植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2012年03月20日

「データはウソをつく」

 

前回に続き書評もどきということで、谷岡一郎さんの
「データはウソをつく」(ちくまプリマー新書)から。
副題に「科学的な社会調査の方法」とあり、
「事実」を認定するプロセスについて書かれています。

本書では私たちがやってしまいがちな間違いについて、
いくつかの事例を取り上げていて、これが面白いです。

昔、連合軍の戦闘機がドイツ軍にバタバタと撃ち落されるので、
ある連合軍の将軍が、命からがら帰ってきた機体を調べ、
尾翼のダメージがひどいことを発見しました。
そして本国に「尾翼を強化するように」と打電したそうです。

どこがおかしいかわかりますか。

本国からの返事はこうでした。

「尾翼をやられた戦闘機は一応帰ってきた。
 他の場所を撃たれた機が帰ってこなかったとすれば、
 強化するのは別のところではないか」

ということで、将軍は残ったものだけを見て考えた因果モデルを
頭から信じてしまったのですね。


もう一つの事例を紹介しましょう。

「ビール生産 大阪ドーム119杯分」

報道ではこのような表現をよく見かけますよね。
私もかつてメディアのバイトをしていたときに、
「わかりやすい記述」として指導を受けた記憶があります。

著者の谷岡さんはこのような表現について、
「わざとわかりにくくしている」「さっぱり意味をなさない」といいます。

「記事を書く側は、『どうだ、すごいだろ』という感覚で
 書いているのでしょうが、読む側としては、大人一人につき
 『バケツ○杯分』だとか、『大ビン○本分』と書いてくれるほうが、
 少なくとも実感できますからはるかにありがたい」

同感ですね。人間はあまりに大きな数字や小さすぎる数字は
消化できないのです。


リスクを扱っていると、データをもとに説明する機会が多いので、
著者の言う「数字を過信しない」「それだけに頼らない」「常に疑う」
という意識を持っている必要がありそうです。

ただし、だからといって数字を使わないほうがいいという主張では
決してありません。著者も「数字は有力な補強材」としています。
念のため。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※小学校の卒業式に出席しました。
 いまどきの小6女子はこんな感じです。


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2012年03月17日

守備力の評価方法

 

「僕は君たちに武器を配りたい」(講談社)を読みました。
著者は「京大NO.1若手人気教官」の瀧本哲史さんです。

「これから社会に旅立つ、あるいは旅立ったばかりの若者が、
 非常で残酷な日本社会を生き抜くための、『ゲリラ戦』のすすめ」

とありますが、社会に旅立ってからすでに20年以上たつ私にも
興味深い内容でした。

「コモディティ化」の潮流が、世界のあらゆる産業で
同時に進行するなかで、企業や個人にとって重要なのは
「コモディティにならないようにすること」です。

そのために、本書では「投資家的生き方」を勧めています。
詳しくは本書をご覧下さい。


ところで、本書では例え話として、メジャーリーグでの選手の
年棒査定方法を取り上げています(守備について)。

かつての野球選手は、エラーが少ない人ほど守備がうまい、
と見なされていました。

ただ、エラーの数で判断すると、簡単なフライを捕球しても、
エラーの危険を冒して難しい打球に飛びつきアウトにしても、
評価は同じです。難しい球を捕りにいってエラーをするより、
はじめからヒットにしてしまったほうが、評価は悪くなりません。

つまり、この評価方法では簡単にヒットを許してしまうことになり、
点を取られてしまう、すなわち、試合に勝てなくなってしまいます。

そこで現代のメジャーリーグでは、どれだけ自分の守備範囲で
アウトにすることに貢献したか、という観点から守備力を
評価するようになったそうです。
すべてのアウトカウント数27個のうち、その選手がいくつに
関わったかを見ていきます。
これだと積極性が高い選手ほど、評価が高まるわけです。

部分的にはいいと考えても、全体から見ると本末転倒、
ということは、リスク管理の世界でも起こりうる話ですよね。


※ようやく大倉山の梅も見ごろを迎えました


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