植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2014年01月04日

東証の企業価値向上表彰

 

皆さま、今年もよろしくお願いいたします。
2014年はどんな年になるでしょうか。

さて、東京証券取引所では「企業価値向上表彰」を実施しており、
2013年度の大賞に丸紅が選ばれました(12月26日)。
東証のHPへ

丸紅が大賞となったのは、「総合商社という業態を踏まえた
経営管理手法を採用し徹底することで、企業価値向上経営を
特に高いレベルで実践していると認められる」からだそうです。

総合商社ではグループ全体のリスクを定量的に把握し、
自己資本と対比する管理が普及しています
(丸紅はリスク量=リスクアセットを公表)。

さらに丸紅の場合、「PATRAC」という経営指標
(連結純利益から資本コスト相当額を控除したもの)を
投資判断のほか、事業の業績評価や撤退の判断に活用しています。
PATRACに基づく業績連動報酬の仕組みも導入しているそうです。

他の総合商社でもやはり同種の指標を活用しているようです。
ただ、選定委員会は丸紅の特に優れた点として、

1.資本コストを意識した経営指標が積極的に活用されていること
2.企業価値向上の取組みが組織に深く浸透していること
3.企業価値向上の取組みとその成果に安定性が認められること

を挙げており、独自の経営管理を通じた企業価値向上経営が
経営に浸透していることを高く評価したのだと思います。

東証が企業価値向上経営に注目するのは当然ですが、
保険会社のERM経営に通じるこのような取り組みを
投資家目線で高く評価していることに私は注目しました。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※除夜の鐘をつきました。20年ぶりくらいでしょうか。


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コメント一覧

今リスク管理を考える  (2014年01月04日 23:44:51)

商社は昔からリスク調整済み収益の考え方による事業投資という考え方が取り入れられていますよね。ただ、保険会社ではこのような考え方がストレートには導入しがたい面があると思います。しかし、ERMにおいては、リスク調整済み収益の導入が重要な要素と認識されているところがあり、少し残念に感じています。私は、このような指標の導入も必要な要素であることには賛成ですが、優先度は比較的低いのではと考えています。植村さんはいかがお考えでしょうか。

植村  (2014年01月05日 00:45:35)

コメントありがとうございます。「保険会社ではこのような考え方がストレートには導入しがたい面がある」とお考えになる理由を知りたいところですが、確かに保険会社においてリターンをどうとらえるかは、チャレンジだとは思います。ただ、企業価値向上を目指すうえで、どこでリターンをあげるかを考える際の手掛かりは有益ではないでしょうか。

ちなみに、今回のブログで私が注目したのは丸紅がPATRACを活用しているという点ではなく、「ERMは投資者にとって有益」というメッセージを東証が発信していることについてでした。ERMに注目しているのは規制当局だけではないのですね。

今リスク管理を考える  (2014年01月05日 16:33:42)

植村さん。

本ブログの趣旨十分に理解しています。しかし、この短い記事の中でPATRACが象徴的に扱われている点に違和感というか既視感を感じました。

既視感というのは、保険会社のリスク管理のコンサル会社が、良く保険会社に対して、RORのようなリスク調整済み指標をわなければいけないとはっきりは言わないものの、使わなければいけないっぽく見せるようなプレゼン資料を良く使っているからです。彼らに対して、これからは、こういう指標を使うべきなのですかと聞くと、かならず◯◯業界では使ってますとか、外国では使ってますという間接的な答えが返ってきます。返すべきは、どういう業界のどういう領域では、どういう理由により使うべきです、という回答のはずで、理由が一番大切なはずです。しかし、コンサル会社には、どうもそこまでは答えることができないようです。

だから、私はブログの趣旨ではないと理解しつつも、リスク調整済み収益指標をこのように象徴的に扱うことには意見せざるを得ませんでした。

一方、こういう指標が必要ないという人も結構います。そういう人は、保険会社の事業ラインが少ないため、リスク調整済み指標で資本配賦するという考えはなじまないというものです。

リスク調整済み収益指標に対する植村さんの意見はいかがでしょうか?

植村  (2014年01月08日 01:11:15)

匿名の方のご質問にどこまでご回答するべきか悩みますが、どこでリスクを取り、どこで抑えるかなどを判断する際、リスク対リターンの指標など何らかの手掛かりがないと、これは「アート」になってしまいますよね(手掛かりがあってもアートの部分は残りますが)。
とはいえ、「リスク選好に基づいた資本配賦運営がなされていなければERMではない」などと言うつもりはなく、ビジネスモデルや事業展開などによって経営がどのようなツールの整備を優先するべきかはケースバイケースですし、「理由が一番大切」というのもその通りだと思います。

今リスク管理をかんがえる  (2014年01月08日 08:16:50)

質問の誤解されているかもしれませんので、少し補足しておきます。私は、匿名であるいはタダで高度な専門的ノウハウを聞き出したいわけではありません。むしろ、この程度のこと(なぜこの業界ではリスク調整済み収益を使うのか)は、様々な公開テキストに書かれており、また業界の共通認識であるべき内容ではないか、コンサル会社が売るのはその先の部分ではないかと思うのです。実際、リスク調整済み収益が使われている業界ではそのようになっていると感じていますし。こういうことをことさら内密に扱い、業界のコンセンサスがいつまでも得られないことに、保険業界の後進性、あるいは保険リスク管理コンサル業界の自信のなさを読み取ってしまうのは、私だけでしょうか?植村さんも立場上は言えないかもしれませんが、クライアントの立場、あるいは別業界の人間になれば、そのように感じると思いませんか?

あと、アートによる説明は、何となくアートに悪いものというイメージを与えているだけで(アニマルスピリットという言葉もありますね)、何ら理由となる視点を追加しているものではないと思います。これは、やはり先述の何となく必要かもしれないよ(でもガード文言は入れとくよ)、というニード喚起話法のように感じました。

植村  (2014年01月09日 23:55:31)

率直なコメントありがとうございました。
参考にさせていただきますね。

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