政府令・監督指針に関する
パブリックコメントの結果が公表されましたね。

「72の個人及び団体より延べ649件のコメント」だそうで、
コメントの概要及びそれに対する金融庁の考え方を
取りまとめた「別紙1」はなんと245ページもあります。
担当のかたはさぞ大変だったことでしょう。


パブコメの結果は後でゆっくり読むことにして、
保険会社のガバナンスに関する資料を見つけたので
ご紹介します。日銀のサイトへ

4月に開かれた金融高度化センター主催のセミナーでは、
主に銀行のガバナンスをテーマにしたいくつかの講演や
パネルディスカッションが行われたようです。

最近になって「パネルディスカッションの模様」が公表され、
金融庁の遠藤検査局長のコメントが載っていました。

そこでは取締役会に関する分析結果が紹介されていて、
保険会社に関しては、

「1年前は、正直なところ、取締役会は『厳粛な会議の場』
 ということで、あまり活発な議論が行われていない社も
 ありました。フォローアップを続けてきましたが、最近では、
 取締役会の運営はドラスティックに変わったという印象を
 受けています」

なのだそうです。

「3メガバンク、大手生損保、そして、いくつかの地域銀行と
 ガバナンス態勢に関する議論を行いました。具体的には、
 取締役会、監査役会、内部監査、外部監査に関する現状と
 課題について議論をさせていただき、比較分析を行いました」

とあるので、ここでの「保険会社」とは大手生損保なのでしょう。

おそらく昨年に続き6月頃に公表されるであろうレポートで、
ガバナンスに関する分析結果が示されるのではないでしょうか。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は人気の武蔵小杉です。

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2015年05月17日

金融学会の春季大会に参加

 

この週末は日本金融学会の春季大会に参加し、
大塚忠義先生(早大)の報告の討論者を務めました。
生保の健全性規制のあり方をテーマにしたもので、
私にとっても規制を考えるいい機会になりました。
日本金融学会のサイトへ

同じ時間に「中央銀行パネル」があり、原田泰さんや
河野龍太郎さん、早川英男さんが登場するとあって、
会場が変更になるほどの人気だったようです。

特別講演では金融庁の細溝清史長官が登場。
「最近の金融行政について」という演題で、
金融庁の主な取り組みの紹介がありました。

近年の国際的な金融規制改革(主に銀行)について、
細溝長官はかつての日本の銀行危機の経験から、
「英米独はもっと冷静になってほしい」
と強調していたのが私には印象的でした
(講演レジュメが学会サイトに公表される予定とのことです)。

その日本の銀行ですが、メガバンクの決算が出そろいました。
3メガともに銀行単体(あるいは銀行+信託銀行)では
国内業務粗利益のうち、資金利益が減少しています。

国際事業のウエートが高いMUFGの場合、
業務粗利益の内外逆転も近いのではないでしょうか。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は会場の東京経済大学です。

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2014年11月08日

健康寿命

 

日本アクチュアリー会の年次大会に参加しました。

連日のMCでヘロヘロだった昨年の大会とは違い、
今年はアドバイザーを務めるERM委員会の企画
(そうだったのか!ORSA)をほんの少しサポートしただけで、
あとは純粋に参加者として楽しむことができると思いきや、
かつての部下が登場すると、なぜかこちらが緊張しました^^

「そうだったのか!ORSA」の会場は立ち見が出るほどで、
ORSAへの関心の強さがうかがえました。
司会とスピーカーを務めた皆さん、お疲れさまでした。

「ORSA報告書は当局にとって有益だが、標準化、画一化を
 図ろうという意図はなく、あくまで各社各様の取り組み」

という主旨のコメントを当事者から聞くことができたのは
大きな収穫だったと思います。


年次大会は他にも論文発表やパネルディスカッションなど
盛りだくさんでして、知見を深めることができます。

そのなかで、タイトルに挙げた「健康寿命」に関する発表は、
私には新鮮でした。

発表内容をここで紹介することはできませんが、
厚生労働省は健康寿命を「日常生活に制限のない期間」
と定義し、数値を公表しているのですね。

国民生活基礎調査(3年ごとに実施)と生命表をもとに、
健康寿命を算出するのだそうで、直近データ(2013年)を
先月公表しています。

これによると、2013年の健康寿命は次の通りです。

 男性 71.19年(平均寿命より 9.02年短い)
 女性 74.21年(平均寿命より12.40年短い)

平均寿命と健康寿命の差が10年前後というのは、
長いのか短いのか。しかも、女性の不健康期間が
男性よりも長いのはどうしてなのでしょうか。

厚労省は健康寿命を2001年データから公表しています。
男女とも年々伸びているとはいえ、平均寿命の伸びに
やや追いついていない結果となっています。

 平均寿命の変化 男性+2.14年、女性+1.68年
 健康寿命の変化 男性+1.79年、女性+1.56年
 (いずれも2001年から2013年の変化)

これも解釈がなかなか難しいです。
平均寿命が延びる要因と、健康寿命が延びる要因は、
必ずしも同じではないはずですよね。

健康寿命の場合、延命可能な医療技術の進歩よりも、
若いうちからの生活習慣などが影響してくるのでは
ないでしょうか。まだわからないことが多いようですが。

ということで、今回は「健康寿命という指標がある」という
ご紹介でした。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は神楽坂です。先週、お祭りをやっていました。

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2014年11月02日

共済の研究会でスピーチ

 

黒田日銀の追加緩和には驚きました。
長期国債の保有残高を約30兆円追加し、
買入れの平均残存期間を最大3年程度延長するとか。
ETFとJ-REITの買入れも3倍増だそうです。

しかし、期待に働きかけるこの政策。
効きが悪くなったら、またバズーカ砲となるはず。
どうも不安が先に立ってしまいます。


ところで、先月京都である共済の研究会に出席し、
スピーチをする機会がありました。
参加者の多くは共済事業に日々関わる皆さんです。

私の役目は保険業界をめぐる最近の動向について
解説することでした。

現在進んでいる保険募集ルールの再構築や
金融庁の金融モニタリング基本方針に見られる
顧客と金融機関の好循環を目指す取り組みなどは、
共済事業にも決して無縁ではないでしょう。

同時に、研究会に参加して、共済事業への
プレッシャーの強まりも感じました。

技術面では共済も保険も同じです。
統計データから料率を決め、責任準備金を積み、
保障を全うするには、リスク管理が極めて重要です。
一部の共済団体では、統合的リスク管理(ERM)の
高度化を進めていると聞きます。

県民共済などが提供する「一律掛金・一律保障」は、
リスクの異なる若年層と壮年層が同じ掛金なので、
共済の相互扶助を体現しているように見えます。

ただ、考えてみれば、保険会社も団体保険で
同じような保障を提供しています。


それでは両者の違いがどこにあるかといえば、
組織のあり方なのだと思います。

保険会社は保障を提供するために加入者を集め、
安定した保障を提供できるようにするのであって、
加入者はあくまでサービスの利用者です。

他方、共済を提供する協同組合は、組合員のために
存在する組織です。組合員のためにサービスを提供し、
組合は組合員の自治で運営されます。

大規模化した共済の加入者に自治意識があるのか、
といった疑問はありますし、例えばJA共済であれば、
構成員が「専業農家」「土地持ち非農家」「准組合員」、
全労済であれば「労組組合員」「こくみん共済の加入者」
など、属性の大きく異なる組合員を抱えています。

それでも共済が保険とは違うと説明するには、
「加入者」ではなく「組合員」という意識を持ってもらう
取り組みを継続的に行っていくしかないでしょう。

もっとも、共済事業者の監督は保険行政(金融庁)に
一本化したほうがいいのではないかと思っています。
そうすれば、「監督が緩い」といった批判はなくなりますね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は宇治の平等院です。
 思わず10円玉を取り出し、見比べてしまいました。

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