
2009年12月16日

10月上旬に上陸した台風18号の保険金支払見込額は
約551億円だったそうです。
損保協会のニュースリリースへ
この台風は、50年前に大きな被害を出した伊勢湾台風と
上陸するまでほぼ同じコースをたどり、勢力も強かったので、
大きな被害が出る恐れがあると言われていました。
今回の「551億円」は史上12番目の支払額なので、
決して小さい金額ではないですが、正直言って、
関係者はこの程度の被害にとどまってホッとしたでしょう。
現在のソルベンシー・マージン比率の風水災害リスクは
伊勢湾台風に相当する規模の台風が発生した時の
推定保険金をリスク相当額としています。
金額は今回の10倍以上です。
上陸地点がやや東にずれた(=名古屋を直撃しなかった)ことや、
上陸後の台風のスピードが速かったことなどが
不幸中の幸いだったのでしょう。
とはいえ、地球温暖化の影響からか、強い台風は
発生しやすくなっているようです。
また、海面温度が高いと、日本に近づいても勢力が
衰えない傾向があるとのこと。
油断は禁物ですね。
※今年は地元の大倉山駅前にツリーが登場しました。
2009年08月06日
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保険業界紙「インシュアランス(損保版)」8月号第1集に載っていた
東京海上リスクコンサルティング・指田朝久BCM事業部長のインタビュー記事。
このところ新型インフルエンザが話題になることはほとんどなくなりましたが、
よくまとまっていて勉強になりました。
まず、マスメディアを中心に混乱が目立つとのこと。
・弱毒性が強毒性に変異 → このような変異はしないそうです
・弱毒性だから安心 → 弱毒性でも致死率が2%になりえます
・新型ウイルスは変異する → 新型だけが変異するのではなく、
季節性インフルエンザも変化しています
日本では今冬に5000万人が感染するとの予測があります。
少なくとも何千万人単位で感染者が出ると見るべきだそうです。
しかも、WHOでは感染被害が3年間続くと見ています。
今の致死率が低い新型インフルエンザで可能性が高い危機は、
「最初の集団感染企業となり、大きく報道されること(=風評被害)」
「突発的な集団感染で特定の職場の機能が突然マヒすること」
など。強毒性インフルエンザや地震被害のリスクとはかなり違いますね。
※写真はみなとみらいです。
2009年07月23日

政府の地震調査委員会は21日、「全国地震動予測地図」を作成し、
公表しました。
地震調査研究推進本部のHPへ
地震調査委員会ではこれまでも「全国を概観した地震動予測地図」を
公表してきましたが、今回の予測地図ではメッシュサイズの細分化
(1km四方→250m四方に変えることで、きめ細かく表現)や、
地震カテゴリーごとの確率論的地震動予測地図の作成
(備えるべき地震がどのようなカテゴリーのものかわかりやすくなった)
などの改良が行われています。
今回の予測地図によると、横浜(市役所付近)で今後30年以内に
震度6弱以上の揺れに見舞われる確率(平均ケース)は66.7%、
千葉(同)は64.0%、大阪(同)は59.5%と、前回よりも大幅に上昇しています。
これは、低地における揺れの増幅率が大きく評価されるようになったため
(市役所はたいてい低地にあります)だそうです。
「今後30年以内に震度6以上の揺れに見舞われる確率が60%」
と言われても普通の人はピンときませんよね。
合わせて公表された解説のなかに、地震など自然災害の発生確率と、
事故や犯罪等の発生確率を比べた表がありました。
事故死や病死の可能性とは違い、地震の発生確率は、
あくまで地震そのものが発生する確率であり、地震による損害が
どの程度の確率で発生するかを示したものではありません。
それでも、「100年に1度の危機」とか言われるなかで、
それよりもはるかに高い確率であることが理解できます。
※写真は台湾の衛兵交代です。
2009年01月16日
大手電機メーカーの幹部候補生の方々と話をする機会がありました。
テーマは企業のリスク管理や危機対応についてです。
保険会社は本来、企業のリスクマネジメントのツールとして保険を提供しています。
ただ、日本の企業は「工場」「倉庫」「社有車」とパーツごとに保険に入るだけで、
自分がどのようなリスクを抱えているか、そのリスクにどう対応するか
(リスクを避ける、軽減する、もしくは保険でカバーする)という発想で
保険に入っている会社は、残念ながら依然として少数派のようです。
電機メーカーでも同じような話がありました。
例えば、どこかで発生した震災をきっかけに社内で「危機対応が必要」となり、
相談を受けたメーカーが、全社的な危機対応を考えたソリューションを提供します。
ところが、その後1度も使わない状態が続くなかで、当初の熱が冷めると、
「このシステムだけが最低限動けばいい」といった話になり、
安い単品に切り替わってしまうのだそうです。
共通しているのは、日本の企業、特に経営者のリスク意識が低いということです。
あくまで一般論ですが、日本では自然災害や人災などのイベントによる損失は
「仕方がない」(=経営者のせいではない)という感覚なのでしょう。
過去の失敗に学ぶのではなく、「水に流す」という文化もあるようです。
でも、倒産リスクを減らすためには「仕方がない」ではすまないと思います。
事故や不祥事で会社が傾いた事例は結構ありますよね。
まじめに考えれば、経営者のリスク意識はもっと高くてもいいはずなのですが。
というわけで、なかなか面白いミーティングでした。
2008年12月31日
12/26の日経13面。「株価 金融技術の限界」という特集の後編で、
表題の見出しがついた記事が掲載されています。

記事では金融危機で投資家のリスク管理が根本から揺らいだと指摘。
森平先生のコメントとして、「(リスク管理の抜本的な見直しは)
数年以上かかる膨大な作業で、現状は『暗中模索』の段階だ」とあります。
今回の金融危機で経営危機に陥った金融機関は、リーマンをはじめ、
先進的なリスク管理を行っていたはずでした。
しかし、現実にはうまく機能しなかった。
過去のボラティリティを大幅に上回る変動が起こり、
分散効果は働かず、時価と実態が大きく乖離してしまいました。
では、どうすればいいのか。
これが来年の最も大きな課題になると思います。
外部から金融機関のリスク管理を評価するアナリストとしても
非常に大きな課題です。
そのようななかで、今年は破綻生保の研究を通じて
ガバナンスの重要性を再認識できました。
今後につなげることができればと考えています。
ということで、来年も時間を見つけていろいろ書いていきますので、
引き続きよろしくお願いいたします。
植村信保(Uemura Nobuyasu)。
保険アナリストとして、主に生命保険会社や損害保険会社の経営分析を行っています。
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