植村信保のブログ

保険アナリスト植村信保のブログ

2017年10月27日

OLISの50周年シンポジウム

 

今から50年前の1967年、アジア諸国における生命保険事業の発展を目的に設立されたアジア生命保険振興センター(OLIS)が創立50周年を迎え、東京で記念シンポジウムを開きました。
当日(10/25-26)は15か国・地域から約140人の関係者が集まったそうです。

過去にOLIS主催の内外セミナーや寄付講座で講師を務めたご縁もあり、私もスピーチをしました。演題は「日本の生保危機とその教訓」です。
かつての生保破綻の話もさることながら、その後、日本の生保業界や行政当局がどのように危機を乗り越え、新たな時代にふさわしい体制に向かっているのかを話しました。
どういうわけか、バングラデシュの参加者3名が質疑応答を独占することになりましたが、世界的な低金利のなかで保険会社の健全性の問題が他人事ではない国・地域もあるはずなので、何かの参考になればうれしいです。

パネルディスカッションのテーマは「高齢化」。日本が断トツの先進国かと思ったら、韓国や台湾は急激に高齢化が進むので、少し経つと日本に追いついてしまうのですね。
中国も一人っ子政策の影響で高齢化が進みます。パネルでの言及はありませんでしたが、中国の場合、社会保障制度が必ずしも十分に整備されていないようなので、日本の高齢化社会とはだいぶ違った社会の姿となりそうで、ちょっと怖いです。
インドネシアやベトナムのような若い国も、今のうちに社会保障制度をがんばって整備することが、日本の経験から得られる最大の教訓なのかもしれません。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

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| post at 12:41:48 | コメント(0)  | カテゴリー : 12. セミナー等の感想 |

2017年10月22日

自治体との包括連携協定

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少し前になりますが、10/8の産経ニュース(おそらく北海道・東北版)に私のコメントが載ったようです。
明治安田生命が秋田県など4県(他は愛媛県、宮崎県、高知県)と包括連携協定を締結したという記事のなかで、「(大手生保による協定締結には)地域貢献に加え、地域密着型の営業戦略を支援する意味もありそう」とコメントしています。
産経ニュースのサイトへ

確かに、地方自治体と民間企業が包括連携協定を結ぶ事例が増えているようです。
保険会社では、記事となった明治安田生命のほかにも、例えば地元・神奈川県は、2015年1月に第一生命と包括協定を結び、県民の健康増進や県民サービスの向上を目指すとしていますし、横浜市は今月19日に損保ジャパン日本興亜と地域活性化に関する包括連携協定を結びました。

協定書を見ると、神奈川県と第一生命の協定では、「健康増進に関すること」「スポーツ振興に関すること」「中小企業支援に関すること」など9項目について「連携し、協力する」、横浜市と損保ジャパン日本興亜では、「地域の安全・安心・災害対策に関すること」「高齢者・障害者支援に関すること」「文化・芸術の振興に関すること」など8項目について「協力して実施するもの」とあります。
包括協定ということもあり、取組範囲が広い半面、ビジネスの一環としての協力というよりは、CSR(企業の社会的責任)としての活動が主眼となっているようです。

ただ、例えば自治体が保険会社とともに市民の健康増進に取り組むのであれば、企業のCSR活動に期待するという包括協定よりも、きちんと予算をつけ、事業として保険会社と連携したほうが成果が出やすいのではないかと思ったりもしますが、言い過ぎでしょうか?


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真のような秋晴れが恋しいですね。

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2017年10月15日

オバマケアの見直し

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米国の医療保険制度(いわゆるオバマケア)では、個人に民間医療保険への加入を義務付けたうえで、一定の条件の下で政府が補助金を支給しています。
オバマケア撤廃に執念を燃やすトランプ大統領は、この補助金を打ち切ると発表したそうです。

1月のブログで書いたように、米国ではオバマケアの導入で無保険者の数は減ったものの、制度の担い手である民間保険会社の収益性が厳しくなり、最大手のユナイテッドヘルスをはじめ、この事業から撤退する保険会社が相次いでいます。
そのようななかでの補助金打ち切りは、保険料率の引き上げや給付対象の制限強化、さらには事業の担い手となる民間保険会社の消滅につながるかもしれません。

そもそも米国の民間が担う医療保障は、オバマケア以前から、日本の健康保険とは中身がかなり異なるようです。

香取照幸さんの著書「教養としての社会保障」では、アメリカで売られている民間医療保険のことを、「リスク細分化型・制限給付特約付き」だと表現しています。
所得階層・社会階層によって受けられる医療保障が天と地ほども違い、まともに機能する保険に入れる人はごくわずか。さらに、前述のように、頼みのオバマケアも大きく揺らいでいます。

日本の医療保険制度では、国民皆保険のもとで、保険証さえあれば誰でも医者にかかれますし、保険がカバーする範囲も広く、所得階層・社会階層が違っても受けられるサービスは平等です。
私たちはこれを当然のようにとらえていますが、米国では全く状況が異なるようです。


なお、公的な制度が優れているということは、民間保険会社の事業機会が限られるということでもありますが、日本に住む個々人としては、この制度ができるだけ続いたほうが幸せですよね
(医療従事者の長時間労働など解決すべき課題は多々ありそうですが)。

その意味では、このところ保険会社が前向きに取り組んでいる「健康増進促進」という流れは、個々人の健康寿命を改善するばかりでなく、医療保険制度の持続性を高めることにも貢献できると思います。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は浜松城と遠州鉄道です。

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2017年10月12日

日本のインシュアテック

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直近のinswatch(2017.10.9)に寄稿しました。
私のブログにしてはやや長めですが、ご紹介します。

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日本のインシュアテック

◇インシュアテックをめぐるギャップ
 新聞や雑誌などで「インシュアテック(保険分野のフィンテック)」として紹介される事例を見ると、新しい技術を使ってこれまでにない商品を作るとか、あるいは業務プロセスの効率化が進むとか、総じて既存プレイヤーが技術を活用するという話が中心となっているようです。最近発売された東洋経済の生保・損保特集号でもそう感じます。

 他方、9月に東京で開かれたフィンテックサミットでインシュアテックのパネルディスカッションもいくつかあり、このうち一コマに参加したのですが、ディスカッションの主なテーマは「日本のインシュアテックはなぜ動きが遅いのか」でした。

 こうしたギャップについて私なりに考えてみると、既存の保険会社(および、その動きを伝えるメディア)は、これまで成功してきたビジネスモデルを前提に、新しい技術を使うことで何ができるのかを考えているように見えますが、技術革新による影響はそのようなレベルの話にとどまらないということなのでしょう。

◇インシュアテックの破壊力
 例えば、生保・損保特集の表紙に大きく載った「健康増進型保険」について、これが「健康増進活動による成果を保険料等に反映」というだけであれば、従来の新商品開発と本質的には変わりません(新しいニーズの発掘とは言えそうですが)。

 しかし、健康データの蓄積が進むのと同時に、予防医療等が広く普及し、めったに病気にならないという世の中になれば、どうでしょうか。今の医療保険マーケットは相当縮むように思いますし、わざわざ保険をショップなどへ買いに行くようなことはなく、例えば健康食品を買ったり、ジムの会員になったりしたついでに保険にも入るという世界になり、このマーケットの主役は対面販売を主体とする保険流通ではなくなるかもしれません。

◇「金融育成庁」はどう動くのか
 技術革新が進むなかで、顧客本位のサービスを今後も既存プレイヤーが提供し続ける世界が可能と考えるのであれば話は別ですが、もし、消費者が新技術の恩恵をフルに享受するには新しいプレイヤーが必要と考えるのであれば、商品認可をはじめ参入障壁となっているであろう各種制約を見直さないと、今後も「なぜ動きが遅いのか」という状態が続きそうです。

 インシュアテックを研究している保険会社は、おそらくこうした破壊力をわかっているのだと思います。となると、やはり注目は「金融育成庁」を標榜する当局の姿勢ということになりますね。
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inswatchは保険流通業界向けのメールマガジンで、
私は2か月に1度のペースで寄稿しています。

※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※写真は大津の石山寺です。
 紫式部が源氏物語の着想を得たところだそうです。



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2017年10月09日

ナチスの手口と緊急事態条項

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「ナチスの手口と緊急事態条項」という
本を出張中に読みました。

この本では、憲法学者の長谷部恭男さん、
ドイツ近現代史が専門の石田勇治さんが
対談を通じて、ヒトラーがどのようにして
ワイマール憲法を無効化し、独裁体制を
築いていったのかを解き明かしています。

本書によると、立憲主義的な民主体制を
壊さないように備えた仕掛けだったはずの
大統領緊急措置権(=緊急事態条項)が、
体制そのものを壊す道具として利用された
というのが歴史的事実のようです。

1930年頃のドイツでは、世界恐慌の影響で
社会不安が高まるなか、政党間の対立が
激しくなり、国会での合意を形成するのが
難しくなっていきます。

そこで政府は規定にあった大統領緊急令に
頼るようになります。
国会は形骸化し、既存政党に対する国民の
信認が低下する一方、ナチス(と共産党)が
台頭することになりました。

「ヒトラーは民主主義で大衆に選ばれた」
「ヒトラーは合法的に独裁体制を樹立した」

というのも、しばしば耳にする言説ですが、
これらもナチのプロパガンダ(情報宣伝)
を引きずったもののようです。


本書はワイマール共和国の経験だけでなく、
各国(ドイツ、フランス、米国)に現存している
緊急事態条項の内容や設置の経緯なども
紹介しています。

選挙の結果次第ではありますが、少なくとも
公示前の時点では、なんと8割超が改憲に
前向きな勢力となっていますので、本書で
事実を確認しておくのは有意義かと思います。


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※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※化野念仏寺の近くに素敵な町並みがありました。

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2017年10月01日

通販型自動車保険20年

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通販型自動車保険が登場して20年という
産経新聞の記事にコメントが載りました。
記事のサイトへ

「(今後の市場動向について)ゆるやかに
 増加する傾向は今後も続くだろう。ただ、
 インシュアテックの技術が進めば、ビッグ
 データなどを活用し、個人に合わせた
 個別性の高いサービスや保険が生まれる
 ことも考えられる」

「(インシュアテックの進展とともに)通販型
 保険の市場は今後、大化けする可能性が
 ある」

というものです。

通販型自動車保険の象徴的な存在だった
アメリカンホーム保険は撤退したとはいえ、
8%弱のシェアということは、全体の25%を
企業向けとすると、個人向け自動車保険の
約1割が通販型ということになりますね。

コメント最後の「大化けする」という表現を
私は使っていないのですが、それはともかく、
例えば、シェアリングエコノミーの進展により
自動車が所有するものから利用するものに
変わっていった場合、保険は利用するつど
加入するのであれば、利用手続きとセットで
手当てするのが便利だと思います。

この例だけ見ても、インシュアテックというか
技術革新と、技術革新に伴う社会の変化が
従来の保険ビジネスを大きく変える可能性は
あると言えるでしょう。

また、9月29日の日経が取り上げた衆安保険
(中国のインシュアテック企業として知られる)
は、株主であるアリババのネット通販を通じ、
商品返送費用を補償する保険などを提供し、
急成長しています。

中国の、しかも自動車保険以外の動きでは
ありますが、こちらも興味深い事例です。


※いつものように個人的なコメントということでお願いします。

※地元・大倉山のお祭りでした。

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