植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2011年08月06日

ライフネット生命の情報開示



S&Pが米国債の格付けをAAAから1段階引き下げました。
米国債は日本国債と違い、自国外の保有者がたくさんいます。
ただ、日本における日本国債のように、グローバル経済のなかで
米国債に代わるものはありません。
それほどの混乱はないと思うのですが、どうでしょうか。


さて、7月30日に続き、ディスクロージャー誌の話です。

ある会合でいただいた「ライフネット生命の現状2011」を
アナリスト目線で(?)見てみました。
ライフネット生命のHP

2008年11月に開始した「付加保険料の全面開示」は、
ディスクロ誌にも掲載されています
(詳細はHPとなっています)。

任意開示の三利源損益(危険差益、費差益、利差益)は
利源分析の解説付きで推移が示されていますし、
ソルベンシー・マージン比率の説明もわかりやすく
工夫されています。

驚いたことにエンベディッド・バリュー(EV)の開示もありました。
しかもEEV(ヨーロピアン・エンベディッド・バリュー)です。
開業後3年ということを踏まえ、事業費の前提を工夫した
「均衡事業費ベース」での開示もありました。
新しい会社なので発生率や事業費の前提が安定していない
のではないかと思いますが、意欲的な取り組みだと思います。


あえてコメントするとすれば、開業後3年という新しい会社で、
かつ、急成長している(=コスト負担がかさむ)ところなので、
資金繰りの説明があるとありがたいですね。

例えば、2010年度の保険料収入18.2億円に対し、
事業費は27.2億円です。
新設会社は保険金等の支払いは少ないものの、
一般にコスト負担がかさみます。

韓国では1990年代後半に中小生保が相次いで破綻しましたが、
大半は歴史の浅い会社で、市場シェアを確保するため
コストをかけすぎたのが破綻の遠因になった模様です。

ライフネット生命のキャッシュ・フロー計算書を見れば、
有価証券の売却によるキャッシュインフローが
ネットで11.7億円あるので、概ねわかるのですが、
何かコメントがあるとよかったかもしれませんね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※月島で「もんじゃの会」がありました。
  写真は「まぐろもんじゃ」です。


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コメント一覧

坂本嘉輝  (2011年08月09日 11:17:05)

植村さん、

ライフネットが付加保険料を開示したのは保険料を純保険料と付加保険料に分けて開示したんですが、決算の開示では利源分析に使う予定事業費枠を同じ付加保険料という名前で開示しています。
まるで違うものですが、それが違うものであることを何も説明していないで両方同じ名前で開示しているのが問題です。

植村  (2011年08月11日 09:25:01)

コメントありがとうございます。
積極的に情報開示を進めるとそのような話が生じてくるのですね。

ただ、確かに1契約ごとの付加保険料と、当期の保険料収入のうち付加保険料部分は別のものであり、P21とP28 の関係がわかればいいとは思うのですが、これは見過ごせないほどの問題なのかどうかですね。
リンゴは1つでも1切れでもリンゴですよね。かなり乱暴なたとえであることは承知していますが...

ちなみに個人的には純保険料イコール原価とは考えていませんので、念のため。

坂本嘉輝  (2011年08月11日 13:05:20)

植村さん、

私の言っているのは、いわゆる蔵銀枠と利源枠のことです。

私の概算では、蔵銀枠は4億円くらい、利源枠は10億円くらいになります。

この違いが大差ない、ということではないと思うのですがいかがでしょうか。

植村  (2011年08月11日 13:34:15)

たぶん他の読者のかたには何のことかわからないと思うので、もしよろしければ解説していただけませんでしょうか。m(_ _)m

ちなみにライフネット生命の利源分析は5年チルメル式だそうです。保険料の内訳は純保険料式という考え方になるのでしょうか?

坂本嘉輝  (2011年08月11日 19:05:13)

植村さんの言っている、ディスクロージャー資料の28ページに書いてあるのは、毎年払い込む保険料のうち大体25%くらいの一定の比率を付加保険料とするやり方ですが、決算の利源分析では別の付加保険料を使っています。

契約の初年度には保険料のほとんどを付加保険料として、その残りの部分を純保険料とします。その分2年目から5年目では付加保険料を少なめにして、純保険料を多めにします。6年目からは付加保険料は28ページに書いてあるような比率にします。これが、21ページの中ほど小さい字で(注)として5年チルメル式と書いてある部分の意味するところです。

このように1年目の純保険料を少なくするのでその分責任準備金の積み立ても小さくなって、決算の赤字も小さくすることができます。

この、1年目から5年目までの部分について付加保険料をどのように計算するのかについては何の説明もありません。仕方がないので21ページの利源分析の図解から逆算してみると、ここの付加保険料は10億円くらいになります。保険料収入が18億円近くになるので純保険料の方は7億円くらい、付加保険料の割合は6~7割くらいになります。これは、保険料収入18億円には付加保険料がほとんどの1年目の保険料も、付加保険料が少なめの2年目以降の保険料も合算になっているので、それを全体ならして付加保険料が営業保険料の6~7割くらいになっている、ということで、1年目の保険料だけを見れば付加保険料の割合はもっと大きい、ということになります。

28ページに書いてある付加保険料の計算では、保険料収入18億円に対して付加保険料が4億円くらいになります。

同じディスクロージャー資料の中に、4億円の付加保険料と10億円の付加保険料が混在して、それがどちらも同じく付加保険料とだけ表示してあって、何の説明もない、というのは、情報開示ではなく、むしろその反対なんじゃないかな、と思います。

どうせ情報開示をするのであれば、21ページの付加保険料の計算方法についてもきちんと開示し、さらに利源分析の表もちゃんとそれぞれの項目の実際の金額を隠さないで表示してくれれば私がわざわざ概算の逆算をしなくてもいいので助かるんですが。

植村さん、この程度の解説で、いかがでしょうか。

植村  (2011年08月11日 23:32:36)

ありがとうございました。
何かの参考になるといいですね。

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