植村信保のブログ

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2009年05月21日

EVショック

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T&Dホールディングスの2009/3期決算発表を受けて
翌日の株価が急落しました。発表後2日間で15%超の下落です。

株式アナリストではないので断言はできませんが、
EV(エンベディッド・バリュー)が予想以上に減ってしまったことが
影響したのではないかと思います。

EVは株主から見た生命保険会社の価値を示すものです。
年度末の純資産に、保有契約が将来生み出す利益を加えたもので、
会計情報を補うものとして活用されています。

T&Dが発表した2009/3末のEVは8665億円と、
前期に比べ7551億円の減少となりました。
株価下落などにより純資産が5218億円減ったうえ、
金利低下などにより保有契約価値も2333億円減ったためです。

株価下落などによる影響はともかく、金利低下による影響が
これほど大きいとは意外でした。

長期の国債利回りは1年前に比べ、それほど下がっていません。
ところが、T&Dが計算で使っている金利スワップレートは
おそらく金融市場混乱の影響で国債利回りを大きく下回ってしまい、
結果的にEVを1000億円単位で押し下げてしまいました。

多くの会社が発表しているEV(トラディッショナルなEV=TEVと言います)
とは違い、T&DのEVは「EEV」といって、できるだけ恣意性を排除し、
市場整合的な評価となるように工夫されたものです。

それでも今回のように市場が異常な動きを示すと、
「市場整合的な」評価であるEEVにも影響してしまうわけですね。
難しいものです。

EVに関してはT&D以外でも、次のような不思議な?動きがあります。
今後解読していきたいと思います。

・新契約ANPが前期比18%増、新契約高も増えたにもかかわらず、
 EVの新契約価値は前年の37億円から2億円に減少
 (東京海上日動あんしん生命)

・資産運用以外の前提条件が変わった(詳細不明)ことにより、
 EVの保有契約価値が1904億円→1820億円と減少
 (損保ジャパンひまわり生命)

・新契約ANPでも新契約高でも、第一生命はソニー生命の数倍規模ですが、
 新契約EVはあまり変わりません。
 もちろんEVは単純比較できないのですが、これをどう解釈するべきか。

・T&Dフィナンシャル生命や東京海上日動フィナンシャル生命、
 第一フロンティア生命といった変額年金を主軸とする会社の
 新契約EVがマイナスとなっているのですが、どう見るべきか。


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| post at 23:30:30 | コメント(0)  | カテゴリー : 08. ディスクロージャー |
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