植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2014年06月22日

リスクポートフォリオの公表

 

日本と欧州の保険業界に共通した動きとして、
内部管理上のリスク関連情報を外部に公表する動きがあります。

例えば、内部管理上の資本十分性の定量的な開示
(ESRと言われる指標を公表)は、いまや標準となっています。

内部管理上の指標であり、比較可能性は担保されないものの、
規制資本をはじめ、現行会計に基づいた情報では、資本十分性や
効率性などを判断できないというコンセンサスがあるのでしょう。

今月のIR説明会では、MS&ADグループがリスクポートフォリオの
内訳と今後の方向性を公表し、注目を集めました。
欧州大手では一般的な開示ですが、日本ではソニー生命だけで、
大手損保グループでは初めてとなります。
説明資料へ(スライド20)

資料によると、政策株式のリスクが全体の40%弱と突出しており、
日本の自然災害(風水災、地震)をはじめとする保険引受リスク、
政策株式以外の資産運用リスクが、政策株式に次ぐ水準
(いずれも20%弱)となっています。

これを見ると、MS&ADグループが政策株式を減らそうというのも
納得できますね。

国内損保の保険引受リスクがそれほど大きくない一方で、
政策株式以外の資産運用リスク(国内損保)がそこそこ大きく、
ちょっと意外でした。

三井住友海上、あいおいニッセイ同和の出再保険料が
数年前に比べるとかなり増えているので(特にネットベースで)、
足元では自然災害リスクを相当抑えているのかもしれません。

リスクポートフォリオの内訳は、今後のグループ経営戦略を
理解するのに有効な手掛かりだと思いますので、
開示の動きが広がることを期待しています。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※母校が創立100周年ということで、近所に住む同窓生が
 握り寿司をふるまってくれました♪


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コメント一覧

今、リスク管理を考える  (2014年06月29日 16:55:20)

政策株式のリスクがおおきいから減らすのも納得とは、素人臭くありませんか?

それでは、なぜ今まで、政策株式投資をしてきたんでしょうか?今まではリスクの大きさに気づいていなかったとでもいうんでしょうか?それとも昔の経営者が八方破れだったんでしょうか?

いつ読んでも思うのですが、植村さんのリスク管理の議論は雰囲気に流されてる気がしてなりません。

それが時代の流れなんだから、思考停止して、雰囲気に流されろ、そんなことでは困ります。

せめて、従来と比べて株式に期待できる収益率が低下してきており、かつ政策株式投資の効果も低下してきているからではないか、との説明がなくてはと思います。もちろん、こういう説明が正しいかも、経営がしっかり検証して結論を出す必要があるわけですが。

植村  (2014年06月29日 18:53:05)

今回のブログは政策株式の売却について論じたものではなく、リスクポートフォリオの開示について好意的にコメントしたものです。いつも思うのですが、私の言いたいことではなく、言いたいことを説明するために使った部分について厳しくご指摘をいただいても困ってしまいます。

こちらの会社では、これまで「政策株式を売却する」という戦略を公表し、実行してきましたが、その理由をあまり示してはきませんでした。それが、今回このようなリスクポートフォリオの現状と今後の方向性を示したことで、政策株式を減らそうとする背景が初めて示されたわけです。
・保有リスクのうち政策株式が突出している
・会社は政策株式を減らそうとしている
この二つの情報を見て「納得できる」という私のコメントがそんなに思考停止で雰囲気に流されたものでしょうか。

もちろん、もっと突っ込んだ分析をするのに越したことはありませんが、今回のブログで言いたかったことは、繰り返しになりますが、リスクプロファイルの公表についてです。ですから、「いやいや公表なんてすべきではない」とか「公表したって投資家やアナリストに役立つ情報とは考えにくい」といったコメントを頂けると議論が深まると思いますよ。

今、リスク管理を考える  (2014年06月29日 21:03:02)

また同じ言い訳をされるなだろうなというのは分かってましたが、趣旨から外れるからといって、毎回、ミスリードするような表現を入れ込むのもどうかなと思いますので。植村さんは、世間ではリスク管理に詳しい人ということになってますからね。表現を少しだけ慎重に使えばよく、わざわざ勢いづいた表現を使わなければいいだけだと思いますよ。そういう観点から振り返ってもらえれば、きっと納得されると思いますよ。

今、リスク管理を考える  (2014年06月29日 22:13:56)

今後のため、簡単に添削しておきましょう。

自分のブログであればもう少し文を練りますが、簡単にこんな感じにするだけでもかなり印象は変わりますよ。考えて見てください。

原文:これを見ると、MS&ADグループが政策株式を減らそうというのも納得できますね。

修正案:MS&ADグループは政策株式の削減に向けた取り組みを進めていますが、このようなリスクプロファイルの開示が行われることで、その背景についてある程度推測することができるようになります。

“納得できる”という表現が必要以上に強いのに対し、“その背景についてある程度推測することができるようになります”とすれば、不要なメッセージを織り込むことなく、リスクプロファイル開示が有益であることを伝えることができます。

これが植村さんの伝えたかったことでは?それとも、どっちもあまり違わないじゃんと思われますか?

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