植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2013年10月27日

新しい金融検査・監督

 

金融庁検査が何かと話題になっていますが、
1週間前の週刊金融財政事情(2013.10.21)に
森信親検査局長のインタビュー記事が載っていました。

タイトルは「金融検査の見直しの真意」。
もちろん「金融モニタリング基本方針」に関する内容です。

森局長は金融検査見直しの方向性として、

1.個別金融機関の検査間隔ごとの定点観測から、
  常時対話をして金融機関の動向を「リアルタイム」で
  把握する方法へ

2.ミニマムスタンダードを満たしているかの検証に加え、
  「ベストプラクティス」を業界にフィードバックするなど、
  金融業全体のレベルアップという観点からのモニタリング

3.重要なテーマについて「業界横断」的に実態を分析・把握し、
  改善策を検討するという観点からのモニタリング

の3つを挙げています。

「リアルタイム」「ベストプラクティス」「業界横断」が
キーワードなのだそうです。

暴力団融資の問題で金融検査も批判にさらされていますが、
改革を進め、オン・オフ一体のモニタリングに期待したいです。


もっとも、きんざいの記事でのなかで、保険会社に関する部分は
限られていました(媒体が「きんざい」だからかもしれません)。

「保険会社のモニタリングも変わるのか」という問いに対し、

「業界共通の課題について横断的にみていくことになる」

とあるのですが、課題として挙げられた内容は、
生保が「少子高齢化に伴う市場の縮小にどう対応」
損保が「海外展開に伴う課題」という例示。

公表されている水平的レビューの検証項目には
2ページにわたり検証候補が挙げられているとはいえ、
もう少し具体的なコメントがあってもよさそうなものですね。

「保険でも同じようなモニタリングチームを編成していきたい」
すなわち、個社別業態別のモニタリングチームに加え、
「リスクカテゴリー別の専門チームを編成」という記述もありました。

銀行と保険会社では事業・リスク特性が違うので、
例えば同じ「市場リスク」でも、銀行の専門チームが
同じ目線で保険会社を見ることはできないと思います。

ですから、同じようなモニタリングチームを作るとなると、
業態別チームに加え、保険独自の専門チームが必要ですね。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※京都では紅葉が始まっていました。


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2013年10月14日

保険の国際規制

 

今月は保険代理店向けメールマガジン「inswatch」に
出稿する月でして、今回は10日の日経1面に載った
国際的な保険規制の流れについて書きました。
inswatchのHPへ

記事はinswatchでご覧いただくとして、
保険の国際規制の動きがわかりにくいのは、
2つの話が同時進行しているからだと思います。

銀行では、もともとバーゼル規制があるところに
金融危機が発生し、金融システムが大きく動揺
(米国や英国などでは公的資金が使われましたね)、
バーゼル規制を強めるとともに、金融システム上
重要な金融機関を対象に、追加的な規制ができました。

「大きすぎるから潰せない(=だから税金を使う)」から、
「大きくても税金を使わずに潰す」への転換です。
金融危機後に設立されたFSB(金融安定理事会)が
規制作りを進めています。

保険では、銀行のバーゼル委員会にあたる
IAIS(保険監督者国際機構)は存在するものの、
バーゼル規制に相当する国際的な資本規制はありません。

AIGの経営危機で当局どうしの連携が難しかったこともあり、
IAISは世界共通の保険監督の枠組み作りに着手しました。
これが「コムフレーム」で、対象となる国際的な保険会社を
「IAIG」と言います
(10日の日経はこちらの話でした)。

他方、「大きくても税金を使わずに潰す」は銀行だけではなく、
保険会社も対象です。AIGに公的資金が投入されたことが
強く影響していると思います。

FSBは金融システム上重要な保険会社を対象にした、
銀行と同じような規制作りに取り組んでいます。
この対象となった保険会社が「G-SII」です。

このように、保険では2系統の国際規制作りが同時に
進んでいることを知らないと、10日の日経を見ても、
何のことかさっぱりわからないと思いますので、ご参考まで。


※この週末は肉体労働でした。腰にきますね。


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