
2010年03月01日

2/28(日)の日経17面は共済の特集でした。
制度共済が中高年世代の保険見直しの切り札になる可能性がある、
という主旨の記事です。
記事の最後に私のコメントも載っています。
全労済、全国生協連、コープ共済連の大手3共済の経営に関して、
「資産の大半が現預金や公社債などで、金融危機でも痛手を受けていない」
というものです。
ただ、共済の経営内容に関する情報は非常に少ないです。
ディスクロージャーは徐々に進んでいるものの、
一般の人がみても経営内容をつかむのは難しいでしょう。
格付けを取得し、公表しているところもありません。
記事にはありませんが、3共済への一番の誤解は、
「こくみん共済や県民共済は国や県が運営している」というものでしょう。
名前や非営利性から公的なものと勘違いしてしまうのですね。
それから、万一経営が厳しくなった場合には、
更新時の掛け金を引き上げる、あるいは、保障を縮小することはありえます
(組合員が同意すれば)。
共済に入るということは、協同組合に参加するということなので、
むしろそれが自然なのかもしれません。
2009年08月09日
先月のことですが、保険学会の先生たちの会合で
2008年度の生保決算について話をする機会がありました。
例年は業界関係者が解説していたようですが、
今年は「中立的なアナリストの立場から話してほしい」と
私にお鉢が回ってきました。
同じ生保決算の話でも、相手によって関心事項や知識の水準が違うので、
できるだけ中身を変えてスピーチするようにしています。
ただ、一口に大学の先生といっても専門はバラバラでしょうし、
今回は目線をどこに合わせればいいか悩みました。
幸い大阪でも東京でもそこそこ質問があったので、
とりあえずホッとしました。
主な質問は「株式保有をどう考えるか」「相互会社と株式会社」
「生保は支払い余力をどうやって回復するのか」などなど。
覚悟していた(?)「答えに困る」質問もほとんどなく、
熱心に聞いていただけたように感じました。
反対に東京では私から、
「相互会社と株式会社の優劣にしても、健全性規制にしても
米国のように実証分析などを通じてアカデミズムが果たせる役割は
もっと多いのではないか」
といった話もさせていただきました。
また、大阪では若手の先生がたと二次会、三次会とお付き合いいただき、
交流を深めることもできました。
保険業界と同様に、学会も岐路に立っているのは間違いなさそうです。
このあたりの話は別の機会にでも。
なお、スピーチの内容と全く同じではありませんが、
8/17の週刊金融財政事情に08年度生保決算の分析記事が
掲載される予定です。機会があればご覧いただければと思います。
※写真は名古屋の味噌煮込みうどんです。
2009年07月31日

昨日(7/29)、損保ジャパンと日本興亜損保が「経営統合に向けての契約書」
を締結し、経営統合計画の概要を発表しました。
この件で、30日の日経に私のコメントが載っています。
「損保ジャパンの株主から統合を評価されるには、新会社が
どう将来利益を生み出していくかの明確な事業計画が必要」
というものです。
コメントの内容はおかしくないと思うのですが、そもそも、
株主でも株式アナリストでもない私がコメントするのは変な話です。
ただ、大株主はこのタイミングでコメントするわけにはいかないでしょうし、
株式アナリストはレポートを出す前に見解を話せないのでしょう。
そのような背景があるということでご理解下さい。
7/27号の日経ビジネス「統合比率は1対0.9 !?」という記事にも
コメントが出ています。同じような事情があるのだと思います。
ちなみにコメントは、
「サブプライムローン関連の証券化商品を含む金融商品の保証をする
金融保証保険で2009年3月期に1479億円もの損失を出した」
というものです。ただ、そのあとに
「このため、統合比率は日本興亜側に有利になる可能性もある」
と続いています。私自身は統合比率についてコメントしていません。
このあたりは対応がなかなか難しいところです。
発表当日は記者会見のほか、機関投資家・アナリスト向けカンファレンス
(≒電話&ネット会議)が開催されました。
私は投資家向けカンファレンスにアクセスしましたが、統合比率に関しては、
「確かに1株当たり純資産のような指標で見ると差があるかもしれないが、
統合によるシナジーが見込めるので、損保ジャパンの株主にも
十分メリットがあるはず」
というコメント(質問に対する回答)がありました。
株主の理解を得られるかどうか、年末の臨時株主総会に注目です。
機関投資家・アナリスト向けネットカンファレンスへ
他方、記者会見では「統合効果は消費者にも還元されるのか」といった
カンファレンスとはかなり違うやり取りがなされたようです。
MSN産経ニュース・社長会見ライブへ
※いつものことですが、写真と本文は関係ありません。念のため。
2009年07月05日

7/5(日)の日経「SUNDAY NIKKEI」に変額年金の記事が載りました。
「最低保証が保険会社の重荷となり、新規販売停止が相次いでいる」
というものです。
私のコメントもありまして、
「最低保証があれば、元本割れのリスクを負うのは保険を買った人ではなく
保険会社です」
というものでした。
記事の中には、
・株が大幅に下がると商品の採算性があわなくなる
・最低保証の仕組みは何らかの形で見直されるだろう
といった記述がありました。
誤解があるといけないので念のため補足しますと、
多くの保険会社では元本割れのリスクに備えて再保険に加入していますが、
損保の再保険のように1年更新ではなく、最低保証の期間に合わせて
長期の再保険に入るのが一般的なようです。
ですから、株価が下がっても、すでに販売した変額年金については
採算があわなくなったり、最低保証が見直されたりすることはありません
(ただし、保険会社が破綻した場合には見直される可能性が高いです)。
採算が合わなくなったり、最低保証が見直されたりするのは
あくまでこれから販売する変額年金のことですので、お間違いなく。
※近所の熊野神社で七夕祭がありました。
2009年06月21日

18日と19日の日経に「激震 変額年金」という記事が載りました。
AIGの信用不安、ハートフォード生命の主力商品の運用停止、
さらに今年になってから販売休止が相次いでいるわけですが、
記事ではこのような変額年金市場の異変をうまく整理しています。
私のコメントもあります。
「今回の教訓を機に、関係を正常化すべきだ」というものですが、
これだけでは何だかわからないので、少しだけ解説しますと、
・そもそも金利水準が低いなかで、「最低保証」「値上がり期待」
「高い代理店手数料」の3つを満たすのは難しい。
・ただ、銀行の販売力を前に新規参入する保険会社が相次ぎ、
銀行主導のマーケットになっていた。最低保証が日々上昇したり、
リスク資産のウエートが高かったりする商品も見られるようになった。
・ところが、金融市場の混乱で、もし保険会社が破綻したり
撤退したりした場合には、銀行も無傷ではないことがわかった。
手数料ビジネスなので財務的なダメージはないが、
顧客の信頼を失い、顧客基盤を棄損するおそれがあるためだ。
・もっとも、リテールビジネスを強化したい銀行にとって、
保険・年金商品は不可欠な存在だ。
今後は単に「いい商品」をとっかえひっかえ採用するのではなく、
銀行と保険会社がパートナーとして長期的な関係を築いていく必要がある。
という話をしました。
とはいえ、販売を休止したり、抑制したりという動きは続きそうですから、
今年度の変額年金の販売はかなり落ち込むのではないでしょうか。
※写真は娘からの「父の日プレゼント」です^^
2009年05月14日

今月に入り、外部でスピーチをする機会が何回かありました。
このうち二つはいずれも「金融危機と今後の保険業界」というテーマ。
でも、話の内容はかなり違ったものとなりました。
一つは損害保険代理店の同業者組合(=東京代協です)でした。
出席者の大半が保険代理店だったので、AIGショックや
損保再々編、保険流通の変化を中心にスピーチしました。
人数がそこそこ多かったにもかかわらず、
質問が途切れなかったうえ、懇親会でもたくさん質問をいただきました
(再編関連、通販、時価会計、金融危機と格付け、などなど)。
温度差はあるのでしょうけれど、熱心なかたが多かったという印象です。
もう一つは某大手証券主催の投資家向け保険セミナーでした。
生損保の経営分析のほか、保険会社の「経営の質」、
ソルベンシー規制と保険経営への影響、といった話をしました。
この「投資家向け」セミナーはクレジット投資の機関投資家が対象でした。
ところが、メインテーマである大手・中堅生保の経営分析に加え、
意外にも(?)変額年金への関心が高かったようです。
投資対象ではなさそうなのですが、理由はよくわかりません。
原稿執筆やテレビ出演と違い、スピーチはお客さんの反応を
直接感じることができるので、ありがたいです。
失敗して凹むこともありますが...
2009年04月29日

4/26(日)の日経ヴェリタスにコメントが載りました。
株式保有にジレンマという記事の中で、
「(保険契約者に保険金を確実に支払うという視点から、)
経営体力以上に価格変動リスクが高い株式を保有するのは疑問」
というものです。
当たり前ではないかというお叱りを受けそうですが、
次のようなコメントを要約したものとしてご覧下さい。
・生保は予定利率を保証しており、このような固定金利の負債には
固定金利の資産を持つのが基本。株式では負債の金利リスクに対応できない。
・生保は資産と負債の金利変動リスクと株式保有リスクを抱えている。
経営体力とのバランスを考えると、二つのリスクを今のまま抱え続けるのは困難。
・自己資本運用のうち一部(全部ではない)を株式で運用するのは理解できる。
記事の言う「ジレンマ」とは、株式を持つと価格下落リスクがある一方、
持たなければ運用競争で負ける恐れがあるというもの。
私は、運用競争よりも健全性の確保が先だと思うのですが...
2009年03月14日

昨日(3/13)に経営統合に向けた基本合意が公表されました。
「両社の存続を前提」「両社対等の精神」という言葉が並び、
「共同CEO体制」「社内取締役は両社同数」などがうたわれています。
統合比率が決まっていないので何とも言えませんが、
大手と準大手の経営統合とは思えない書きぶりでした。
今回の件に関して、いくつかコメントが載りましたのでご紹介します。
日経(13日)では、3メガ損保を比べた記事のなかで、
なぜか三井住友海上についてのコメントが取り上げられました。
「有力企業の取引が多いのが特長」というものです。
もちろん、他にも「東京海上は(他の損保に比べ)生保事業が強い」
とか、「損J&NKは地銀に親密先が多い」とか話しており、
記事にも反映されているようです。
読売では、合併ではなく持株会社の傘下で2社が併存する
今回の統合スキームについてのコメントです。
「現体制を維持したままの統合では、合併に比べコスト削減にも制約がある」
どのような取り組みが行われるのか注目したいです。
朝日はネット版だけコメントが載ったようです。
業界再編が消費者に与える影響について、一般論として、
「寡占が進むと、消費者の選択肢が狭まるという弊害もある」
とコメントしています。
※写真は日産スタジアムです。「ちびっこ駅伝」の応援に行きました。
2009年03月06日

3/5(木)日経にコメントが出ました。
「直販保険」市場が急拡大しているという記事の中で、
「数年後には同比率が二ケタ台に乗るだろう」というものです。
同比率とは、個人向け自動車保険に占める直販比率で、
08年度に8%を超える見通しとのこと。
記事では、大手参入や景気悪化に伴う消費者の節約志向
が挙げられていますが、加えて不払い問題などの影響で、
商品のシンプル化が進んでいくことも通販には追い風でしょう。
ただ、通販会社といっても経営戦略はかなり異なるようですね。
ダイレクトマーケティングの自動車保険で伸びている会社は
ごく一部なのではないでしょうか。
2009年03月03日

この件で数社から取材を受けました。
このうち表に出たのは次の二つです。
3日の産経新聞にアリコの売却について、
「じっくりと交渉することになるのでは」との見方が多い
というコメントが出ました。
投げ売りするよりいいという米政府の判断ですが、
会社価値をどう維持するかが課題となります。
もう一つはテレビです。
夜11時からのテレビ東京・ワールドビジネスサテライトで
アリコの契約者がどうなるかについてのコメントをしました。
記憶が定かではありませんが、
「破綻ではないので保険金が削減されたりはしない」
「政府がずっと経営するのではなく、将来は株主が変わる」
などとコメントしたように思います。
NY連銀からの借入をアリコとAIAの優先株で返済する
というスキームには驚きですが、同時に今回の支援策では、
損保事業についても手をつけることになりました。
契約者にとって破綻リスクは小さくなりましたが、
グループは解体に向かっていると言えそうです。
※写真は鶴見川河口近くの「貝殻浜」です。
植村信保(Uemura Nobuyasu)。
保険アナリストとして、主に生命保険会社や損害保険会社の経営分析を行っています。
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